◆T 納車前にあれこれと ◆U 不思議バイク納車
1) ありますよ 7) どうしたら動きますの?
2) すったもんだカウル 8) あら?まあ?だからどうした
3) お世話になりました 9) 横と縦では大違い
4) フェンダーを知りませんか 10) シート
5) すかすかヘルメット
6) もっちゃり卵タンク

◆V アイボリー走る
◆W 友よ
11) 軽快にして安定 17) 友 よ  
12) お待ち頂けますか ここをポンして--ivory (i) >>>
13) ライトに思う自己責任 あそこをポン--ivory (ii) >>>
14) 悪足掻きにて継続中 other:ユーザ車検>>>
15) 市街地にて
Last updated 2006/01/11
since 2005/01/15


バイクを買うことにしました
許される範囲ではありますが
今、乗ってもいいなあと
多少の資金を注ぎ込んでも
お気に入りの一台に乗ろうじゃないかと
否、正確には興味を持つ余裕が
出てきたように思います

そして、この手元に全てが揃うまで、
走り出すまでは、このスタイルで綴ります
気持ちが走り出すってことなんですけどね
伝えたいものが見つかるまで なんです
(2005/01/15現在  管理人:碧)






1)「ありますよ」

1月 15日
■事務的な対応の女性がいう.こちらとしては拍子抜けするような気分だった.否、正直、電話を落としそうになるほど慌ててしまった.

神戸のバイク屋では売約済みの旨を知らされていた.指定した車種は限定車だという.初めて知る事実だった.そいつは2000年モデル.追い討ちをかけるように希少車だという.セールストークかもしれないが、もう売る車両は存在しない.その意味では真実かと思った.中古市場のタマ数も少なそうだ.

そして今、関東の店へと電話した.今度は2003年登録済みの展示車だった.走行距離1km.当然、車体色はあのアイボリー.

「営業の者が午後、帰りますから.具体的な金額交渉はそのときに・・・」
相変わらずの事務的な対応だった.動揺する気持ちがある.だから尚更、彼女の口調はもったいぶったような印象だった.昂ぶる気持ちを抑えながら、在庫確認と金額を復唱しありますか.嬉しいです!≠ニ言ってしまう.もう買う気十分じゃないか.またまた慌てる.値引き交渉なら最悪の展開だろうな.それでもいいや.仕方ないじゃないか.


■衝動買いかもしれない.いつもの悪い癖だった.少し時間を置くには、先方の営業不在は助かった.さて、今、少し考えよう.これは自分に相応しいバイクなのか.長く付き合えるものなのか.勿論、あの馬鹿げた金額もだ.二輪の実用性など、今更、語るまでもない.趣味性の高い乗り物だからと納得させている.しかし許せる範囲というものがある.経済的な負担、それ以上に自分らしさ.こいつが最大の難問.もう若くはない.欲しいと思うバイクは少なかった.

ちょっと背伸びする必要がありそうかな.じっくり考えよう.まあ、それでもあと二時間だ.折り返し電話があるだろう.余裕などあるはずもない.買っちゃうのか.ああ困った.これが楽しい時間なんだがな.どうかな.早計か.

■もともとヨーロピアン・スタイルが好きだった.クシタニの皮ジャンはハーフ丈.もう10年以上.ベルトが気に入っていた.そろそろ終着地点か.そうだな、求めていたスタイルが 車体色アイボリー、スポークホイールのあいつにある気がする.買おう.友としよう.

明日にでも返事を.
目が覚めても、この気持ちが醒めていないなら、後悔もすまい.




2)すったもんだカウル


1月 16日.
■契約成立.バイクは整備に取り掛かったとのメール.入金方法、納車手順の確認、了承.ほぼ二週間後の納車だろうか.そんなニュアンスの電話対応だった.


19日.
■社外品のビキニカウルの手配をお願いした.窓口になってくれたのはディーラー.快く引き受けて下さったが、余計な仕事に違いなかろう.まあご縁を頂いたのだから、何とかして.正直な気持ちだった.

※ビキニカウルは当初、自力手配の予定だった.しかし購入先のB社から塗装を婉曲に断られた.十七日の出来事.関東の塗装専門業者を紹介される.そしてその業者は色見本を要求した.確かに色合わせを正確にしたいという親切心からだろうが.ちょっと複雑.実車両が手元に無いから色見本の手配を含めてデーラに依頼したのだ.

それにしても塗装代、カウル代の高いこと.まあ走り出すまでは仕方ない.


20日.
■カウルのデザインを決めなければならない.手元に実車がないのも手伝って、何度、描いてもイメージが湧かなかった.そこで、これと同じバイクに乗っているA氏のHPを訪ねた.もう3年も前になるだろうか、直接、お会いしたことがある.今回、心に決めた一台は、あの瞬間に決めていたのかもしれない.A氏のレポートを拝見し、そう確信した.細く引かれた黒いラインが美しいバイクだった.そのままのデザインに決める.

さて予想はしていたが、納期が大幅に遅れる.そうカウルの塗装.B社が三週間、塗装店が二週間.都合5週間となる.こればっかりは反論のしようもない.デーラはバイクだけ先渡しをしたいと提案する.当然だろうなあ.納車されても暫くは塗装店に色見本として出されたサイドカバー無しの状態かあ.ちょっと不安になってきたなあ.





3)お世話になりました


1月 22日
■手元にあるバイクを処分する.
XJR1200.94年モデルだった.バイク乗りに復帰するために手に入れた中古車だ.二台所有するには経済的にも許されない状況だし、何より乗る機会がないだろう.所有する満足感はあるかもしれないが、乗ってナンボのバイクと考える.次のオーナがあるのなら、とことん走って欲しい.バイク引取り専門業者に来て頂いて、積み込みまで手伝った.

積み込む前にエンジンを掛けてみる.アクセルワーク.2000回転に固定する.マルチエンジンのいい音だった.いいオーナだったかなあ.そんな思いがこみあげて来る.うなる咆哮からは、まだまだ十分、走ると応えをもらった.そんな気がして、更に3000回転へと固定する.心地好かった.

我に返ると トラック運転手 兼 営業の青年が静かに待っていた.ちょっと照れる.バイク乗りだという青年は、テキパキと引き取りの段取りを進めながらもXJRの話を聞いてくれた.いい青年だったな.

積み込まれたXJRと兄ちゃんを見送った.
「どこかで会おう」 まず無理なんだろうが、これが挨拶なんだよね.バイク乗りってのはさ.




4)フェンダーを知りませんか

1月 24日.
■やっと探し当てたFフェンダー.カウルと同じ経由でデーラに手配をお願いする.このパーツこそ手に入らないと思ったから、嬉しさ倍増.デーラは迷惑そうだったなあ.

さて、FフェンダーはB社のHPには掲載されていない.ネットで探すも該当ナシ.パーツ屋さんへも幾つかメールを発信.該当なし.八方塞がりのなかで、A氏に相談する.もうそれしか手立てがなかった.そしてA氏のアドバイスに自信を深め、B社に電話.やはり倉庫に眠っていた.こちらは自信満々で主張した.絶対に御社のFフェンダーです!と.探せば出てくるもんです.A氏に、この幸運に感謝したい.


■これで全ての手配が整った?違うのです.カウル、フェンダーへ描くラインデザインの件が残っていた.流石にデーラは直接交渉をと提案する.そのつもりだった.

相手が見えない.
今回は全てがそうだ.バイクもパーツも実物を確認していないからまったく実感が湧かない.間に入るデーラは尚更だろう.心のどこかに、いつも不安があった.その意味でも塗装店との打ち合わせは楽しみでもあるのだ.お気に入りの一台を作りこむには、やはり心を通わせたい.せめて電話で熱意を と思う.それが職人さんへの、せめてもの礼儀のような気がする.どうぞ素晴らしい塗装、ライン引きをお願いします.

さて、実際にカウル類が塗装店に納品されるのは二月初旬と予想する.そのタイミングで電話をしよう.その頃にはバイクが納車されているのかな.ああ待ち遠しいものです.

■そうかあ、カウル類の取り付けは自力だったなあ.Fフェンダーはタイヤを外さねばならないようです.さて自分に出来るのか.まったくなあ.手元には何もないのに、気ばかり先走るこの状況.ネットは便利なんだがなあ.物理的な手続きには時間が必要.んなこたぁ、百も承知しているさ.ちょっと冷静になろう.この分だと3月まで身が持ちそうもないよ.




5)すかすかヘルメット

1月 30日
■車体色アイボリー、スポークホイールのバイクに似合いそうなヘルメット.ちょっと色気が出てきた.といいますか、今のモノは10年近く前のモデル.そろそろ買い替え時でもある.ネットで見かけたジェットヘルが気になっていた.説明書きにはミニタイプとかなんだとか.値段を見てひっくり返る.1万円以下.正直、原付?スクータ?専用モデルかと疑った.

仕事関係の方にmomoデザインのジェットを使用している方がいた.ちょっとゴーグルをしているような雰囲気のシールドがお洒落で、スマートなデザインだった.価格は4万以下.まあ国内の有名メ−カなら上級モデルぐらい買えそうだ.しかしです.流石はブランド品のmomo.外側の帽体全てに皮を奢る8万円の品があった.値段も凄いがデザインも秀逸.ちょっと心が動くも、実用面での疑問を感じる.雨と皮の関係.沁みが沢山できそうな予感.もっとも、そいつが魅力となるのかな?パンフには突然の雨でも大丈夫≠ニある.そりゃ大丈夫なんだろうけどさ、問題は手入れなんです.いいデザインなんだけどなあ.

■さて、ヘルメットは買う前に必ず試着することにしていた.以前、よく確かめもせずに購入して後悔した事がある.高速走行でヘルメットが浮き上がり大変な目に遭った.今でもいい教訓となっている.

いつものパーツショップへ.
ネットで見たジェットヘルが陳列棚の一等地に置かれていた.国内有名ブランドはいつもの定位置ながら、ビンテージモデルとかも置いてある.なるほどね.流行なのかあ.最近は、すっかりショップもご無沙汰しているからなあ.まあ単に自分が疎かったんだよなあ.

先ずは5000円!のヘルメットを手に取った.小ぶりでデザインがいい.しかし軽すぎるのが気になる.やっぱり原付仕様?店員は自動二輪でも大丈夫だという.被る.笑ったな.なんでしょう、このお手軽ヘルメット.もう自然と笑ってしまったんです.これで高速は走れない.小ぶりなんだから帽体内部のパッドが薄いしね.スカスカ.仕方ないか.他メーカの品も試着する.ぶぶぶっ.これで公道を走る自信はとてもとても・・・イメージできません.

国内有名ブランドのビンテージモデルも残念ながら同じ印象だった.5000円の奴よりは随分と丁寧な作りだとは感じたが、安心感がない.元々、スネル規格品ばかり買ってきたから当たり前なんだけどね.あまりの落差、装着感への期待はずれに、スネル規格のジェットヘルが益々、魅力的に思えてきた.どうも、自分にはあの激安ヘルメットは買えそうもない.そうだなあ.momoのヘルメットはどうなんだろう.ちょっと試着したくなってきた.う〜ん.今度、あの人に頼んでみようかな.兎に角、ヘルメットについては再考.もっとも安全性ならフルフェイスなんだけどね.ivoryとの相性を考えるとジェットなんだよなあ・・・




6)もっちゃり卵タンク

月 3日
■どうしてこのバイクにしたのか.それは何時かはツインエンジンに乗りたかったから.そしてアイボリーの優しい色づかい、スポークホイールのノスタルジックな雰囲気が気に入ってしまったからなんです.フューエルタンクは卵のようで、全体の印象はお世辞にもシャープな感じではありません.もっちゃり型とでもいいましょうか.以前なら敬遠するデザインだった.実際、アイボリー以外の色が標準なんですが、どうも自分のイメージに合わないのです.カテゴリーはネイキッドモデル.現行車は更に直線的で鋭角なキレのあるモデルへと変わっていますが、本来なら現行車を選択することでしょう.でもツインエンジンに革新的なメカ、先進的なデザインは・・・その気にならなかった.今まで乗っていたXJRで十分に満足しています.

そうなんです.旅をしたくなったのです.慌てず、急がず、ひつ粒の雫がやがて大河へと向かうように、ただただ走り続けたい.いきなり遠くまで行くつもりはありません.身近な所から、少しづつではありますが、距離を伸ばしたい.このボテボテ、もっちゃり卵タンクをお腹に抱えて走るのが楽しみなのです.あのバイクがアイボリーの色でなければ、買っていなかった.そう断言してもいいのです.

そうそう、まだバイクは届いていませんから、何を書いても妄想の域を出ないのですが、今の自分には手元にある写真だけで風切り音が聞こえてくるのです.


< T 納車前にあれこれと>
=== 了 ===





7)どうしたら動きますの?あなた

2月 5日
■「今、近くまで来てるのですが」
待望のバイクが配送されたとメールを頂いたのは昨日のことだった.到着まで4、5日を覚悟していたのに嬉しい誤算.休日でもありバタバタと駐車スペースを準備していた時に携帯が鳴った.広い通りまで出てみるとハザードランプを点した4tトラック.手を振って合図する.荷台は二階建てで、10台は乗っているだろうか.新車、中古車なんでもありだった.大宮ナンバーを見る.関東から遥々きたんだと改めて知らされた.そしてあのアイボリーの奴がある.存在感のあるシルエットに、ちょっと嬉しくなった.

■この大通りから自宅まで100メートル.トラックが進入するには無理のある道幅だった.まあバイクは自宅まで押していけばいい.心配なのは、こんな大通りで荷降ろししてもいいのかな.そんな心配を他所に、運転手はしたり顔で準備を始める.「うん、いつもそうだからさ.平気へいき」ツナギを着込んだ運ちゃんは勢いよく荷台へと取り付いた.

「このバイクねえ、サイドが弱いんだわ」
結束専用のバンドを緩めながら彼はいう.確かにセンタースタンドで立っているのは、これ一台だった.

「ロープ掛けてさあ、締めこむじゃない.グニャって曲がっちゃうみたい.だから恐いじゃん.こいつを運ぶ時は、いつもセンター掛けなんだ」
タバコのヤニで黄色くなった歯を覗かせながらニコニコ顔で言う.バイク配送専門業者ならではの情報だった.

車道を行き来する車をものともせずに、バイクは脇道に停められた.今度はサイドスタンド.あれれ.確かに傾斜角がキツイような.見た目だけの判断だけど、随分と傾いて見えるから不思議だった.

運ちゃんには予め用意していた金額を封筒にしたためて渡す.これで納車完了.トラックは次の街へと出発した.

■さて、改めてバイクを眺める.
左サイドカバーは無し.
こいつは塗装店にある筈だった.
メインキーが一つ.
以上.

残金の振込み後に取説、書類関係が送られてくる約束だった.だからこれだけ.どうしたら動くの?それすら分からぬが、まあバイクなんだから、どこの国が造ろうと何とかなるだろう.

■そう、このバイクを見たことがあると書いた.三年前の出来事.そして今、二度目の対面.お分かり頂けますか.ただ見ただけで、触ったことも、跨ったことも、排気音も知らない.ましてやメータ回りのデザインも始めて知るものだった.記憶にあるのは車体色アイボリーとスポークホイールだけ.これが、今回の買い物.

しかし、あの時のインスピレーションに間違いはなかった.たとえサイドスタンド掛けの状態では始動できないという事実を知らなくても・・・今頃、何言ってるの?≠サうなんです、そんな知識しか持ち合わせていないオーナなのですから、このバイクで走り出すのが、益々、楽しみになってきたのです.

■もちろん今まで見聞した記事、雑誌、自分のバイク暦からも、このバイクの基本的な性能やカテゴリーは理解しているつもり.それを踏まえてのひとめ惚れ≠ナあることも、蛇足ながら付け加えておきます.




8)あら?まあ? だからどうした

2月 7日
■さて、このバイクが主張するものについて少しだけ.そう走る前から伝わるモノがある.

『我が社の考えるオートバイとは、きちんと直立・センタースタンドを掛けた状態で始動するべし』に始まった、まさにお国かわれば品かわる≠ニいうこと.

一言でいってしまえばそれまでなんですが、エンジン始動の手順に、このメーカの頑なさを感じてしまう.サイドスタンド掛けの状態ではセルが回らない.パーツショップには、この不便さ?を解消するキットが売られているから周知の事実なのでしょう.

しかし、この妙な始動手順があるから、その他のなんで?≠ニ思ってしまう部分も許せてしまうから不思議.ちょっと違うなあ.困ってしまう.ちょっと変じゃないの?≠ニ感じる度に例の我が社のオートバイは・・・≠ェ聞こえてきちゃう.もう笑うしかない.だってどう考えても不便だもん.エンジン始動.そしてあのウインカー操作.

■ウインカーボタンを押すと点灯する.キャンセルは専用のボタンを押してはいけない.手前に親指で引き出すイメージ.単純に押せばいいじゃん?と思いません.更に手強いのが左ウインカー.

ここで押したいと思う瞬間、親指の位置する場所はホーンボタン.ブー≠ニ一発、かまして曲がるわけですね.参ったなあ.肝心のウインカーボタンは更に下側にあるのです.まあ慣れればいいのでしょうが.

■この先、良くも悪くも、このお国柄という部分ともお付き合いしなければならないようです.その意味では、どしょっぱつから、これほど分かりやすいバイクはありません.ああ、走り出すのが、益々、楽しみになって来ました.左折の度にプー≠ニ鳴らしてるライダーが居ましたら、それは多分、私です.





9)横と縦では大違い

2月 10日
■いったいお前は、いつになったら走るんだ!とお叱りの声もチラホラ聞こえてきそうですが、まだまだ走ってはいけません.もうね、走らなくても魅力満載なんですから.もうちょっと書かせて.

■さて、アイドリングで跨った.
ちょいと捻る.グラリ横揺れ.初めての感覚だった.勿論、地震のお話ではない.アイドリングから少しアクセルを煽ると、誰でも実感できることでしょう.キッパリ横揺れ.正直、なんじゃコレ?と思う.あなたもそうに違いない.面白いから何度も試す.

これが水平対向エンジン.通称ボクサーなんですね.この揺れ具合こそ、このメーカ独自のスタイル.実に分かりやすい主張なのでした.勿論、ツインエンジンのバタバタ感がまた.文句なしの 二重マル.

■何れにしてもシリンダーが縦と横(水平)では大違い.縦型ツインのどどどっ≠チとお腹に響くような鼓動、有機的な親近感とは違うのです.そうですねえ、ぽんぽんぽん、風薫る長閑な田園風景に、タンポポがそっと咲いておりました.ぽんぽんぽん・・・

これぐらい違います.たぶん.
まあ例えに問題はありましょうが、そういうこと.上手く伝わらんでしょうが、そうなの.内心、ぶぶぶっと笑いが込み上げてきたのは本当なんですから仕方ないでしょ.このバイクは、じわじわと浸透してくるような魅力があるのです.こりゃハーレー好きとは相容入れない訳だと、妙に納得してしまったのでした.

さあ、今度こそ走るかあ・・・ ・・・
でもシートについても言いたいことがあるのです.まあ気長にきながに.




10) シート



2月 11日
■シートの高さは三段階に調節できた.バイクでは停車時の足付き性の問題がある.その解消方法を提案する機能でもあるが、自分にとっては少し事情が違う.足付き性には全く問題ない.それよりもハンドルとの距離が気になった.近すぎる.どうも腕が長いらしい.Yシャツなら袖丈は84以上が必要で、首周りは細いから選ぶのに苦労する.既製服はいつも袖が足りなかった.

さて、そんな事情で腕の長さでポジションは一番高いシート高とした.足については膝を曲げる角度もきつ過ぎず至って自然.前傾でハンドルを押し気味に構えることも出来た.実はこれが一番、自分にとっては重要なことで、右左折の時にはハンドルから腕に伝わるバイクの重さを感じ取りたい.こいつはスポーツタイプとは違うバイクなので意識しないと切り替えしが遅れそうだった.今時のバイクは恐ろしいほど曲がる.そう無意識といってもいい.それがイイことなのかどうか、こういう意固地(失礼)なバイクに乗ると、久々にバイクは操るものだというのが嫌でも伝わる.・・・まあ簡単にヒョイヒョイのれるのがイイに決まってますけどね.そのための技術革新なんだから.

■まあ腰で乗る、曲げるという意識は同じなんですが、切れ込むハンドルから手の平への加重が伝わらないバイクは苦手なんだよなあ.アメリカンに乗らない理由のひとつだったりします.

■そして、もうひとつ.
フロントサスペンションのこと.このバイクのカチッ≠ニした安定感は低重心を実現するエンジンレイアウトにあるのでしょうが、体感的にはフロントフォークの沈み込みにありました.引き回しでは、まったく沈まない.カチッどころかガチガチ<tロントブレーキを掛けて前輪荷重しても、沈んだの?ん?ってな按配.

センタースタンドを外すと、大抵のバイクは前方に大きく沈み込みます.ズン≠ニいう沈み込みからダンパーの効き具合を確かめたりしてたのです.正直、コーナへの突っ込みにはフロントフォークの抜重をきっかけにすることもしばしば.

さて、この独自開発のサスペンションが走りにどう影響してくるのか.楽しみといいますか、不思議.曲がるには、反対方向に振り出して曲がるんですけど、抜重大好き人間だからなあ.このガチガチ度は未知の世界.ある意味、凄いよこのサス.

■兎に角、初物尽くしなんですから、もう一個だけ.チェーンドライブではないということ.自動車と同じシャフトドライブ.引き回しの違和感はなかった.もうこれだけ違うと、考えただけでも頭の中は煮込み状態.煮詰まる前に、いよいよ走るとしましょう.デーラーからは書類関係も全て届きましたし、任意保険の手続きもあるから.明日は走るぞ.熱も下がったしね.実は風邪引いちゃったんです.面目ない.

< U 不思議バイク納車>
=== 了 ===




11)軽快にして安定


2月 13日
■タイヤの全面にヒゲがある.こいつを一皮剥くまでがまた楽しい.新車の満足感はこんな所にもあった.そしてメーカ名はメッツラー.ちょっと嬉しい.そうでなくてはいけません.

さて、十分にアイドリングを施すと、エキパイがいい色具合に焼けてきた.この分だと千キロ走行後が楽しみだ.国産車では一度も体験していない.また楽しみが増えてしまったなあ.

■ローギアに入れて発進.
タイヤもミッションも固い.勿論、自分も.久々の慣らし運転.新車を買ったのは遠い過去の出来事で、ちょっと腰が引けてる.まあ何より新品タイヤは滑るから、先ずは慎重にしんちょうに・・・ ・・・最初の左折でやらかした.プー≠ニホーンが鳴る.折込み済みの出来事とはいえお恥ずかしいことで・・・

では、ちょっとインプレ.
◆まずトルクが予想以上に薄い.少し早めにアクセルを開けてバイクをその気にさせないとフラ付きそうだ.エンジン・ストールなんぞ最悪.今までのXJRのトルクが懐かしく感じた.まあトルクに頼った走りのお陰で右左折は随分と楽チンだった.要は手抜きの走り.この低速時の頼りなさは、返ってメリハリを積極的に付けて走ることを強いられるから楽しいかもしれない.まあ問題は渋滞での低速走行か.これは今後のこと.

◆直線での伸びは、十分満足.マルチ怒涛の加速とはいかないが、全く問題なし.ツインエンジン独特の吹け上がりが心地好いし、そもそも、こいつもリッターバイクだ.不用意にアクセルを開ければ直ぐに速度オーバ.

否、そんなことなどどうでもいい満足感が別にあった.安定感の違い.高速巡航でのピッタと収まる感覚.風の強い日だったが、横風でも気にならなかった.上体を起こした乗車姿勢なのに、この安定感は秀逸だ.さて長距離走行では?あの速度域ではどうだろう?期待は大きく膨らむ.

◆コーナリングは軽快そのもの.
慣らし運転、新品タイヤでもあり無茶は出来ない.その範囲内ではありますが、実に軽快.但し、右左折同様に早めのアクセルワークが必要かと感じる.まあ四発エンジンと二発との違い.エンジンブレーキの効きも大きく、少し慣れが必要な事は確か.

本格的なワインディングでの挙動はどうなんだろう.そしてFサスペンション.この動きだけはちっとも分からん.低重心との相乗効果?曲がるときの感覚としてハンドルが遠い.こりゃ慣れるまで大変かもなあ.もっぱら腰乗りに徹しましたが.たまにはガツガツした走りもしたい.う〜ん、やっぱり最後まで腰乗りか?つまらんなあ・・・以下自粛.

◆サス
路面への追従性もいい.細かいギャップなら跳ねは少なく、あの安定感は顕在.リヤがポンポン跳ねることもなし.今のところ・・・

■二日間での走行距離は約100キロ超.バイクは元より、自身の慣らし運転中だから書けるモノはこの程度.総じて悪い部分は出てこない.当たり前だ.限界走行など出来る腕もないし度胸もないが、まあそれに近い状況まで、バイクも自分自身のメンテも必要なんだよなあ.と切実に感じたのでありました.そうそう、パニアケースを回し蹴りすること数回.やっぱ、足が・・・ ・・・長いのか.まさかね.




12)お待ち頂けますか


2月 14日

■ 『暫くお待ち頂けますか』
これで何度目なんだろう.今回の買い物は待ってばかりいる.気が短い性分とは思わないが、こうも毎回、同じことを聞かされると言葉も無い.いよいよ始まったのか.外国車との付き合いが.まあ今時はどのショップも在庫を持ちたがらないから、国産車も同じ状況か.それにしてもなあ.この身を焦がすような気分は、どうもいけません.既に全身、真っ黒けなんだよ.燃え尽きちゃう前に整理しておこう.


●ビキニカウル:ゲルコート塗装なし
 → 三週間待ち

●Fフェンダー:同上
 → 在庫はあれど塗装待ち

●特別色による塗装、ライン
 → 二週間待ち
※当然、カウル待ちから二週間.
合計五週間ですと.冬でよかったと真剣にそう思う.しかし、本当に作業は進んでいるのかなあ.とっても心配.春は近いのに.
(後日談:ズバリ的中!型違いだわ不良品だわで三ヶ月以上を悶々として過ごすハメになりました.とほほ)

●ヘッドライトスイッチ
 → 三週間待ち
※純正品を安くネット販売する○野さんから入手、その返信メール残念ながら午前中で在庫が切れました・・・≠ソょっと笑ったな.また、このライトスイッチについては後日、別の意味で書こう.

●ウインカーレンズ(ホワイト)
 → 二週間待ち
※フロント周りのアイボリーをすっきり見せたい.リヤは現状でいいのだが、それもバランスが悪いから.ひと思いに四個注文.待つのは同じだ.でいいのか.そうそう、系列のバイクに流用できるホワイトレンズがある.だから純正品.

●オレンジバルブ(ウインカ電球)
 → 一週間待ち
※社外品の量産タイプは23Wの小型.在庫あり.こいつは前に付ける.しかし、後ろは大きめを選択.否、純正品と同じ大きさのオレンジ球にしたい.リヤはオレンジ色が欲しいから.パニアの黒との相性がいいのです.しかし、これは在庫なし.そうそう、純正品のオレンジバルブは取り付け金具の形状が違う.うまくいかないものです.

●ヘルメット(白のジェット)
 → 一週間待ち
※結局、アライのスネル規格.白を選択.
『これ下さい!』
『サイズが.暫くお待ち頂けますか』
ふっ.待ちますとも.

●グローブ
 → 待ちません!
※クシタニの焦げ茶色を、何の疑いもなく手に取る.本当は辛子色を探すつもりだったのになあ.よりによって焦げ茶.でもフィット感は流石の一言.指の付け根までグッと入る感じ.色は焦げてるが、機能性で選択.そうに決まってる.

●冬手袋(ウインターグローブ)
 → 待つまでもなし.
※安い奴でOK.敢えて手袋と書く.いつも我慢できる所まで皮グローブで走る.そして休憩.それでも時間に追われる時もある.その時に使うのが冬手袋.1000円でいいのです.庭仕事にも使うしね.だから手袋なんです.

●反射シート
 → おまけ
この際、買い物リストもかねましょう.100円ショップで入手.リヤのパニアケース.こいつの幅が、予想以上にある.自分でぶつけるのも注意が必要だが、追突されても困るから、ワンポイントで貼るつもり.シートを三角か !マークに切り抜こうかと思案中.


■最後は買い物リストになりましたが、要は手元にあるのは、100円の反射シートとオレンジ電球2個.これだけ.なんと侘しいことでしょう.確かバイク用品の買い物をした筈なんだがなあ.それも随分と派手に買い捲った?でしょ.

そうだった.グローブがあったな.
まあね、それでも冬手袋をして、タバコ屋まで散歩に出たのでありました.気分転換に歩くのも、いいのです.





13)ライトに思う自己責任


■ヘッドライトのこと.
バイクの常時点灯が義務付けられて久しい昨今、まさか輸入車もヘッドライト・スイッチが無いとは思わなかった.正確には取り外してある.取り扱い説明書の図には、ちゃんとスイッチが付いていた.常時点燈の義務=道路交通法の改正ってことだった.

確かにバイクは正面、面積が小さく、他のドライバーからの発見も遅れがち.ライトを点灯させてバイクの存在を目立たせることが、事故回避への近道かも知れない.それは十分、承知しているのですが、それでも敢えて言いたいのです.大きなお世話と.

■走り方はライダーの意識の問題で、ライトの点灯は運転者の判断に委ねて欲しいと思うのです.トラックに見て欲しい時は、自ずとバイクを片側へ必要以上に寄せたり.ここぞとばかりにライトを点灯させる.操る者の意思表示は幾とおりも用意しておきたいのですよ.

パッシングがあるとお思いでしょうが嫌いなんです.ちょっと協調性がないと言いましょうか、高圧的といいましょうか.そこに至る前までに回避できる運転があるんだから.

■私達は誰も事故など起こしたくはないでしょう.ならば乗せられのではなく、自ら操作するという意識を常に持ちたいのです.取りも直さず、全ては安全運転、事故回避のために.それこそ誰かに用意してもらうことでは決してない部分だと思うのです.だから、ライトのON、OFFぐらいライダーに任せるべきで、事故回避への心掛けこそが重要だと言いたい.バイク乗りなんだから、ライトは自分でON、OFFします.・・・・もちろん、常時点燈はイイことなんですよ・・・

■そして100%、事故を起こしてはならない.そういう生活環境であり、立場でもある.社会的な責任は重い.確かに不可抗力もありましょうが、それさえ許されないと思ってしまう.まあ中年と呼ばれるこの年齢まで、バイクに乗り続けるという意味は、なかなかどうして、大変だったりするのです.



14)悪足掻きにて継続中

2月 18日

■大変お待たせ致しました
一通のメールを頂いた.冒頭の件に心躍らせるも、内容の物件に記憶なし.否、失念というべきだろう.数多の迷惑メール群とは確かに違う.そうなのです、三週間待ちのブツがまだあった.ネットで見つけたプロショップ用サービスマニアル.その納期を告げるメールだった.ちょっと肩透かし.どころか大マヌケ.

そのマニアルの名称はR1150GS用とある.あれまあ.違うバイクのモノだった.しかしながら確かに発注していたのです.送信履歴が見事に証明.

さて困った.
マニアルの事ではない.待ち続けているあのパーツ達の事だった.怪しくなってくるではないか.特に、あのカウルは大丈夫なのか.ヘンテコな奴を発注したのでは?Fフェンダーは?と際限がない.

■そこで電話した.
もう、かれこれ三週間は経過すると思うのです.カウル手配をお願いしたデーラーからは未だに なしのつぶて.勿論、信用しているが、今回のマニアルの件がある.ちょっと知りたくなるのです.製造元の在庫状況と発注内容.

そして、製造元は案外、在庫を持ってたりするんじゃないの?とか密かに期待までするアホらしさ.まあ不安も募れば妄想ばかりが先走り、碌な事を考えないようで.その見本のような自分が、そこには居たのでありました.


■『はい、どういうご用件でしょうか』
女性のスッキリとした受け応えだった.ちょっと嫌な予感がする.前もそうだったよねえ.この模範的な電話対応.ちょっと苦手なんです.あなたの顔が見えない.

『えっと、えっと在庫はありますか』
何とか頑張って内容を伝える.彼女は例のスッキリした声で、時折、『はい』『ええ』『確かに御座います』と、上手い具合に合いの手を入れる.このスムーズさが嫌なんだけどなあ.まあ、危なっかしい派遣社員よりは、ましなんでしょうが.それにしても、お姉さん.あなたプロですなあ.淀みない受け答えは凄すぎです.

しかし、やっぱり留めを刺された.
『ご用件は?』と聞かれる.

あれれ、最初に在庫確認したいと申し出た筈なんだがなあ.まあ許そう.あれこれ余計な説明をした私が悪かった.既に発注者であることなど、この際どうでもいいや.

『えっと、在庫確認です』
『少々、お待ちください』
・・・ ・・・
『お待たせ致しました.お問い合わせの商品は只今、在庫が御座いません.完全、受注生産となっております』

やっぱりね.そうでしょう、そうでしょう.待つんだよね、三週間.

『只今、ご注文を頂きますと、一ヶ月、お待ち頂くことになります』

・・・ ・・・

『いかが致しましょうか』

・・・ ・・・

やっとのことで気を取り直し、丁重にお断りした.そして『あっ』という小さな声を残して、お姉さんは消えていきました.

■さて、三週間待ちと一ヶ月待ち.確かにデーラーは三週間と言った筈.まあどちらも微妙な言い回しなんだけど、彼女のように、あのスッキリした声で、かる〜く 一ヶ月!と言われますと、遥か彼方に感じるもので、もう一年も先になるんじゃないの?と思うのでした.

お姉さん.
やっぱり、あなたプロだわ.無駄な悪足掻きはスッパリ諦めました.申し訳ないのは、最後に大笑いしてしまった事かな.電話の向こうでは、確かに引いていたお姉さん.そうそう、最後の『あっ』って何かな.まあ、どうでもいいか.




市街地にて

2月 23日

■刺すような冷たい風が吹き寄せる冬晴れの午後、バイクに火を入れた.片道一時間の道のり.それも全て市街地.ちょっと面白味に欠ける気もするが、それもいい.

新しい白のジェットヘル.
弧を描くようにして気持ち強引に引き下ろした.赤いフェイス・マスクも見事に収まり、いつものスタイルが出来上がる.

このフェイス・マスクは、首周りだけが濃いワインレッド.顔半分は黒.勧めてくれたのは十代の頃から足繁く通ったショップの姐さんだった.乗りつけたアイボリーを見るなり差し出された.思えば黒皮のハーフ丈のジャケットも姐さんのお勧めだ.今のスタイルは姐さん抜きには考えられない、そんな気がして黙って受け取った.

黒皮のパンツの裾は擦れ、ショートブーツはもうヨレヨレだった.グローブだけは新調した.あの思い出のグローブは暫くお預けとしよう.この真新しいグローブと共に走る事に決めていた.

■ローギアに蹴り込んで、何度目かの右左折を繰り返した頃には、目当てのバイパス道路が現れた.信号待ちで脇に建つ電器店を覗く.そこには、アイボリーのバイクと黒尽くめのライダーが居た.

オールグリーン.
片側2車線、路肩も含めれば三車線分はあろうかというバイパス道路に勢い込んで突き進む.アクセルを早め早めに開けながら、程好い車間、車列の群れを縫うように走らせた.心地好い安定感.意識を後輪に集中させてバイクを振り出す.予想外の展開?思いのほか機敏に方向を変えた.

■徐々にアップテンポの走りへと切り替える.立ち姿勢からの倒し込みと引き起こしの連続は、想像以上に楽しい.この心地良さに酔いながら、何が違うかを肌で知る.

コーナの出口へと狙いを定めるまでの手続きは他のバイクと大差はなかった.問題は合わせた照準に飛び込むまでのタイムラグ.今まで乗り続けたマルチエンジン搭載の大排気量バイクは、精巧に造り上げたマシンそのものだった.ピンポイントで全てを射抜くような快感を演出し、誰でも速く走らせることが出来る.そう思い込ませる力があった.最新の技術とノウハウが詰め込まれたマシンということ.

■アイボリーはどうだろう.
この走りに慣れてくると、海を泳ぐような、大空を旋回するような錯覚を覚える.操るのは、あの精巧なマシンではなく、機械という印象だった.拘り抜いた水平対向エンジンの咆哮はぶ〜ん≠ニいう唸りをあげ、黎明期の航空機産業、あの複葉機や飛行艇のような気分を演出する.走らせてこそ楽しめる、機械としてのテイストを味わうことができるバイクだった.

■当然のことながら、このメーカのバイク達も進化し続けて、革新的な仕組みを備えている.そうでなければ生き残れないのも企業としての宿命だ.しかし、ユーザに訴えかけるものは、その一貫したエンジン・レイアウトによる差別化であり、主張だった.自分に欠けているものを、自信たっぷりに見せ付けられた気がする.

国産メーカの、需要を掘り起こす為のエンジン開発競争は、メガスポーツと呼ばれるマシン群を誕生させた.その一方で、古のテイストを現代に伝えるマシンであることを謳う、アメリカンバイクの心臓:Vツイン・エンジンも用意する.この裾野の広い戦略は、一見、無節操なエンジン開発を繰り返す国産メーカとも映るが、それは、取りも直さずユーザである我々の趣向そのものだ.

このアイボリーを走らせることで、今更ながら、二輪の魅力について考えた・・・そしてバイク乗りとして走り始めた頃、あの新鮮な感覚を取り戻すことが出来たように思う.



< V アイボリー走る>
=== 了 ===




17) 友よ

3月 16日

■車名を明かさないのは、三年前に出会ったバイクが気に入ってしまったという事なんです.それが外車であろうと国産車であろうと、どうでもいいこと.ただ、あのカウルと太いお腹のアイボリー、スポークホイールの雰囲気が心地好かった.ですから今、車名を明記しても、それが乗りたいバイクではないのです.

納車されて一ヶ月以上が経ちましたが、見れば見るほど頭のないマグロのようです.そして、待望のカウルは奇しくも桜便りのニュースと共に手元に届きそうな予感.

■逢いに行かねばなりません.あの方の名残りある湖畔まで、このアイボリーを走らせるつもりです.その方とは親しい間柄でもありませんし、交わした言葉もあったかどうか覚束ない有様ですが、オフ会の最終目的地である集合場所まで伴走させて頂きました.そして辿り着いた場所に、あのアイボリーがあったのです.

このivory≠フ物語は、三年前のあの日.最初の集合場所だった朝霧高原から、始まっていたのだと改めて思うのです.早朝の道の駅でお会いしたその方は、バイクをこよなく愛し、限られた人生を最後までバイク乗りの仲間達と共に過ごされた.朝靄に包まれた駐車場でお会いした時の、あのすくっとした佇まいが記憶の中に今でも鮮明に残っています.

■昨年の四月初旬.思い出の地のひとつに、全国の仲間が集いました.逢いに行かねばなりません.あの日、伴走させて頂いたその先にあったアイボリーを伴って、ご挨拶に行かねばなりません.

たとえ共有した時間が僅かな時間であったにせよ、あるバイク乗りが最後まで諦めずに生き抜いたであろう人生を偲び、同じバイク乗りとして、その友の証としてアイボリーを走らせるつもりです.

■待望のカウルが届くのは、再び彼の地に、あなたの仲間達が集う数日前となりそうです.この桜の季節に望む ivory が完結することは、偶然にせよ、あの湖畔まで走らせる理由として、なんの不足がありましょう.この ivory の物語は、あなたの眠るあの湖畔から第一章が始まるのです.そう決めました.