65.交流と直流の覇権を掛けた電流戦争
「64.雷インパルス電圧試験が必要になった理由」で書きましたが、エジソンが作った会社General Electric(GE)で125 Vの直流送電を始めました。送ることができる電力P は電圧Vと電流Iの積V×Iで決まります。しかし、発電した電圧Vが低いために多くの電力Pを送るために電流Iを大きくする必要があります。
電気の損失ΔPは流れる電流Iと電線に分担される電圧ΔVの積ΔV×Iに比例します。電線に分担される電圧ΔVは電線の抵抗Rと電流Iの積で表されるために、電線損失ΔPは電線の抵抗Rと電流の2乗I×Iの積R×I×Iに比例することになります。この結果、同じ電力Pと電線の抵抗Rが同じであれば電流Iが大きいと非常に大きな損失ΔPを出します。電流Iが小さいと損失が小さくなります。
この結果、低い電圧しか発電できなかったGEの送電網では電圧が低く遠くまで送電すると損失が大きくなりすぎて遠くまで送電することができませんでした。この結果、地域毎に発電機を設置して送電をおこなう必要があるため効率的ではありませんでした。
一方、WH(ウエスチングハウス)はGEから転職した二コラ・テスラが提唱した交流送電を推進していまいた。交流は変圧器を用いれば容易に電圧を高くしたり低くしたりできるため、遠くに電力Pを送電する場合に電圧Vを高くして電流Iを小さくすることで電線での損失ΔPを減らして効率良く送電が可能となりました。送電線で高電圧にして電力を送るのは上記の理由です。
このため大容量の発電機を1つ設置すれば広範囲に電力を送ることができ効率的であり経済的に優れたため交流が有利となりました。直流は交流より利便性で負けていたため、エジソンは直流よりも交流の方が危険であるという印象を世間に広めるため死刑執行に交流を用いることなどをおこないました。これらの内容は2017年に公開された映画「エジソンズ・ゲーム」として詳しく描かれています。