72.初期の雷インパルス電圧発生器
変圧器が雷に耐えるかどうかを検証するために作られた雷インパルス電圧発生器は今の一般的な形とは大きく違いました。最初の雷インパルス電圧発生器はひな壇のような階段を木で作製し、その各階段の段にコンデンサを載せて構成していました。それぞれの段の幅は、30~50㎝になります。
東芝京浜事業所で最初にできた2500 kV雷インパルス電圧発生器は階段状に伸びた構成のため非常に広い面積を必要としていました。まるで太古の出雲大社のような雄大な構造物でした。1952年東芝の京浜事業所で最初にできて、1971年に浜崎工場にできた4MVの雷インパルス電圧発生器は2000年に撤去されてもうありませんが、設置面積を減らす工夫がされており、据付面積は3.5m×3.5mで階段が2か所でジグザグに折曲がる上中下の3段構造でした。
各段は9ステップで合計27ステップありましたが、上部への人が登る構造と踊り場を作ったため、下段、中段のステップは8段、上段は9段の合計25の段の左右に合計50個のコンデンサを乗せた構造でした。コンデンサの定格は80kVで80×50=4000kV(4MV)の電圧になります。直線に延ばしたひな壇だったとすると据付面積は3.5m×10.5mと3倍になったはずです。
発生電圧を調整するために4MV雷インパルス電圧発生器は木の階段を登って配線を変えてコンデンサ数の調整をするのですが、1ステップの高低差30cm×25=750㎝と発生器の台座を含め8m程度です。一番上に上がると結構揺れて怖い思いをしました。
当時手伝ってもらった実験助手のDさんは前職がトビ職の方でした。Dさんは非常に身が軽く高いところまですいすいと登ってしまうすごい人でした。Dさんが言うには、「木の足場はそれほど怖くない。壊れる前に大きな音がするので音がしたと思ったらすぐに退避すれば問題ない。揺れるだけなら問題ない。しかし、金属の足場はいきなり壊れるので怖い。」とのことでとても参考になりました。