むじな燈籠

今から260年以上も前の寛保三年(1743)のことです。

 下総国(しもうさのくに)葛飾郡(かつしかごおり)冬木(ふゆぎ)村に1匹のむじなが住んでいました。ある時むじなは人間に化けて、善光寺参りの旅にでました。

 善光寺では持ち郡(もちごおり)と言って、出身地によって泊まる宿が決まっていました。紹介された宿は白蓮坊(びゃくれんぼう)。大本願の前にあり、現在は「ギャルリ連」というアートショップにもなっています。その宿坊から布団を借りたむじなは、本堂にお籠(こも)りしました。
 遠くから来た参詣者は、一晩本堂に泊まるのです。

 翌日、門前町の石屋に石燈籠を頼みました。出来上がった燈籠は、経蔵の前に据えられました。

 ところがその夜、宿坊の風呂でむじなの姿に戻ったところを人間に見つかってしまいました。むじなは慌てて冬木村に逃げ帰ったということです。それ以来、この燈籠は「むじな燈籠」と呼ばれています。

 不思議な灯篭で、ある時お侍が化け物と間違えて刀で切り掛かりました。ですから刀傷があります。また煎じて飲むと病気が治るとも言われて、削って持ち帰る人がいましたので、随分削れています。

(HP 小林玲子の善光寺表参道日記 より)


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