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食指が動く(しょくしがうごく)

意味:食欲が起こる。転じて、ある物に対して欲望や興味が生じる。「食指」は人さし指のこと。

楚国の人が鄭の霊公(れいこう)にスッポンを献上した。

公子宋(こうしそう)と子家(しか)がちょうど参内し、霊公にお目にかかろうとしていた。 すると子公(しこう=公子宋)の人さし指がぴくぴくと動いた。それを子家に見せて言った。

「以前もこういうことがあったが、必ず珍しいものにありつけるんだ」

朝廷に入ると、料理人がスッポンをさばいているところだった。 二人は顔を見合わせて笑った。霊公が訳を尋ねたので、子家がそのことを話した。

しかし、大夫たちにスッポンを振る舞う段になって、霊公は子公を召しておきながら、彼にだけスッポンを出さなかった。

子公は腹を立て、鼎の中に指をすりつけ、なめてから退出した。

霊公はこれに腹を立て、子公を殺してやろうと思った。

子公は子家に先手を打とうと持ちかけたが、子家は、

「家畜でも長く飼っていると、殺すのが忍びなくなるのに、ましてや、主君ではないか」

ととめた。すると子公は逆に、子家を誣告しようとしたので、子家は恐ろしくなって、子公に従った。

夏、霊公を殺めた。

【春秋左氏伝・宣公四年】

※鼎(かなえ)・・・食べ物を煮るのに用いた青銅製の器。


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