60.雷インパルス電圧発生器の原理

 

 「59.標準雷インパルス電圧の波形」で触れた立ち上がり時間についてです。標準雷インパルス電圧では30Vと90Vの点を基準に決めています。一方、電子回路等で決める立ち上がり時間ですが、先の例でいえば10Vと90Vの点を用いています。

 どうしてこのような差があるのでしょうか。この差は、雷インパルス電圧発生器の構造に起因しています。

 例えば公称1000kVの雷インパルス発生装置では100kVのコンデンサを10個用いたとします。この10個のコンデンサを並列に100kVまで充電します。充電が完了したところで、10個の球ギャップを放電させることで直列にする回路を作って1000kVを発生させます。この球ギャップが同時に放電を開始すれば、発生する雷インパルスはきれいな立ち上がり特性を示します。

 しかし、球ギャップが同時に放電をさせるのは技術的に難しいため放電の発生にばらつきが生じます。このため雷インパルス電圧の最初は往々にして大きな振動波が重畳されます。この振動が収まるのがピーク電圧の20~30%のところが多いため、10%では何度も交差するため決められないことが発生します。そこで振動が収まる30%のところを用いることになったようです。

 これもIECの参加メンバーが困らないところで決めることになったと予想されます。

2026年04月27日