| 蛇足(だそく) | 余分なものをつけ加えること、無駄なもの。 |
昔、先祖の廟を祭っている者がいた。ある時、祭祀用に使った酒を門人に分け与えた。門人たちは顔を見合わせて言った。
「これっぽっちの酒を、みんなで分けて飲んでも、飲んだ気がしねえな。もっともひとりで飲むには充分だが。みんなで地面に蛇の絵を描いて、一番早く描けた者が飲むことにしようじゃないか」
一人の男が真っ先に蛇の絵を描き終わった。男は酒を引き寄せ飲もうとした。左手に酒つぼを持ち、右手で蛇を描き足しながら言った。
「オレは足まで描けるぞ」
それがまだ描き終わらないうちに、もう一人の蛇ができた。
横からひょいと酒つぼを取り上げると、
「おいおい、蛇には足なんかないのに、おまえさんはどうして足が描けるんだい」
そう言うとぐいっと酒を飲み干した。
蛇に足を描いた男はとうとう酒を飲み損ねてしまった。
【戦国策・斉策】