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超長波(VLF)用高周波発電機のある「依佐美送信所記念館」




 依佐美超長波用送信機 (Yosami VLF Transmitting Station )

明治末期より中波よりも長波のほうが、遠方に伝わることがわかり、世界各国で長波を遠距離通信に
使用されるようになった。

送信周波数は 17,442kHz(波長:約17q)で、これを高周波発電機から大電力かつ安定的に直接得る
ことがで難しいため、同送信所では、出力周波数を 5,814kHz とし3逓倍回路にて所定の周波数を取り
出し、空中線出力 500kWで送信する仕組みになっている。

高周波発電機(High frequency generator )は、外部からの商用電源により主誘導電動機(92kW)を回転
させて、860kW の主直流発電機を駆動して、その出力で高周波発電機用の主直流電動機(730kW)を
回転させて5,81kHz の高周波電流を発生させた。

現用と予備用の2組を設置して、常時交代させて運用した。

必要な電力は東邦電力(現中部電力)が新たに依佐美変電所を新設して、3相3線式3,300V で最大
1,000kW の電力を供給した。
(注1)

                         


長波送信装置系統図


依佐美超長波送信装置系統上図の補足説明。

(1)わざわざ、交流を直流に変換している理由は。商用電源の交流(60Hz)は
   周波数の変動があるため、そのまま「高周波発電機」を回すと高周波周波数
   も変動してしまう、上記により一旦直流に変換している。

(2)周波数安定化は、直流発電機と電動機の励磁電流を変化させることにより
   (ワートレオナード式)により回転数を安定させ、結果高周波発電機の回転数を
   安定化させている。
  回転数の変動は2/10,000 以下であった。

   

 上記よりも詳細な接続略図(依佐美送信所 70年の歴史と足跡」平成9年 電気興業(株)刊、
依佐美送信所ガイドボランティアの会印刷)がA3サイズにて「記念館」から配布されています。
それを「PDFファイル」化したものが下記から閲覧できます。
ただしスキャナで取り込んだものを「PDFファイル」化したものです、見にくいところはご容赦
ください。
(前ページの「接続略図」と同じものです)


                     ここをクリック





旧施設内部
                       (写真1)

旧施設(現用時代)の内部(上記説明にあるよう2セットあった)



記念館内設備  
写真の説明は、おもに記念館内に
掲示してある各設備の案内文を元に
引用、加筆したものです

    
記念館内部
記念館は2012年3月31日に
リニューアルしました。














リニューアル前の記念館内部


「同記念館」にある「送信設備」は
2006年に送信所が解体された
後2007年に記念館に移設された
ものです。

「送信設備」は1950年「在日米国
海軍」に接収された後「送信装置」
は薄青色、「高周波用配管」は
赤、黄、銀色に塗られました。

微修理したのみで移設したため
経年劣化による傷みがみられ
ました。








リニューアル後記念館内部 リニューアル後の記念館内部

主なリニューアルの内容

(1)「送信装置」「高周波用配管」色
   はそれぞれ、設立当初の「黒色」
   「銀色」にもどした。

(2)紫外線による劣化を防ぐため
   紫外線対策を施した。


入力側(手前)から出力側を見た
ところ
NOTICE 在日米海軍接収時代(1950〜
1994)の看板
  立入禁止
機械産業遺産  でんきの礎 機械遺産認定証(左上)

2007年に「日本機械学会」から
「機械遺産」として認定された。
左上写真はその認定証




でんきの礎(右上)

2012年に「電気学会」から
「でんきの礎」に認定されました。

右上写真はその認定証



IEEE マイルストーン(下)
( IEEE MILESTONE )


2009年に「IEEE MILESTONE、
マイリストーン:米国電気電子
学会」から「電気電子歴史的偉業」
として認定された。
下写真はその認定証
IEEE マイルストーン
主直流機発電機
主直流機励磁用 電動発電機
( Motor-generator for exciting
main DC generator and motor )

主直流機発電機および電動機の
励磁用電源供給用発電機各1基
がシャフトにより
誘導電動機に
直結されている。
励磁とは電気的に磁石と同じ磁力線
を発生させるしくみ。


周波数安定化に必要な装置。
電動発電機
水抵抗機 水抵抗機
( Water rheostat )

主誘導電動機の起動時に過大な
電流が流れるのを防ぐため、水の
抵抗値を利用した装置。
水槽内に水と可変構造の電極が設置
され、電極の位置により抵抗値が
変化するようになっている。

操作は手動でおこなう。
主誘導発電機

主誘導電動機
( Main induction motor:Three- phase )

3相(3Φ)、3,300V で運転される
この電動機が直流機器を介して
高周波発電機を動かす原動力
となる。
直流発電機を駆動せせるため、
主軸は機械的に直結されている。
主直流発電機

主直流発電機
( Main DC generator )

電機子(ローター)は誘導電動機
で駆動され回転する。
電機子が回転しているときに、
励磁電流を流すと、直流電圧が
発生する。
この直流発電機の出力で次工程
の主直流電動機を回転させる。

高周波発電機の回転速度調整は
この出力電圧を変化させておこなう。

主直流電動機
主直流電動機
( Main DC Motor )

高周波発電機を駆動させるもの。
主直流電動機の出力電圧を入力
として回転する。
回転速度は、入力電圧と励磁電流
にほぼ比例する。
定格回転数は 1.360rpm である。

高周波発電機
(写真1)

高周波発電機
( High frequency generator )

大出力を発生させる
超長波送信
設備の心臓部。

主直流電動機により駆動される。
定格回転数1,.360rpm のとき
5,.814kHzの周波数と、出力700kVA
(約600kW:アンテナ出力500kW)
を発生する(写真4参照)。

構造原理は固定子の内側中央に
円周に沿って回転子を励磁する直流巻線があり、その両側に出力巻線が
配置されている。

回転子中央に溝があり、その両側
には256個の歯形の回転子が配置
されている(写真3参照)。
回転子か回転すると磁気抵抗が起き
電流が発生する。

発電周波数=(定格回転数/60)×
回転子歯形の数、すなわち
5,814≒(1360/60)×256

回転子と固定子の隙間
(クリアランス)はわずか1mmと
極めて強固で精密な筺体をもつ。
テレフンケン式の誘導子型高周波
発電機。(注2)

発電機仕様(注3)
最大外径 3.6m
固定子鉄心外径 2.5m
回転子直径 1.83m
回転子幅 1.1m
回転子重量 21.2トン
総重量 35トン

ドイツ「テレフンケン社」で設計され
「AEG社」で製造(写真4参照)。


「写真2」2本の銀色パイプに
(銅パイプ)発電された、高周波電流
が流れる。
(真横から見た状態)













(注2,3)
従来の文献等では、回転子重量
「16トン」発電方式は
「アレキサンダーソン式」
とされてきたが「長波無線通信用
特殊高周波発電機調査報告書」
(電子通信学会東海支部:2007年
3月)によると分解調査の結果、
回転子重量21.2トン、発電方式は
「アレキサンダーソン式」と異なる
「誘導子型高周波発電機」でドイツ
「ゴールドシュミット」の特許を取得
したものと推定される、とある。


上記「主誘導電動機」〜「高周波
発電機」は、2セットあった(写真1)
1セットは展示保存するため残し、
他1セットのうち「高周波発電機」は
「学術研究」のため分解調査された。
高周波発電機上部
(写真2)
回転子分解
(写真3)
AEG社プレート
(写真4)
高周波チョーク

高周波チョークコイル(1)
( High frequenry choke coil )

発射電波の影響を高周波発電機
が受けないようにするためのもの。

コイルには高周波特性の良い
エナメル線を束ねた「リッツ線」と
呼ばれるものを、使用している。



高周波用配管
本機以外にも、銀色パイプ配管が
見られるが、これらすべて銅パイプ
で外形80o厚さ2o、ここを
高周波電流が流れる。
高周波チョークコイル(2)

高周波チョークコイル(2)
( High frequenry choke coil )


高周波成分が電源側(磁化用電動
発電機)に悪影響を防止するため
のもの。

使用線種は、直流しか流れない
ため通常の銅撚り線である。
トリプラ磁化用 電動発電機操作盤
トリプラ磁化用 電動発電機操作盤
( Start of motor-generator for
tripler magnetizing )

トリプラ磁化用電動発電機を起動
するための装置。

操作はすべて手動でおこなう。
トリプラ用電動発電機
トリプラ磁化用 電動発電機
( Motor-generator for tripler
 magnetlzing )

トリプラ(周波数変更器)は起動時、
大電流(約400A)を流して鉄心を磁化
させる、それに必要な電流を得る
ための発電機。

操作は手動でおこない、トリプラ
起動後停止する。

周波数3倍機

周波数三倍機(トリプラ
( Frequency tripler )

高周波発電機が出力する、5,814kHz
の周波数を3倍(3逓倍)17,442kHz
する装置。

この装置は特殊な鉄心入りの変圧器
でコイルに大電流を流して鉄心を
磁気飽和させることにより、入力信号
を歪ませて3倍高調波を得ている。

後工程の同調回路で3倍高調波
以外の周波数を減衰させている。

信号用磁気誘導変更機

信号用磁気誘導変更機
( Keying choke )

発射電波を
モールス信号に従って
断続させる装置。
磁気飽和しやすい特殊な鉄心に
信号用コイルと、直流コイルが
巻かれた変圧器。
信号用コイルに直流(13A)を流すと
鉄心が磁気飽和し信号用コイルの
インダクタンスが変化する性質を
利用している。

よってA1電波の発信周波数
(17,442kHz)が「スペース時」のみ
変化して、後工程で同調がずれ、
結果「マーク時」の出力の1/100
以下に減衰させているが、ゼロでは
ない。

スペース時はわずかしか発射されな
ないため、事実上問題なかった。

無接点リレーと同等の機能と考え
られる。


バリオメータ
(写真1)

バリオメータ型 高周波コイル
( Variometer-type high frequency
coil )

コイルはコンデンサと組み合わせて
所定の周波数
(17,442kHz)に共振
させる。
最適な共振状態を得るために微調整
する必要になり、そのためインダクタンス可変型のこのようなコイルが必要
となる。(写真1)

コイルをスライドさせる機構
外側コイルは4個の木製車輪ついた
枠に乗りに、木製レール上を移動
する。(写真2)
移動は木製ローラーを介しロープで
左右で引っ張り調整する。
(写真3)左が木製ローラー。

磁界による発熱をふせぐため、金属
製は使わず、すべて木製のボルト
ナット等で固定している(写真3右)

内側コイルは固定しているため
インダクタンスが変化する。

コイルは内側が直径1.2m、外側1.5m
直径25oの麻縄の芯にΦ0.12oの
エナメル線を約18,000本巻きつけた
「リッツ線」を用い外側は絹帯を巻いてエナメル線を保護をしている、外径約50o。









(写真4)は「ローディングコイル」側
(出力側)から見た3個の
「バリオメータ」

木製台
(写真2)

    ローラー  木製固定
                     (写真3)
出力側から見た3個のバリオメータ
(写真4)
ローディングコイル
ローディング コイル
( Loading coil )

送信周波数(17,442khz)にアンテナ
を同調させるためのコイル。
直径3mの円筒状の木枠にリッツ線
を用いたコイル線が23回巻かれている。

コイル線は「バリオメーター型高周波
コイル」と同じものが使用されたいる。

銀色配管は銅パイプで外形80o厚さ
2o、ここを高周波電流が流れコイル
へ供給されている。

磁界による発熱を防ぐため木枠には
釘等金属は一切使用されていない。
電流計
電流計
( Ammeter )

左側:中間回路電流指示用
    フルスケエール500A
    C/T比 100:1
右側:空中線電流指示用
    フルスケエール500A
    (回路図では1000A)
    C/T比 100:1

電流計本体は熱電型、
フルスケエール5Aのもの。
コンデンサ
(写真1)

コンデンサ
( Capacitor )

コンデンサはコイルと組み合わせて
所定の周波数に共振させるもの。
このコンデンサは高周波用に開発
されたもの、現用時代は295個使用
されていた。
記念館のはその内30個展示保存
してある。(写真1)

メーカーはドイツ「デェビリアー
コンデンサー社」製。
パラフィン油入りマイカコンデンサで
静電容量 0.1μF、対電圧4kV、
電流容量87.5A (写真2)
コンデンサ単体
(写真2)
屋外への壁貫通碍子 壁貫通碍子
(Feedthrough insulator)

この碍子を通して屋外にアンテナ線
が出る。

長さ3m、重量約2トン、絶縁材料
「パラフィン」が充填されています。

製作は、鉄塔の台碍子と同じ
「松風工業(株):(現存せず)」が
何度も失敗を繰り返し、努力を重ねた
結果26万ボルトの高圧に耐える
碍子を作りました


(ドイツ人技士からは、下記「台碍子」
同様、日本の技術では製作不可能でドイツ製を使うよう薦められた)

屋外から見た壁貫通碍子 壁貫通碍子
(Feedthrough insulator)


碍子屋外でのようす
屋外から見た壁貫通碍子(当時) 壁貫通碍子
(Feedthrough insulator)


当時のもの、「コロナ放電防止」
の「長幹碍子」が取り付けて
あった。
大電力用送信管
大電力出力用真空管
( High-power vacuum tybes )

真空管式送信機は米国「コンチネ
ンタルエレクトロニック社」製、出力250kWで1969年「A1」方式から
「FSK」に変更される際、従来型
(高周波発電機)と入れ替わった
ただし1970年まで併用していた。

同送信機は解体され、この真空管
以外「記念館」にはない。

手前のものがプレートから、真空管
名が「ML-5682]ロゴ「MACHLETT」
と読み取れる。

スペックはココを参照、幅広く
使われている送信管のようです。


後2本は同真空管を分解したもの。
コントロール室
送信機操作盤
( Transmitter control panel )

コントロールルーム内に下記操作
パネルがある。

パネルA:1号機負荷補償制御
      (Load compensation)
パネルB:1号機回転速度制御
      (Speed control)
パネルC:1号機副回路速度制御
      (Sab speed control)
パネルD:1号機主機操作
      (Main machine)
パネルE:1号機電波発信操作及び
      キーイング
      (Keying)
パネルF:2号機電波発信操作及び
      キーイング
      (Keying)
パンルG:2号機主機操作
      (Main machine)
パネルH:2号機副回路速度制御
      (Sab speed control)
パネルI:2号機回転速度制御
      (Speed control)
パネルJ:2号機負荷補償制御
      (Load compensation)

バックパネルは絶縁性に優れた
「大理石」が使用されている。

TELEFUNKEと日本無線電信(株)のプレート コントロールルーム内

 送信設備メーカーの
 「TELEFUNKEN」社(ドイツ)と
 設置工事をおこなった
 「NIHON MUSEN」
 (日本無線電信電話(株):現在の
  日本無線(株)JRC)のプレート。

 アマ無線家におなじみの「JRC社」
 もこういう歴史があるのですね。

    
旧「日本無線電信(株)」とは別会社
鉄塔台座
(写真1)

鉄塔台座
( Tower base )

高さ250mの鉄塔を支えた台座。
上部が球状になっているのは
鉄塔は強風によって横揺れを
受けても荷重を一点でうけ、下部
台座に力を均等に分散させるもの。
鉄塔重量250トン、ステー線重量
150トンの架重を受けていた
(写真1)

台座は碍子により地面と絶縁された
架台の上に取り付けられていた。
(写真2の矢印部))
鉄塔台座
(写真2)
航空障害灯
航空障害灯
( Aviation obstruction light )

航空機事故防止用灯。
米軍接収後(1952年)取り付けられた。

夜になると障害灯が点滅して格好
の目標になった。





  鉄塔支線
  鉄塔支線(1)  鉄塔支線(2)

  鉄塔支線(3)  鉄塔支線(4)

鉄塔支線(ステー線)

重さ250tの同鉄塔は6段3方向に
張られた支線によって保持していた。
支線の重量は1塔あたり150t。
支線は最上部(6段目)が最も太く
下部ほど細くなっている。

鉄塔本体同様、碍子にて絶縁され
アースと浮いていた。


  碍子(1)  碍子(2)
       (1)台碍子           (2)長幹碍子(コロナリング付き)

  碍子(3)  碍子(4)
         (3)長幹碍子          長幹碍子の取り付け状況
                         (送信所から、アンテナ線が
                         碍子を通して、出ているところ)

碍子
( Lnsulator )

写真(1)台碍子は鉄塔下に置かれ
この碍子を4個1組として12組
(合計48個)設置した。
製作は、壁貫通碍子と同じ
「松風工業(株):(現存せず)」です、
高電圧と荷重に耐えるよう、努力を
重ね作りました。



写真(2)(3)の長幹碍子は「コロナ
放電」対策として設置されていた。



上写真のように想像以上巨大な設備に圧倒されます

興味のある方は見学をお薦めします



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                                                (注1)「記念館内」の案内文を引用、追記、編集)

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