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KIRAKU Persist 3763 7'6" #3 |
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--- 1990年、悪魔が囁いたロッド --- |
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Reel HARDY MARQUIS #4 Silver

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KIRAKU Persist 3763 Bending curve ----- スロー寄りのミディアム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 耳元で悪魔の囁き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ワンワンのパートリッジ バンブーロッド 7’6” #3
あの独特の感触。
力まずとも“竹”の秘めたトルクで弾き出されるライン。
「しなやかさ」の中にもキリッとした“芯”があり、
竹の繊維を通して、まるで魚の鼓動までもが掌で感じ取れるかのような、感度の良さ。
それでいてこのロッドはバンブーにしてそれほど高くない。
当時、オービスのグラファイトロッドとそんなに変わらない。
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そんなバンブーロッドを振らせてもらう機会、ある意味、禁断の扉を開いてしまう日がやってきた。
ある夏の秋神。
1匹のイワナと戯れた後、振ってみるか?と、私にパートリッジを貸してくれた。
7フィート6インチ 3番。
見た目、あまりに繊細なティップは折れやしないだろうが折れそうで少し怖い。
他人のロッドとなると尚更だ。
後方の樹木の枝に気を付けながら恐る恐るフォルスキャストする。
インプリのパートリッジは思ってた以上にトルクがあり、竹自体がラインを弾き出してくれる感じ。
ゆったりとロッドに任せて振っていれば、自然とラインが気持ちよく出ていく。
私の耳元で「悪魔」が囁くのを感じた。
・・・そして、
バンブーロッドに恋い焦がれて、パートリッジではないが、
似たような価格のバンブーロッドを普段から世話になっている釣具店で取り寄せてもらうことに。
それは国産の老舗である『KIRAKU』から出ているバンブーロッド。
トンキンケーンでできた3ピース。

赤のラッピングがレオナルド(レナード)みたいでカッコイイ。
だがナチュラルケーンのこのロッドは、パートリッジとはキャスティングフィールを全く異にしていた。
3ピースからなるこのロッド、モッタリしていて少しでも変に力が入るとラインにスラックが入ってしまう。
うわっ、これ失敗だったかな・・・(笑)と思わせる、一癖ありそうなシロモノだった。
でもその癖を踏まえた上で、そーっと振ってやれば自然なループが出来る。
もちろん魚を掛けた感触はバンブーロッドのそれに違いない。
このロッドは小さなウェットに向きそうなスローアクション。
渓流における通常のキャスティング範囲内で使用するなら気持ちよく振れる。
無理に遠投を意識してビュンビュン振り回してはいけない。
水面直下の小さなソフトハックルを使った釣りがしたくなってくるような・・・
夕暮れの川辺で、水面直下の釣り。
そうだ! 夕暮れの小鳥川を舞台にしよう。
--- Memories ---

ある夏の日の夕暮であった。
昼間はシビアーな釣りを強いられる小鳥川だが…
それは、あるフライの“コマセ”事件を皮切りに始まった。
フライボックスを持つ手がすべって、川面にフライのコマセを撒いてしまった。
慌てて帽子でフライを回収しようとも、拾い損った数本が水面を漂って行ってしまった。
するとどうだろう?
スーパーライズが起こったのだ。
正真正銘ナチュラルドリフトするフライに、イワナやアマゴたちは何の警戒心も持たない。
それが起爆剤になったかどうか知らないが、あちらこちらでライズが見られるようになった。

気を取り直してフライをキャストすると、小型が多いがワンキャスト・ワンヒットといった具合に、
日中からでは想像もつかない様子を呈してきた。宴の始まりだ。
私とワンワンはフライで、気が狂ったようなライズを狙い、
少し離れてオービス氏がルアーで、完全に気が狂ってチョンワチョンワと
意味不明な言葉を上げ、ご子息を露出してのたうち回ってる。(嘘)

どれくらい経っただろうか?
ロッドを持つ手と、ラインを手繰る手が無性に痒いのに気付いた。
よく見ると半袖から露出した腕の一部から出血もしていて、無意識に掻いたと思われる痕が数か所あった。
何だ?? と思ったけれど今はプライムタイム、そのまま釣りを続けた。
ところが、気になりだすと痒くて仕方ない。
そして犯人と思われる、黒く小さなブヨみたいな虫が無数に群がっている。
そうなるともう釣りどころではない。
ワンワンも同じように痒い、痒いと吠えている。
フライを眼で追うにも限界となってきたため川から上がった。
車まで戻るとオービス氏も酷いことになっていた。
時間の経過とともに腕が腫れてもきた。
オービス氏はかなり重症のようで、脇の下のリンパ腺まで腫れているようだ。
オービス氏の親戚が高山市内にあるということで、オービス氏の案内の下、お邪魔することに。
そこで頂いたのは「マムシの焼酎漬け」で、患部に塗ると良いとのこと。
そして今夜の野宿地は市内、宮川に掛る某橋の下の河川敷に停めた車の中。
狭い空間で「マムシの焼酎漬け」は少々臭いが気になったが、患部の腫れは一晩で引くらしい。
だが今度はエ●本によって、オービス氏の股間の腫れが引かなくなってしまったのだ。(謎)
…そんなことは放っておいて明日に備えて眠りに就くのであった。

そんな悲惨な目にあった夏の夕暮れ、ある日の小鳥川の思い出ではあるが、
“喉元過ぎれば熱さ忘れる”と言われるように、最近渓流はやらない私ではあるが、
機会があれば、この小鳥川なら訪れてみたいとは思うのである。

そしてこの一件以来、この黒く小さなブヨみたいな虫を「オドリ虫」と呼ぶようになった。
例えそれが小鳥川以外の、他の河川で見かけても…である。

腹を裂かれて晩飯のおかずとなったイワナとアマゴ。(笑)
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