短歌とは
季語があり、5・7・5・7・7の発音で作られた唄。
はるにさく さくらのはなの そのしたを とおるまちびと はつこいなみき
春に咲く 桜の花の その下を 通る待ち人 初恋並木
思春期に桜並木で好きなあの子を待つ心境・・ドキドキのような緊張の中、向こうから歩いてくるあのコ・・
ひなまつり おもいだすのは かぞえうた あぁなつかしき ははのうたごえ
雛祭り 思い出すのは 数え唄 嗚呼懐かしき 母の唄声
小さいころ、雛祭りになると謡ってくれた数え唄。今でも雛祭りには聞こえる気がするよ・・
あめやまぬ ごがつのそらに にじをみて はやいくとせと こいをかたれり
雨止まぬ 五月の空に 虹を見て 早幾年と 恋を語れり
一瞬あがった雨。雲の合間に見えた虹、さわやかな空気に心も洗われる。過ぎ行く年月は早いね。
あいたくて ただあいたくて あえなくて なみだをながす あめのごがつに
逢いたくて 只逢いたくて 会えなくて 泪を流す 雨の五月に
逢いたくて逢いたくて、雨に流す泪もあるよね?
さくらがに くもをながめて らいしゅんは さけよわがこい くものかなたに
桜香に 雲を眺めて 来春は 咲けよ我が恋 雲の彼方に
桜の香りが漂うころ、うちの庭の桜はまだ咲かないのかな?来年こそは花を付けてくれるといいな・・
しおまねき まねるわがこを ながめれば あぁたからぞと おもううつつに
汐まねき 真似る我が子を 眺めれば 嗚呼宝ぞと 想う現に
砂浜でシオマネキのまねをする我が子。人生最高の宝なんだなぁと実感する一刻・・
ありがちな こいもおぼろの つきのした じゅうにひとえで まうもよしかな
在りがちな 恋も朧の 月の下 十二一重で 舞うも良しかな
月明かりの下の着物姿の貴方に一目惚れもアリかな?
うつしよを いとしおもいを かさねても つゆにみあげし まほろばのこい
現を 愛し思いを 重ねても 梅雨に見上げし まほろばの恋
どんなに恋焦がれても貴方と私の恋は幻。見てるだけでいいの・・
うつろぞら こいしおとめの こころにも つゆおとずれし ときもありきに
虚ろ空 恋し乙女の 心にも 露訪れし 刻もありきに
失恋してすぐになんて恋愛できないよ・・
かんなづき みあげたそらは あかねいろ こいいろそまれと とほかえりみち
神無月 見上げた空は 茜空 恋色染まれと 徒歩帰り道
こんな綺麗な夕焼けを大好きなあなたと見たかった。
げきあいに みをまかせては だくりゅうの ごときおもいと きみをみつめり
激愛に 身を任せては 濁流の 如き想いと 君を見つめり
好きで好きで仕方ない気持ちは洪水のように溢れて・・
こいかたり めぐるきせつに はなさかせ またおとずれし はつゆきのはな
恋語り 巡る季節に 華咲かせ また訪れし 初雪の華
友達と毎年語る恋愛談。雪の降るころ、また新しい恋が始まった。
こいうたを ふりくるゆきに きかせれば こいもかなうと きみをはげまし
恋唄を 降り来る雪に 聞かせれば 恋も叶うと 君を励まし
想いは想ってるだけでは伝わらないんだよ?
こもれびで せみのなきごえ ききながら まひびとくると こころおどらせ
木洩れ日で 蝉の鳴声 聞きながら 待人来ると 心躍らせ
光の振り込む木陰で貴方を待っているの。風が気持ちいいよ。
なつまつり おわったあとの むなしさに こいはにてると おもううつつに
夏祭り 終わった後の 虚しさに 恋は似てると 思う現に
あんなに賑わったお祭りなのに、終わった後はなんと寂しい公園なのだろう・・
たももって むしおいこども えがおみて こどもにかえる なつのひととき
タモ持って 虫追い子供 笑顔見て 子供に返る 夏の一刻
あぁ、子供の姿というのはいつの時代も夢を追っているのだなぁ・・独り言のように西瓜を齧りながら呟いていた・・
なつのよに てんしうたごえ ききながら ねむるおさなご ふるさとがえり
夏の夜に 天使唄声 聞きながら 眠る幼子 故郷帰り
心地よい光にほんわかと眠気に教われ寝てしまう。夏のとある休日。
とこなつの よるにつどいし ゆうじんと ことばあそびも またおもいでと
常夏の 夜に集いし 友人と 言葉遊びも 又思ひ出と
ビールで乾杯しながら久々の友人たちと会話する。昔の思い出話も飛び交う一時
なつのよの はなびにうつる よこがおに こいのやまいと しるひともなし
夏の夜の 花火に映る 横顔に 恋の病と 知る人も無し
花火に照らされたあの子はいつもよりとても可愛く見えちゃうよね?
あじさいに ちるこいかなし かたりけり いのちみじかし こいうたのはな
紫陽花に 散る恋悲し 語りけり 命短し 恋唄の華
アジサイに失恋を語る少女。また、来年も紫陽花は咲くよ。
なつのよの そらにさくはな こいばなと かなうことなく ちるはかなしき
夏の夜の 空に咲く花 恋花と 叶う事無く 散るは悲しき
大きく派手な打ち上げ花火。一瞬の感動で消えてしまう・・
きみだけを あいしやまない わがこいは なつのひまわり はいすいのこい
君だけを 愛し止まない 我が恋は 夏の向日葵 背水の恋
向日葵のように前向きに、でも、後が無いからそれだけ真剣。
あおぞらに にゅうどうぐもを おいかけて はるかかなたと またはしりけり
青空に 入道雲を 追いかけて 遥か彼方と 又走りけり
走っても、走っても遠い入道雲・・君はどこまで追いかけるの?
しつれんの なみだをながす あじさいに らいねんもまた ここにきたれり
失恋の 泪を流す 紫陽花に 来年も又 此処に来たれり
雨で雫の乗ってる紫陽花は、心なしか失恋した自分とかぶってしまうね。
まんげきょう のぞきこみたる わがじんせい まわしてさがす ひまわりのこい
万華鏡 覗きこみたる 我が人生 回して探す 向日葵の恋
色とりどりの万華鏡。回したら色々な形になって、それらはまた美しく、綺麗な花を咲かすでしょう。
さがしゆく いろこいざたは あじさいの いろあざやかな はなのいろかな
探し行く 色恋沙汰は 紫陽花の 色鮮やかな 華の色かな
色恋沙汰は千差万別。華の様に美しく、育てるのも難しい。
なつやすみ にゅうどうぐもに さそわれて なみまにおどる まほろばのこい
夏休み 入道雲に 誘われて 波間に踊る まほろばの恋
『夏』『海』恋の予感!?・・でも、そんなの幻。
まなつびに こころすずみし ふうりんの ねいろにほれて なつくさのこい
真夏日に 心涼みし 風鈴の 音色に惚れて 夏草の恋
軽やかな風鈴の音は心を安らぎにし、新たなる青臭い恋もできそう?
ひまわりに きみへのおもい かたりけり くもおいかけし こうげんのなつ
向日葵に 君への想い 語りけり 雲追いかけし 高原の夏
花に告白する君は幼く、そして可愛い。
みしらずの はなのすがたに みせられて つゆにぬれつつ ことのはをよむ
見知らずの 華の姿に 魅せられて 梅雨に濡れつつ 言の葉を詠む
散歩中、ふと目に付いた名前も知らない花。カメラも持ってないから、唄にして記憶に残す。
なでしこの つゆにぬれゆる そでぐちに こいもうつろと きみをながめり
撫子の 露に濡れ揺る 袖口に 恋も虚ろと 君を眺めり
ナデシコの花も露に濡れ、葉が揺れている。物思いに更けたまま花を見つめている。
であいさえ あじさいのいろ いろづけば こいもかわると ゆめのおてがみ
出会いさえ 紫陽花の色 色付けば 恋も変わると 夢のお手紙
「いいことあるさ」これが君の口癖。
あじさいに こいのいろはを とくきみを みるもかなしき こいものがたり
紫陽花に 恋のイロハを 説く君を 見るも哀しき 恋物語
恋なんて、そうそう理解できるものじゃない。
つゆにまつ きみのすがたに かさをだし なみだをふこうと れんあいじょうか
梅雨に待つ 君の姿に 傘を出し 泪を拭こうと 恋愛情歌
こんなベタな恋愛もあるよね。演歌でも流れてきそう・
つゆにさく あじさいながめ まどにたつ しょうじょのおもい かのこいびとか
梅雨に咲く 紫陽花眺め 窓に立つ 少女の思い 彼の恋人か
病院の窓辺から見える紫陽花を見て君は何を想うの?
あめのなか きみがあゆむは かきつばた うすむらさきに いろどるもよし
雨の中 君が歩むは 杜若 薄紫に 彩るも善し
紫陽花咲く小道を歩けば薄紫の世界に・・(行けない)
あんどんと ほたるのあかり さそわれて きこえてくるは ははのうたごえ
行灯と 蛍の灯 誘われて 聞こえて来るは 母の唄声
蚊帳の外で唄う母親。蛍の光が印象的だったね。
れいすいに しろきころもの まいてんし やすめしはねの みずばしょうかな
冷水に 白き衣の 舞天使 休めし羽の 水芭蕉かな
水芭蕉の花は天使が休んでいるように見えるよ。
こいごころ うつろうこころ あじさいの みずのたまさへ なみだのきせき
恋心 移ろう心 紫陽花の 水の玉さゑ 泪の軌跡
涙の痕も雨に流そう?
うきよえの あじさいのはな あざやかに かざるじだいの えいがのあとか
浮世絵の 紫陽花の花 鮮やかに 飾る時代の 栄華の痕か
机上の空論。今、まさに其。
ことのはの あじさいとはむ こいうたに ふるきこいさへ ゆめとかざれり
言の葉の 紫陽花と噛む 恋唄に 古き恋さゑ 夢と飾れり
言葉でだけなら何とでも言えるよ。
あさひさす でんせんのうえ とまりくる すずめのおやこ つゆのあさぎり
朝日差す 電線の上 止まり来る 雀の親子 梅雨の朝霧
朝、2Fから見える電線にすずめの親子が止まって鳴いている。
おさなきが かさにかくれて にらめっこ きざむびょうしん ゆつのきゅうじつ
幼きが 傘に隠れて にらめっこ 刻む秒針 梅雨の休日
勝負の一瞬とは何とも時間の流れるのが遅いことか・・
えんせいの はてにつきたる なのはなばたけ みたまのやすらぎ いうがごとしに
厭世の 果てに着きたる 菜の花畑 魂の安らぎ 言うが如しに
菜の花畑にくると、魂が安らぐようだ。
はなずかん めくりてうたを よみにけり つばきのはなを しらずわがこに
花図鑑 捲りて唄を 詠みにけり 椿の花を 知らず我が子に
自然の少ない今の世に、儚さを憂う優しさを教えたいね。
みずばしょう てんのかいだん あがりとて いまもむかしも われかいらなり
水芭蕉 天の階段 上りとて 今も昔も 我傀儡也
この世は一人じゃ生きられない。肝に銘じろ。