その7

さて、始まった第2幕。
「予定は1時間半ね!!」
「へえ、30分単位で借りれるの?」
「言えばやってくれるみたい」
テンションは中断を挟んでも落ちていなかった。でも、なんか物足りない。俺がうわさに聞いていたジャングルナイトといえば、踊りと鳴り物だったような気が…。
そう思っていた俺の脳裏に、先ほどRM氏と座ってぼんやり眺めていたロビーの光景がうかんだ。
俺は隣のあむ嬢に話しかけた。
「ねえ、あむちゃん、俺さっき受付のところでタンバリン見かけたような気がするんだけど、あれって使えないのかなぁ?」
「え!ホント?? ちょっと聞いてくるわ!!!!」
あむ嬢、猛然と席を立ち、出ていってしまった。素早い身のこなし…

待つことしばし…(とはいっても、歌は誰かが歌ってるし、騒ぎは続いてるけどね)

両腕にタンバリン、マラカスをかかえてあむ嬢登場!!
「ご自由に使って下さいって!!!」
念願の鳴り物アイテムを手にして、一同更に盛り上がるのだった。

さて、マイクを持つ人に向かい乱れ飛んでいたおぱんつであるが、人間、慣れというのは恐ろしいものである。もはや、おぱんつがそこにあるのは何らおかしい事ではなくなっていた。一次会の最初はビビっていたイドウ氏やRM氏も、いつのまにか平然とおぱんつをかぶっていた。その場にいた男性は5人。ぷーどる嬢とあむ嬢が持ち込んだおぱんつは5枚。男性陣に一人一枚行き渡っていた。かぶりっぱなしで宴会は続く。(冷静に考えるとすごく変だ…)

その6にも書いたが、二次会の部屋は横に長く、入り口は端にある。ちょうどみみき嬢と俺が座っているあたりからはガラスドアを通じて通路が見える。そして、突発事態は発生した。

ちょうど、俺が入れた曲を歌っているときの事である。隣の部屋のドアが開いた。カラオケが終了したらしく、ぞろぞろと出てくる。俺の理性が復活した。誰かがちょっと横を見たら、おぱんつかぶった俺と目が合ってしまう!!!

マ、マズイ!!!!

あわてて、俺はおぱんつを脱いだ。気づいたみみき嬢。すかさず俺が脱いだおぱんつをひっさらい、また俺にかぶらせようとする。歌どころではない状況でもみ合う二人(でも、マイク離さなんかったけど…)。結局隣の部屋の人は気づかずに去ってくれたのだが、もし気づいたら、どんな感想を持ったことだろう。マジにびびったのだった。

今考えると、部屋の奥にいたみんなは通路から死角になっていたので、人目を気にする必要がなかった。故に、かぶりっぱなしである。人目っちゅうビビリがちょっと入ってしまった俺は、その後は振り回すものの、かぶってなかった。これが結果的に、後で個人的にラッキーをもたらすのだった。

宴会は続く。ぷーどる嬢、たく丸氏、へーすけ氏はやはり踊らないと気がすまないらしく、靴を脱ぎ、ソファーの上に立ち、歌い踊り始めた。俺はもっぱらタンバリン担当。イドウ氏もタンバリンをかかえリズム担当である。RM氏はやはりアニソンで合間にマラカスを振り回していたが、やはりここでも消費カロリーの壁にブチ当たっている。あむ嬢はポルノグラフィティを熱唱。みみき嬢は隣の部屋に次に入ってきたおっさんが、マラカス持って踊りながら歩いてきたのに爆笑している。

時間は11時を回った。ぷーどる嬢が言う。
「ぱぎさ〜ん、やっぱ11時半はムリだわ。」
確かに、終われそうな気配はない。それに11時半に間に合わせようとしたら、ぷーどる嬢が入れた曲は歌えないだろうという事は俺にもわかった。
「じゃ、最終かぁ?上野まではいいけど、その先はあるかな…。まあ、そっからならタクシーでもいいけどな」
そんな話をしていると、たく丸氏が
「ぱぎさん、大丈夫。上野からの電車あるって」
なんと、家に電話して奥さんに電車があるか調べてもらってくれたらしい。たく丸氏、いい人だ。
というわけで、終電でのお開き、決定である。

歌い騒ぐうち、ぷーどる嬢持参のデジカメが回ってきた。その日の写真を両隣のみみき嬢、あむ嬢と見返し爆笑する。ぱんつかぶり軍団、最初は照れがあるが、だんだん開き直っていく。ぷーどる嬢を挟み、へーすけ氏、たく丸氏、イドウ氏が写っている写真なぞは、「女親分とおぱんつ取り巻き」といった風情。それにしても、俺まともな顔して写ってるのがないな…

そして、時刻は11時半に近づく。
ぷーどる嬢があむ嬢を呼ぶ。
「ほれ、あむちゃん、歌うよ!!!」
曲は「ペッパー警部」二人とも振り付け完璧である。うれしそうなあむ嬢、たばこを指に挟んだままで歌い踊るぷーどる嬢。やはりピンクレディは三十路後半戦世代のアイドルである。間違っても28歳ではこんなにピンクレディ初期の歌の振り付けを覚えている事はないだろうな…

狂乱の宴にもタイムリミットがせまりつつあった。次回で終わりかな。続く。

その8へ / 戻る