☆雑談〜ある日ある時ある場所で〜
その1“Winter Journey”
3月某日、コーヒーを飲みながら・・・
剣吾;「なあ、おまえら“さや”って娘知ってるか?」
日奈;「さや?う〜ん・・・その子がどうしたの?」
信乃;「俺達に聞くってことは雪女関係か?」
剣吾;「ああ、なんでも一緒に温泉に入ってたらお湯が凍りだしたっていう話を聞いてさ」
信乃;「一緒に温泉?まさか混浴?」
剣吾;「いや、残念ながら違うらしい」
信乃;「じゃ、一緒に入ってたってのは女の子なのか?」
剣吾;「もちろん。一緒にいたのは2人で、ショートの元気な娘と長い黒髪のすごい美人なんだとさ」
信乃;「美人?!名前は?」
剣吾;「いや、残念なことに。俺も聞いたんだけどな」
日奈;「・・・話がそれてないかな?ん?」
信乃;「うわっ、コーヒーが凍るからやめろって!」
日奈;「いくつぐらいの娘なの?」
剣吾;「ショートの娘も髪の長い娘も10代後半、ってところらしい」
日奈;「・・・(無言のまま冷却の妖術で気温を下げる)」
剣吾;「寒っ!分かった分かった、真面目にやるって!・・・さやって娘はだいたい12くらいだそうだ。」
日奈;「じゃ、雪女っていうよりは雪ん子に近いかもしれないわね」
信乃;「最近、山に帰ってないから新しく生まれた娘は分からないからな」
日奈;「それで、その後どうなったの?」
剣吾;「いや、今のところこれくらいしか聞いてないんだ。だいたい福島の話だから俺達の出番無いしさ」
信乃;「別に危害を加えたわけでもないんだろ?ならほっといてもいいんじゃないかな」
日奈;「そうね。今ごろあんまり人前で妖術使わないように、ってうちの長老に怒られてるかもよ?」
その2“にわか雨”
ある昼下がりに・・・
カランカラン♪
悠美;「いらっしゃいませ!・・・って、あれ、日奈じゃない?どしたの?」
日奈;「いきなり雨が降ってきてさぁ。もうびしょびしょ。・・・ちょっとシャワー貸してくれない?」
悠美;「あ、今仁美姉が使ってるんだわ・・・」
日奈;「ええ〜っ!何時からなの?」
悠美;「まだついさっき・・・」
日奈;「そんなぁ〜、それじゃ早くても後1時間は使えないじゃない〜」
悠美;「仁美姉長いからね。毎日念入りに身体磨かないと生きていけない、って言ってるくらいだし」
日奈;「ほんとに死んだりしないんでしょ?まあ、気持ちは分からないでもないけど・・・」
悠美;「ここのシャワー室管理してるのは仁美姉だからね。文句は言わないの」
日奈;「あ〜あ、じゃ、氷貸して。うちに帰って浴びることにする・・・」
悠美;「あっという間にうちに帰れるなんて便利だよね〜。どうぞ、ご自由に♪」
※今は占いの店にシャワーがついたため、仁美がNightsのシャワー室を使うことは少なくなったようです。
その3“出会い”
数年前の秋の夜のこと・・・
日奈;「ねえ、なんかこのあたりの通りって人が少ないね」
信乃;「と、いうか少なすぎるぜ。いくら夜だからっていっても・・・まさか人払いの結界?」
日奈;「お兄ちゃん、あっち!今なにか光った!」
信乃;「よし、行ってみるぞ・・・って、こらっ!一人で先に行くなっ」
(人気のない駐車場で戦闘中の剣吾たち)
悠美;「これでどうだっ!・・・えっ、よけられた?!」
剣吾;「あ、こらっ逃げるな!」
悠美;「まずいよ、あいつのスピードにはアタシ達じゃ追いつけない!」
剣吾;「とにかく追うぞ!」
悠美;「うん、アタシ先に行くね!(注;悠美のが剣吾より足が速い)」
信乃;「日奈、危ない!」
日奈;「え?きゃっ!」
逃げてきた妖怪;「どけっ、邪魔だ!」
日奈;「何すんのよ!(逃げてきた妖怪を氷斬鞭でからめとる)」
逃げてきた妖怪;「ぐえっ!何しやがる!」
日奈;「いきなりレディを突き飛ばすなんてしつけがなってないわよ!」
信乃;「・・・いきなり鞭で縛るのはいいのか?・・・」
日奈;「細かいことは気にしないの♪・・・ちょっと、逃がさないわよ!」
逃げてきた妖怪;「くそ〜、抜け出せんっ(じたばた)」
悠美;「待てこらーっ!・・・って、あれ?」
信乃;「君か?こいつと戦ってたのは。」
悠美;「そうよ。そいつは“指名手配中の強盗”よ(注;そういう妖怪なの(^^;)」
日奈;「ねえねえ、これどうしよう?」
信乃;「この人に引き渡しちゃっていい・・・んじゃないかな?」
悠美;「なに、その歯切れの悪い言い方は(^^;」
信乃;「妖怪は見た目じゃいい奴か悪い奴か分からんってのは常識だろ」
悠美;「まあ、その通りなんだけど(^^;・・・あ、そのままでいいよ。このまま依頼人に引き渡すから」
日奈;「依頼人?」
悠美;「そ。富山の薬元堂ネットワークって知ってる?」
信乃;「たしか薬売りのネットワークだったっけ。(注;妖怪“薬売り”、人間じゃないよ)」
悠美;「そこからいろいろと霊薬を盗み出したんだってさ」
剣吾;「ふう、やっと追いついた。・・・あれ?君たちは?」
日奈;「わたし達、今日こっちに引っ越してきたんです」
信乃;「あ、もしかしてあなたたちは“Nights”の?」
剣吾;「そうだ。君たちはもしかして今朝連絡のあった雪女ご一行さんかい?」
日奈;「そうで〜す☆これからおせわになります♪」
悠美;「こちらこそ。・・・いきなり助けてもらっちゃったしね」
信乃;「自己紹介がまだだったね。俺は結城 信乃。こっちが日奈」
悠美;「信乃に日奈ね。アタシは美月 悠美。悠美でいいよ。で、こっちがいちおうリーダーの剣吾」
剣吾;「よろしく。頼りになる仲間が増えてうれしいぜ。特にかわいい娘は大歓迎だ」
日奈;「まあ☆かわいいだなんて、そんな本当のこと(^^)」
信乃;「何言ってるんだか・・・言っとくが、日奈に手だしたら容赦しねぇぜ」
悠美;「大丈夫よ。剣吾って口だけだから」
剣吾;「おいおい、そりゃないだろ(^^;」
信乃と日奈が“Nights”のメンバーになった時の話。
このとき仁美と誠二は別件で京都へ出かけており、来夢はまだ仲間になっていない。
その4“Winter Journey〜その後〜”
6月某日、カウンターで・・・
剣吾;「あ、そういえば前に聞いたさやって娘なんだけどな」
信乃;「さや?ああ、あの美人と一緒に温泉に入ってたってあの娘か」
日奈;「なんでそういう覚え方してるかな〜?」
剣吾;「まあ、まあ。思い出したか?」
信乃;「ああ。お湯が凍ったって話だろ」
剣吾;「あれな、結局雪女関係じゃなかったらしいぜ」
信乃;「へえ。どおりで聞いたこと無いと思った」
日奈;「で、結局なんだったの?」
信乃;「お湯が凍ったのは本当なんだろ?」
剣吾;「いや、どうやらそれが幻術関係だったらしいんだ」
日奈;「それじゃ狐とか狸なのかな」
信乃;「雪山の中なら結構知り合いは多いけどな」
剣吾;「どっちも違う。森の精・・・みたいなもんらしいって話だ」
日奈;「なんかあいまいね」
信乃;「どういうことだ?」
剣吾;「実はさやってのは50年くらい前に亡くなった人らしいんだ」
日奈;「?」
剣吾;「その旦那さん、しげって人がその一週間前に亡くなってな・・・」
信乃;「それじゃ、その人達の想いから生まれたのか」
日奈;「でもそんな程度じゃ妖怪になんてなれないんじゃないの?」
剣吾;「だからはっきりしたことは分からないんだよ」
信乃;「もしかしたら森の精がその人達の想いをうつしだしたのかもしれないな」
その5“1999・夏 〜信乃と来夢と日奈の場合〜”
7月末日、とある高原へ避暑に来て・・・
来夢;「あ〜、やっぱり高いところは涼しくていいね〜☆」
日奈;「そうかなぁ?避暑地とは言っても昼間はまだまだ暑いよ〜」
来夢;「でも下界にいるよりはいいでしょ?」
日奈;「下界って・・・(苦笑)。そうね、風も気持ちいいし。来て良かったわ」
来夢;「景色もきれいだよね。人も少ないし」
日奈;「と、言うより“人間”は全然いないんじゃ・・・?」
来夢;「いくらマナーの悪い観光客が嫌いって言ったって、高原全部に人払いの結界はるなんてやりすぎだよね」
日奈;「怪しさ大爆発だからやめろって言われて2,3年でやめたんだって」
来夢;「あれ?じゃあなんで人がいないの?」
日奈;「あんまり強い結界だったんで後遺症がでてるのよ」
来夢;「そっか。でもおかげでこうやってゆったりとした避暑ができるんだよね。ちょっと感謝かな(^^)」
日奈;「来年もまだ人が少ないようだったら来てもいいわね」
来夢;「その時はまたおっきな氷用意してもらおうね」
(実は途中の移動がめんどうくさくて、日奈の妖力“氷の門(氷から氷へ移動する妖力)”を使って来たのだ)
日奈;「さ、そろそろ狸のおじいさんのペンションに帰りましょ」
来夢;「ねえねえ、そういえばさっきから信乃さんがいないよ」
日奈;「荷物持ちやらせたからバテたかな?倒れてなきゃいいけど」
信乃;「・・・そう思うんなら俺一人に荷物持たせるな・・・」
日奈;「あ、そこにいたんだ。なにやってんの?」
信乃;「ちょっと散歩。山に来るのも久しぶりだからさ」
来夢;「ねえ、今日の夜ってペンションのみんなでバーベキューなんでしょ?楽しみだな〜」
信乃;「おう、ちゃんと他の娘にも声かけてきたからなっ」
日奈;「・・・いつのまにそんなことを・・・」
信乃;「あ、いや、ちょっとさっきな、・・・あっ、そろそろじいさんの手伝いしないといけないんだった〜(ダッシュ!)」
日奈;「待て〜、ごまかすな〜っ!」
来夢;「ふふっ、今夜も楽しくなりそう♪ やっぱり来て良かったな☆」
雑談 その6〜その8 へ
雑談 その9〜その12 へ
雑談 その13〜 へ
Stories の目次 へ
「シェアード・ワールド・ノベルズ 妖魔夜行」「シェアード・ワールド・ノベルズ 百鬼夜翔」
は角川スニーカー文庫より発売中のシリーズです。