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所長のコラムです。

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73.扇風機・太陽電池の寿命はコンデンサで決まる

 

 昔は扇風機の寿命ということは余り問題にされませんでしたが、2010年頃から扇風機の寿命は10年ですと表示されるようになりました。

 扇風機に用いられているモーターは誘導モーターで、固定コイルを直角に配置して1つはコンデンサを接続することにより90度位相を進めることで回転子を回すことができます。このコンデンサは容量が大きい必要があるため、電解コンデンサが多く用いられています。この電解コンデンサの寿命が大体10年であるため、扇風機の寿命が10年となっています。

 電解コンデンサが劣化するとコンデンサを構成する電極間に導電性の通路ができ、ここに電流が流れてモーターの固定コイルに正常な電流が流れなくなり、回転が困難となります。このため、劣化した電解コンデンサを持つ扇風機は、スイッチを入れても動かなかったり、回転が安定せずふらふらと回ることで判断ができます。このような状態を放置すると過電流が流れて発火し火事につながります。

 電解コンデンサを復活させる方法として一瞬スイッチを入れることを数回行うことがあります。瞬間的な電流により電導性通路が無くなるため電解コンデンサが復活するためですが一般的には推奨されません。おこなう場合には自己責任でおこなってください。

 また、10年くらい前までは太陽電池も寿命が10年と言われていました。これも太陽電池のパネルは全く問題無いのに、太陽電池で発電された直流を交流に変換する装置であるパワーコンディショナーに使用されているコンデンサが電解コンデンサであったため寿命が10年となっていました。しかし、コンデンサの寿命が20年のものができたため太陽電池の寿命も20年になりました。

 大容量でありながら長寿命のコンデンサができると環境負荷を大きく減らすことができます。

2026年07月27日

72.初期の雷インパルス電圧発生器


 変圧器が雷に耐えるかどうかを検証するために作られた雷インパルス電圧発生器は今の一般的な形とは大きく違いました。最初の雷インパルス電圧発生器はひな壇のような階段を木で作製し、その各階段の段にコンデンサを載せて構成していました。それぞれの段の幅は、30~50㎝になります。

 東芝京浜事業所で最初にできた2500 kV雷インパルス電圧発生器は階段状に伸びた構成のため非常に広い面積を必要としていました。まるで太古の出雲大社のような雄大な構造物でした。1952年東芝の京浜事業所で最初にできて、1971年に浜崎工場にできた4MVの雷インパルス電圧発生器は2000年に撤去されてもうありませんが、設置面積を減らす工夫がされており、据付面積は3.5m×3.5mで階段が2か所でジグザグに折曲がる上中下の3段構造でした。

 各段は9ステップで合計27ステップありましたが、上部への人が登る構造と踊り場を作ったため、下段、中段のステップは8段、上段は9段の合計25の段の左右に合計50個のコンデンサを乗せた構造でした。コンデンサの定格は80kVで80×50=4000kV(4MV)の電圧になります。直線に延ばしたひな壇だったとすると据付面積は3.5m×10.5mと3倍になったはずです。

 発生電圧を調整するために4MV雷インパルス電圧発生器は木の階段を登って配線を変えてコンデンサ数の調整をするのですが、1ステップの高低差30cm×25=750㎝と発生器の台座を含め8m程度です。一番上に上がると結構揺れて怖い思いをしました。

 当時手伝ってもらった実験助手のDさんは前職がトビ職の方でした。Dさんは非常に身が軽く高いところまですいすいと登ってしまうすごい人でした。Dさんが言うには、「木の足場はそれほど怖くない。壊れる前に大きな音がするので音がしたと思ったらすぐに退避すれば問題ない。揺れるだけなら問題ない。しかし、金属の足場はいきなり壊れるので怖い。」とのことでとても参考になりました。

2026年07月20日

71.保育士を増やすための保育士試験に必要な改善


 2026年7月上旬に地域限定保育士について、三重県で筆記試験の合格者に対して2027年から実技試験の代わりに実技講習のみで資格を与える方向になるとの報道がありました。私の意見では、実技試験だけでなく筆記執権の見直しをする方がより重要と考えます。

 大学の教授になり学生を指導して、考えるところがあり、8年前の2018年に保育士の資格を試験で取得しました。試験は近隣の大学の講義室で200名が受験できる広い会場で、白髪が目立つ高齢者の受験者は私を含めて2名だけで、ほとんどは20代前半の若い女性でした。

 保育士の勉強をするにあたり某通信教育の本を1冊購入してそれを中心に覚えました。法令の条文等はインターネットで検索して覚えました。この時、感じたのは試験科目の偏重です。試験科目は、「保育の心理学」、「保育原理」、「子ども家庭福祉」、「社会福祉」、「教育原理」、「社会的養護」、「子どもの保健」、「子どもの食と栄養」、「保育実習理論」の9科目です。これらは大学の講義科目の内容と思われます。子供の発達や栄養に関する内容は保育士の試験としてふさわしいと思いますが、「教育原理」のように保育の歴史が試験にあるのはどうしても納得しがたいものがありました。

 初めて日本でなにがしかの保育教育を始めた人は誰かなどは現在の保育をする上で必要としません。資格試験である以上、実際の保育の実務に関係する内容であれば覚える必要があると思いますが、今では関係ないような知識は教養であっても現場では必要とされないはずです。
これは保育の大学の学科を卒業する資格のもので保育士の資格を問うものでは無いと思います。

 保育士試験で他の科目は20問で60%正答の必要がありますが、「教育原理」は10問で60%正答が必要です。ここからしても余り必要が無いが今までの成り行き上仕方なく科目として入れていることは明らかです。「教育原理」と対となっている「社会的養護」を10問から20問にして「教育原理」は無くすべきと考えます。

2026年07月14日

70.暖房なら圧倒的にエアコンが省エネ


 エアコンの通年エネルギー消費効率(APF :Annual Performance Factor))とは、使用した電気エネルギーに対して冷房、暖房でどの程度のエネルギーを移動させたかを示す指標です。

 暖房を考えると、電気ストーブで100 Wのものでは熱として利用できるのは100 W分だけですが、エネルギー消費効率が6とすると100 Wの6倍の600 W分の熱を供給できます。これは実際に発生させるわけでは無く、屋外の空気が持つ熱エネルギーを室内に持ってくるものです。

 実際にどれほどの効果があるか計算します。天然ガスを例にして暖房効果を考えます。ガスストーブでガスを燃焼させて600 W分の熱を発生させようとすると666 W分のガスが必要になります。66 W分はガスの運送等に使用したエネルギーです。

 一方、エネルギー消費効率が6のエアコンで600 Wの熱を発生させようとすると100 Wの電気が必要になります。電気を発電する際に天然ガスを燃やす電力用発電機であるコンバインドサイクルの発電効率(60%)や、送電線での電力の損失(5%)を考えると175 W(=100÷0.6÷0.95)分のエネルギーを持つガスが必要となります。

 同じ600 W分の熱を発生させる際に、ガスストーブで燃焼する場合では666 Wに比べて、エアコンでは175 Wとなるのでガスストーブに比べて26%(=175÷666)、約1/4のエネルギーで同じ暖房能力を発揮することになります。暖房するのにガスストーブや電気ヒーターを用いては省エネの観点では非常に非効率です。

 このようにエネルギー基準を徐々に厳しくすることにより省エネ効果をさらに大きくしていることになります。

2026年07月06日

69.エアコン2027年問題とは?


 エアコンは1999年に指定された11種の特定機器の1つです。2026年6月現在で特定機器は29種類指定されています。エネルギー消費が大きい機器で、この機器の効率を高めることで省エネを推進するために特定機器の制度ができました。

 2027年にエネルギー基準が変わることでエアコンの価格が大幅に上昇する懸念があり駆け込み需要が非常に多いとの報道をこの1カ月でよく耳にします。このエネルギー基準を良く知らないと本質が分かりません。

 エアコンは特定機器としてトップランナー制度で基準を決めており、市場で最も省エネ性能が高い製品を基準として、メーカーは出荷する製品全体の平均で基準値を達成することが求められます。ttps://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/equipment/
(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)
 たとえば、2027年から6畳用(2.2kW)のエアコンの通年エネルギー消費効率(APF:Annual Performance Factor)を基準にして5.6から6.6に切り替わります。APF は規格JIS C9612で決められています。

 簡単化のためあるメーカーZ社が2026年1年間の製造する6畳用(2.2kW)のエアコンで、APF が4.6のエアコンを1万台、5.6のエアコンを2万台、6.6のエアコンを1万台製造しているとするとAPFの平均は5.6となり基準を満たしていることになります。

 一方、2027年になるとこの平均を6.6以上にする必要があり、製造台数を同じにするためには4.6のエアコンの製造を無くして、5.6のエアコンを1万台、6.6のエアコンを2万台、7.6のエアコンを1万台として平均を6.6にする必要があることになります。

 あくまで製造時の問題ですので、既に製造したエアコンや取り付けられているエアコンはこの数に入りません。2026年に製造して在庫として残ったものは規制されないので2027年から急に価格が上昇することは基本的には無いはずです。制度が良く分からないことに付け込んでエアコンの販売会社が、まだ交換の必要の無いエアコンの買い替えを促進している可能性があります。

 基準を変更する際にはずいぶん前から予定されているので、メーカーは十分準備しているはずです。

2026年06月29日
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