62.セルフのガソリン給油での危険性

 

 2026年5月9日の25℃に近い気候でも静電気でガソリンが引火して火事になったとの報道がありました。ガソリンは静電気の放電のような小さな放電でも引火することが知られています。

 人体に貯められた静電気の電荷Qが指先と自動車との間に発生する静電容量Cとなった時の電圧VはQ/Cで決まります。この際、電圧が「3.コンセントの電圧はなぜ100 V(パッシェンの法則)」で記載したように320 V以上で放電する可能性があります。

 セルフのガソリンスタンドでおいて、この放電を防止するために体に貯められた静電気を取り除くために徐電のための電極が給油機にあります。
人間の抵抗は、手のひらと足の裏は乾いた状態でそれぞれ1 kΩと言われています。ガソリンに引火するような指先からの放電する わずかに痛みを感じるのは4 kVとされています。(人体の帯電防止対策:https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/20/6/20_368/_pdf)

 人体が立っていて足裏の面積が0.03 m2で靴の厚さ2 mm、靴底の比誘電率が3とすると対地間の静電容量は約700pFとなります。一方、人間と自動車との間の静電容量は、人間の面積を1 m2で距離が30 cmとすると約30 pFとなります。合計で約1000 pFとして計算すると、この状態では4 µCが溜まっていることになります。衣服の摩擦で発生する可能性のある47 kVから放電が発生する限界の320 V以下まで減衰するためには時定数の5倍を必要とします。人体と対地間の静電容量C(1000 pF)と手のひらの抵抗R(1000 Ω)の積である時定数は1 µsであるので、ちゃんと手のひら全体で接触させれば5 µs以上は必ず接触するので十分であることが分かります。

 問題は自動車のガソリンの給油口を開ける直前に静電気の電荷を逃がす必要があります。一方、私は危険物乙種4類の資格を持っていますが、未だに自分で給油するのは怖いのでセルフのガソリンスタンドを利用することはほとんどありません。

(2026年5月18日に一部加筆修正しました。)

2026年05月11日