64.雷インパルス電圧試験が必要になった理由

 

 エジソンが作った会社General Electric(GE)社で直流送電を実用化しました。しかし、当時は直流の昇降をすることができないため低圧の送電しかできないため、発電機の近くしか電気を使えませんでした。このため雷の影響が少なかったはずです。

 一方、ウエスチングハウス・エレクトリック(WH)社で使用された交流は変圧器で容易に電圧を変えられるため、高い電圧にして遠くまで送電できるようになりました。しかし、電圧が高くなると絶縁するために、送電線を高い位置にする必要が出てきました。その結果、高いところにある送電線に雷が落ちるようになりました。

 雷は送電線を伝わって変圧器に侵入します。すると、変圧器の高圧巻線の高圧部分が絶縁破壊をして変圧器が故障する事象が続きました。このため変圧器が雷に耐えるかどうかの試験をする必要がでてきました。しかし、どのようにして波形を決めたのかは不明です。

 アメリカ合衆国では試験電圧は1.0/40µsにして実施していますが、実際に変圧器に電圧を加えると変圧器の静電容量が非常に大きいため立ち上がりは1.0µsのでは印加できず、場合により2~10µsのような遅い時間になってしまいます。このような早い立ち上がり時間になっていなくても、変圧器巻線内の電圧分担は均等にならず、巻線の高圧部分にほとんどの電圧が加わって破壊することが分かりました。

 この対策として高圧巻線の高圧部分の巻線の絶縁を強化することや、巻線内の静電容量を調整して電圧の分担を均一に近づけることで絶縁破壊する確率が大きく減少し高い信頼性のある変圧器が実現しました。

2026年05月26日