16.2022年の練習録

今年も 2016年2017年2018年2019年2020年2021年 と同様の頁を起こすことにしました。

 

2022年1月:プロコの7番録音してみた

昨年末の昔の仲間内との宴会では、フォーレの夜想曲13番(まあまあ)、プロコの古典交響曲(余り受けず)、プロコの7番(最後の最後で軽崩壊したが、まずまず)、ラヴェルのトッカータ(最後で中崩壊したがギリギリ停止は免れて、それ以外はまずまず)、ショパン=ゴドフスキーの1番(半ばで重崩壊し再起動不可で放棄に至る)、を弾いたように記憶しています。ショパン=ゴドフスキーなんか、老化劣化状況の定点観測を毎年しているようなものです。

で、本年は「フォーレの夜想曲7番」で始めるつもりだったのですが・・・

ふと思い立って、プロコの7番を録音しましたので、そちらを先に紹介することにしました。リンク先はこちらです。

昨年切れた弦がかなり狂っていたのを簡易に調律して・・・それでも唸ってましたね・・・、現役ほぼ引退しているカメラを掘り返して、録音機も久しぶりにセットして、とりあえず弾き始めました。録音のセットをしているだけで小心者は多少あがってしまい、いつになく「走る」箇所がいくつか出来てしまいましたが、とにかく終楽章まで無停止で通ってしまいました。部分的にはもう少しマシに弾けるはずと思うところもありますが、編集無し前提ならこれ以上を望むべくもないか、と思い、テイク1のみで終了としました。この曲を知りたい人が聞くべきものではないというか、二流素人としてはマアマアというか、そんな代物です。

高校生の頃にリヒテルの1,000円LPで知って以来ですから、最近弾いている曲の中では、一番早い時期から好きだった曲になります(知っているだけならスケ4の方が先ですが、好きになったのは社会人になってホロヴィッツの録音を聞いてから)。子供の演奏会に出せる曲でもなく、これまで録音の機会がなかったのですが、これでようやくこの曲に対する思い入れを成仏させられるように思います。(ここまで22.01.23)

 

 

 
2022年2月:フォーレ夜想曲第7番

仲間内との年末宴会で、「バッハのフランス組曲とイギリス組曲とどっちが好き?」の話題になり、疎外感を感じておりました。その上に「hasidaさんベートーベンの後期弦楽四重奏曲好きでしたよね?」と言われて、この半年で、ほぼ20世紀音楽にしか私が耳を向けていなかったことを自覚しました。この間「スケ4」を唯一の例外として、19世紀ないしそれ以前に完成した曲を全く弾いていませんし、オペラを別枠にしてしまうと、フォーレより前の作曲家の曲の録音を全く聞いていませんでした。オペラ以外で積極的に聞いていたのは、フォーレ、バルトーク、プロコフィエフ、ウォルトン、ヒナステラで全部だったような気がします。

という中でのフォーレの夜想曲7番です。昨年時点では譜面に目を通していませんでしたが、既にジャン=フィリップ・コラールのCDでこの曲だけエンドレス再生したりしていました。まりんきょ御大の「第 6 番、第 7 番、第 13 番が傑作といわれることが多い」を丸々なぞることになり、そのことを年末宴会で御大ご本人から指摘され?(からかわれ?)ましたが、6番の次の13番に手を出した際の後ろめたさはもうありません。夜想曲と舟歌13曲ずつをそれなりの回数聞いた上での選択ですので。

第6番は、冒頭のメロディの印象がきわめて強く、「ダンテを読みて」「スクリアービン5番」ほどではないとしても「冒頭の強過ぎる印象に後続が追い付かない」感が少しあります。それに対し、第7番で御大も絶賛するのがコーダです。はっきり印象に残るメロディを繰り出すことなく、大きく盛り上がらない代わりに緩みもせずに、じわじわぐねぐね続くのに妙な中毒性があります。(ここまで22.02.06)

主部と言っていいのかどうか知りませんが、冒頭から暫くは18/8拍子です。一小節が全音符2個分以上になるのは他の例を思いつきません。この引きずるようなリズムですが、私としては出来るだけ優しく軽く弾きたいのです。その際に邪魔なのがダイナミクスの指示です。2小節目から3小節目にかけて「cresc. molto」なんて書いてありますが、こんなの真に受けると重くなり過ぎます。「フォーレは微温的であるべき」という自身の先入観からくる思い込みを優先して、作曲者の指示は見ないことにしています。11小節目の「Un poco piu mosso」も当然無視です。

中間部(Allegroのところ)が何とも素敵です。これがコーダに発展して更に素敵になって終わる曲だと思ってます。主部とのテンポのコントラストは、今のところ付けるつもりもありませんし、付ける余裕もありません。

32小節目の、J=F・コラールの譜読み違いは、御大のページ(曲の説明の場所ではなくて「4.CDなど」のコラールのところにあります)に随分前から書いてあったのは承知していましたが、内容を把握したのは今年になって譜読み初めてからになります。手元に楽譜があっても普通の人ならそんなものでしょう。「導音で粘る指示のところを、主音先出しと読み違える」点で、夜想曲13番の譜読み違いと共通します。このあたりコラールの趣向もあるのでしょう。どちらも、その箇所の音楽の流れを大きく変える読み違いになります。ただ、夜想曲13番のは論外と思えるのですが、7番の方は「フォーレならやりかねない」とも思えてしまいます。楽譜を読む前に繰り返し聞いた刷り込みの回数の差によるものかもしれませんが。

などと他人のことをあげつらう余裕もない程に、譜読みが大変です。13番に劣らず予想外の和声進行が頻出します。繰り返しコラールの録音を聞いているはずなのに、自分が弾いているのが正しいのかどうかが分かりません(そもそも毎回違う音を弾いているのかもしれません)。全体に#6つ(嬰ヘ長調)なのに、登場する15の音符全てにフラットかナチュラルの付く72小節目、右手でEナチュラル、左手でDダブルシャープ(つまり同じ音のオクターブ違い)を同時に弾かされる63小節目、など、「フォーレさん全くもう!」の種は尽きません。(ここまで22.02.13)

 

 

 
2022年3月:引き続きフォーレ夜想曲第7番

大分すんなりと弾けるようにはなってきました。コラールの演奏を聞くと自分の譜読み違いが幾つかあるような気がしてしまうのですが、良く分かりません。間違えていたとしてもコラール自身の「やらかし」よりはマシだろうから、細かいところは追求しないことにしました。そして先月に書いた通り、テンポを積極的に変えることは全くしていません。

家族在宅時に弾く曲では、この曲を弾く頻度が一番多くなっています。このグネグネした曲にトキメクのは、ピアノ弾きの特権のような気がしてきました。他人に聞かせて心を揺さぶるのは難しそうですが、私自身そういうのが気にならない年齢になってきました。

家族在宅時の曲としては他に、フォーレ夜想曲13番(6番はお休み)、ショパン=ゴドフスキーのエチュード1番(24番はお休み)、時々はスケ4、というラインナップになっています。不在時の、プロコの7番とラヴェルのトッカータ、は変更なしです。左手の運動性向上に効果絶大だったショパン=ゴドフスキーの一方を落とすのは、残念な面もあるのですが、脳内容量に余裕を持たせるにはやむを得ないように感じています。(ここまで22.02.13)

 

 

 
2022年4月:メフィストワルツ3番

突然この曲を復活させ始めました。長男の鼻歌に、この曲に頻出する音型「レーーーーードレドミレド|シーーーーーラシラドシラ」(シャープもフラットもなし、トニカも不明なので、「固定ド」の表記ということにして下さい)が出てきたのがきっかけです。家族の鼻歌に出てきた曲を紹介した頁にも既出の曲ですが、そちらに書いたのが10年近く前、当時まだ幼かった長男の記憶の底に眠っていたものが突然出てきたようです。となると、父ちゃん弾かない訳にはいきません。

指の記憶が殆どなく、しかし耳の記憶は鮮明、という厄介な面もある状態からの再開になりましたが、割と早く形になってきました。以前は「メフィストの哄笑」を強調しようとしていたのを、年寄りの諦めに寄せて・・・「忘れられたワルツ」に近づけたイメージで・・・テンポ遅めで弾くようにしている分、より安定しやすくなったようです。流石に「プロコ7番」「ラヴェルのトッカータ」よりは大分簡単な曲です。

前から苦戦していたのが、大狂騒が徐々に収まってからの左手の16分音符の幅の広いアルペジオが続く地帯、ですが、これは大狂騒が収まっていく過程でテンポもしっかり落としてしまうことにしました。左手の指使いを固定にして、耳の記憶にある和声進行に頼ると意外と簡単に通るようになりました。ここ以外では、2小節分だけですが以前から全然弾けなかった、大狂騒の最中の「両手ともオクターブのバラバラ進行」は、誤魔化しようもなく苦戦が続いています。シャープ6つで、黒鍵に上がったり下りたりするのが両手でバラバラなのが如何ともし難く大変なのですが、地道に記憶を刷り込みなおすしかないようです。

この曲は家族在宅時にも弾けることにしていて、他のメンバーは先月から変わっていません。フォーレの7番も引き続き楽しく弾いております。(ここまで22.04.30)

 

 

 
2022年5月:電子ピアノを処分しました

まあ、最近弾いてませんでしたし、確か鳴らないキーもある状態でしたし。「電子ピアノは家電扱いなので8年経ったら価値ゼロで処分費用発生」とは調律師に前から聞いておりました。家内から「寝室の模様替えをしたいから今ある場所から動かせ」と命じられても、行先の当てもなく、処分となりました。

処分屋をネットで探すと、電子ピアノの処分費は「最低1万5千円」で揃っていたようなので、そのうちの一つに来てもらいました。現物見てその場で「3万7千円+税」で合意し持って行ってもらいましたが、最重量級電子ピアノなので屈強そうな男性二人でも2Fからの搬出に苦労されてました。
   「搬入の時はどうされたのですか」
   「引っ越しの際に、引っ越し屋さんが気合で運んでましたよ」
   「ストレート階段だから運べますけど、曲がっている階段だったら無理でしたね」
などと会話しつつ、四半世紀ほど身近にいた愛機とドナドナしました。

メフィストワルツ3番は、粗方弾けてるけれど弾けないところは相変わらず、という点で、先月から変わり映えしていません。その他で弾いている曲目も変わりありません。(ここまで22.05.29)

              

TOPへ クラシックの部屋へ