「失敗の本質」は1991年に初版が出版された書籍です。この本の中で日本軍がいかなる失敗をして敗戦に至ったかを詳細に分析しています。その中で、日本人は所属する組織内の和を乱さないようにするため、異論が出ないように予め根回しをする傾向にあることが説明されています。このため不都合が発生した時に決断すべき時に決断する人が決断せずに、まず関係者の根回しから始めるので実行するまでに時間がかかります。また、少しの部隊を派遣すれば大丈夫と根拠の無い楽観主義で進めることもあります。
この結果、各所で軍隊を進めるにあたり、判断が遅いだけでなく小出しにして全滅させる失敗を重ねました。さらに、指揮系統に関係が無く、知識も無い人物が地位が上であることを理由に指揮をしてを全滅させることも起こりました。八甲田の氷雪中の進軍の訓練での大規模な遭難も同じ理由で発生しています。
今般発生している米価格の高騰ですが、昨年2024年6月から米が足りないと分かっていたのに、新米が出回れば解消すると根拠ない楽観主義で対策を取りませんでした。2024年の秋に新米が出回っても相変わらず米が足り無い状況が続き、2025年2月になってやっと備蓄米を市場に出す判断をしましたが、その量が足りず米の高騰が続いています。さらに、2025年6月から備蓄米を少しづつ小出しにして市場に投入しようとしています。少しづつ備蓄米を全部市場に出したとしてもその効果は大変疑問です。
これらの対応は日本軍が戦争に負けた行動をそのまま行っているようにしか見えません。2024年6月の段階で備蓄米を市場に投入すれば治まっていた可能性が高いのに、一旦価格が高くなると高い価格で仕入れた米は安く売れないのは当然です。誰に遠慮したのでしょうか。今回の一件で儲けた輩でしょうか。
今後、的確で早い決断をして、米農家が儲かるようになって若者が就きたい仕事になるとともに、消費者として納得のいく価格水準で早く安定するのを願うばかりです。