☆雑談〜ある日ある時ある場所で〜

その16“初詣”
2001年元日、夜剣神社にて・・・
ゆう;「・・・えっと・・・、これが1号店のお守りで、こっちが2号店の・・・」
剣吾;「よぉ、ゆう!あけましておめでとさん、今年もよろしくな」
仁美;「あけましておめでとう、ゆうちゃん」
翔 ;「ゆうさん、あけましておめでとうございます」
ゆう;「あ、仁美お姉さまに翔くんに剣吾さん。おめでとうございますです♪」
仁美;「あら、悠美と誠二くんはいないの?」
ゆう;「悠美お姉さまは誠二さんを追いかけて向こうの方へ走って行きましたよ〜」
翔 ;「どうしたんでしょう、何かあったんでしょうか?」
剣吾;「・・・どうせ、誠二のいつもの癖でも出たんだろ。ほっとけ」
仁美;「21世紀になっても相変わらずね、あの二人は」
翔 ;「・・・もしかして、また他の女の人に手を出してるんですか?」
剣吾;「ま、これまで生きてきた年数を考えれば世紀が変るくらい、たいしたことじゃないけどな」
ゆう;「あのぉ・・・日奈お姉さまは、まだ来ないんですかぁ〜?」
剣吾;「ここで直接待ち合わせる予定だからな。そのうち来るだろ」
翔 ;「まだ約束の時間までちょっとありますからね」
仁美;「来夢ちゃんや芽衣さんもまだみたいね」
剣吾;「そうでもないぞ。うわさをしたら、ほら」
芽衣;「やっほ〜、みんな、あけましておめでとっ」
剣吾;「よ、おめでと」
仁美;「あけましておめでとう、今年もよろしくね」
翔 ;「おめでとうございます、芽衣さん」
ゆう;「おめでとうございます☆・・・お姉さま、日奈お姉さまは一緒じゃないですか?」
芽衣;「日奈ちゃんなら来夢ちゃんの家によってから、一緒に来るはずよ」
剣吾;「そうか。それじゃ先に誠二の祖父さんにでも挨拶してくるかな」
芽衣;「構わないわよ。あたしはもうちょっとここで待ってるから」
翔 ;「それじゃあ、お先に失礼します」
芽衣;「あ、翔くん。ちょっと待って。・・・はい、お年玉」
翔 ;「ええっ!僕に、ですか?」
剣吾;「おいおい、いいのか?翔は実際にはお前より年上だろう?」
芽衣;「いいのいいの。こういうのは見た目が大事なんだから」
ゆう;「いいなぁ・・・私も欲しいですぅ・・・」
剣吾;「ゆうは見た目も実年齢もとっくに大人だろう(笑)」
翔 ;「ありがとうございます、芽衣さん」
仁美;「それじゃ、先に参拝してくるわね。向こうで待ってるから」
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芽衣;「ところで、ここって破魔矢ってある?」
ゆう;「お姉さまたちの分はちゃんとここにありますぅ」
芽衣;「あら、わざわざありがと」
誠二;「一般に売るほど観光客が来るような神社ではないのですけどね」
芽衣;「あら、誠二くん。あけましておめでと」
誠二;「おめでとうございます、芽衣さん。今年も変らずお美しいですね」
芽衣;「ありがと。それにしても、どこに行ってたの?」
誠二;「ええ、まあ。ちょっと所用で・・・」
悠美;「・・・何が所用よ。あけましておめでと、芽衣さん」
芽衣;「あけましておめでと♪・・・また、いつもの誠二君の悪い癖?」
悠美;「ま、ね。今年は厳しくいくことにしたから。それじゃ、お祖父さまが待ってるから、また後でね」
誠二;「それでは、また後程。・・・悠美、お願いですから、襟を掴むのはやめてくれませんかぁ〜?」
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ゆう;「芽衣お姉さま、後でおみくじもひいていって欲しいです♪」
芽衣;「おみくじもあるの?」
ゆう;「はい、です。あ、ちょうど今、あっちで仁美お姉さまたちがひいてますよ」
日奈;「あ、ゆうちゃんに芽衣さん!あけましておめでとう」
来夢;「あけましておめでとうございます、芽衣さん、ゆうさん」
ゆう;「日奈お姉さまぁ☆それに来夢ちゃんも、あけましておめでとうございますぅ!」
芽衣;「あけましておめでと。どうやらみんなそろったわね。さ、お参りしてきましょ♪」


その17“子供は好きですか?”
春も近いある日、閉店後のNights2号店で・・・
日奈;「ねぇねぇ、大ニュース!お兄ちゃん達に子供ができたんだって!」
来夢;「わぁ、ほんとですか?!すごいすごい!」
芽衣;「ふ〜ん、しっかりやることやってたのね」
来夢;「め、芽衣さん、や、やることって・・・(真っ赤)」
芽衣;「ま、何にせよ、めでたいことじゃないの。いつ生まれるの?」
日奈;「秋の終わりくらいだって」
来夢;「わたし、知ってる人の子供が生まれるのって初めてです!」
日奈;「わたしも初めてよ。里じゃわたしが最年少だったし」
芽衣;「あたしは3回目かな?人魚の国で世話になってたときにお祝いしたことがあるわ」
来夢;「そうだ、お祝いしないと!何がいいかなぁ。う〜ん・・・」
日奈;「慌てて考えなくてもいいわよ。それに、心のこもったお祝いなら何でも喜んでくれるって」
芽衣;「・・・にしても、まだ結婚して3ヶ月ちょっとでしょ?早くない?」
日奈;「お姉ちゃん、早く子供が欲しいって言ってたから」
芽衣;「あたしだったら、しばらくは夫婦水入らずの生活を楽しみたいと思うけどなぁ」
来夢;「わ、わたし、大好きな人の子供なら・・・あ、でも・・・わたしじゃ子供産むのは無理かな・・・」
芽衣;「そっか。来夢ちゃんは日奈ちゃんやあたしらみたいに、種族として確立してないからね・・・」
日奈;「一代限りの存在、か・・・」
芽衣;「でもね、来夢ちゃん。あたしらって“想い”から生まれた存在じゃない?」
日奈;「もし、“子供が欲しい”って“想い”が強ければ、もしかすると・・・ね」
来夢;「・・・そう、ですね・・・」
芽衣;「そうそう。それよりもまず、相手を見つけなきゃ始まらないし」
来夢;「くす、そうですね(笑)」

二人の生活については“Sweet Snow Story”も読んでくださいね♪


その18“春の足音”
3月下旬、高知県・足摺岬近くで・・・
舞夜;「ちょっといい、駆狼?」
駆狼;「ん、何?舞夜。出発かい?」
舞夜;「ええ。支度は出来てるでしょ?」
駆狼;「もちろん。ま、支度するようなことなんて、ほとんど無いからね。次はどこへ行くんだい?」
舞夜;「Nightsに帰るの」
駆狼;「Nights?ちょっと早いんじゃないか?夜剣神社の花見はまだだろ?」
舞夜;「さっき連絡もらってね、日奈ちゃんが一度実家に帰るから、その間の手伝いを頼まれたの」
駆狼;「手伝いって、Nightsの?・・・それって、もしかして2号店?」
舞夜;「当り前でしょ、日奈ちゃんの代わりなんだから」
駆狼;「う〜、僕、2号店の芽衣さんって、ちょっと苦手なんだけど・・・」
舞夜;「あぁ、そういえば2号店の開店準備の時も、かなりこき使われてたわね(^^;」
駆狼;「んで、日奈さんが実家に帰るって、何かあったの?」
舞夜;「そうそう、聞いてよ!月乃さんがおめでたなんですって!」
駆狼;「月乃さんっていうと、信之さんのお嫁さんですよね。へ〜、そうなんだぁ」
舞夜;「日奈ちゃんも直に会ってお祝いしてくるんだって。お花見までには帰ってくるみたいだけど」
駆狼;「信之さんの家って東北だよね。僕らも一度訪ねてみようか?」
舞夜;「あ、それナイス!青森に行く前に寄って行きましょ」
駆狼;「それじゃ、まずはNightsへ行くよ。エンジンスタート!」



その19“SA KU RA”
2001年4月、夜剣神社にて・・・
剣吾;「さて、例によって今年も恒例のお花見会をはじめるぞ!乾杯するからグラス持て〜!」
ゆう;「日奈お姉さま、飲み物はオレンジとアップル、どっちがいいですかぁ?」
日奈;「う〜んとね・・・とりあえずアップル!」
信之;「月乃さん、これ、今朝Nightsの厨房借りて作ってみたチェリーパイなんだけど・・・」
月乃;「わぁ・・・とってもおいしそう。ねぇ、食べてもいい?」
信之;「もちろんだよ!ちょっと待ってて、いま切ってあげるから」
翔 ;「うまそうな唐揚げですね。これ、来夢さんが作ったんですか?」
来夢;「うん。そう言えば、初めて唐揚げ作ったのって、ちょうど一年前のお花見の時だったかな」
星香;「へぇ、どれどれ・・・うん。おいしい!やるじゃない、来夢ちゃん」
来夢;「えへへ。実は、芽衣さんに隠し味を教えてもらったんです☆」
誠二;「あ、舞夜さん。どうしたんです、ぼんやり桜を見たりして?」
悠美;「何言ってんの、誠二。今日はお花見でしょ?花を見ないで何を見るのよ(苦笑)」
舞夜;「・・・ん?あ、悠美と誠二くん。ちょっとね、妹たちもきれいになったな、って思ってたの」
悠美;「舞夜ちゃんだって負けてないよ。うらやましいくらい、今日の舞夜ちゃんはきれいだもん」
舞夜;「や、やだなぁ。そんなに褒められると恥ずかしいよぉ」
駆狼;「ねぇ、剣吾さん、早くしないと料理が無くなっちゃいますよ〜」
剣吾;「・・・いつものことながら、人の話を聞かない奴ら・・・」
仁美;「毎年のことでしょ(笑)。ほら、座って。玉子焼き、食べるでしょ?」
剣吾;「お、なかなかうまそうじゃないか。誰が作ったんだ?」
芽衣;「あたしよ☆ ダテに2号店の厨房は預かってないんだから」
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悠美;「月乃さん、わざわざこんな遠くまでお花見に出てきても、大丈夫なの?」
月乃;「あ、ありがとう、心配してくれて。でも、わたし達なら大丈夫だから・・・」
信之;「俺は止めたんだけど、家でじっとしてるより気分転換になるから、って・・・」
星香;「ま、本人が行きたいって言うのを、無理に止めるのもなんだしさ」
信之;「ちなみに星香は勝手についてきただけだから」
星香;「ひっどーい、アタシだって一緒にお花見したかったんだもん!」
月乃;「うふふ、わたしはうれしいわ。星香ちゃんが一緒だと、なんだか安心できるの」
悠美;「ふ〜ん。そういうことなら、楽しんでいってね。騒ぎに巻き込まれないようにだけ注意してよ(笑)」
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芽衣;「駆狼くん、ちゃんと飲んでる〜?」
駆狼;「め、芽衣さん?!だ、だめですよ、ぼ、僕は運転手なんですから!」
仁美;「だめですよ、芽衣さん。無理にお酒をすすめたりしては・・・」
芽衣;「ふ〜ん、なんだ、つまんないの。じゃ、その分食べていかなきゃね」
舞夜;「そうよ、まともな料理なんて、めったに食べられないんだからねっ!!」
仁美;「・・・舞夜さん、そんなに食生活がひどいんですか・・・?」
駆狼;「僕たち、水とお日様があれば大丈夫ですから(苦笑)」
舞夜;「でもでも、やっぱり、食べられるんだったら、ちゃんと食事もしたいじゃないの〜」
芽衣;「それもどうせなら、おいしいものを食べたほうがいいわよねぇ。今日はどんどん食べてよっ♪」
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剣吾;「お、翔。どうだ、楽しんでるか?」
翔 ;「あ、はい。料理もとってもおいしいですし」
誠二;「桜もちゃんと見てますか?今日はお花見なんですから」
翔 ;「はい、もちろんです!今年も去年と同じくらいきれいですよね」
誠二;「ふっ、今年はますますおきれいですね、くらい言わないと」
剣吾;「・・・お前、それって桜の木じゃなくて、舞夜に言うセリフなんじゃないのか・・・?」
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来夢;「ゆうさん、そちら、飲み物は足りてますか?」
ゆう;「あっ、来夢ちゃん、いいところに来てくれたですの」
日奈;「らいむちゃ〜ん、もっと無いのぉ、これぇ〜?」
来夢;「ひ、日奈さん?まさかお酒飲んでるんですか?!」
日奈;「おさけぇ?ひな、じゅーすしか飲んれないも〜ん」
ゆう;「このオレンジジュース飲んでから、こんな感じですのぉ」
来夢;「ゆうさんっ、それ、ジュースじゃなくて、カクテルですよ!」
日奈;「うふふふふ、かわいいなぁ、らいむちゃん☆」
来夢;「ちょ、ひ、日奈さん、そんなに強く抱きつかないでください〜!苦しいですぅ」
ゆう;「ああっ、いいなぁ。ねぇねぇ来夢ちゃん、わたしと代わってほしいですの☆」
来夢;「はうう、そんなことより、助けてください〜(涙)」
日奈;「ふふふっ、らいむちゃんってここが弱いのよねぇ」
来夢;「ああっ!だ、だめ、ですぅ。そこ、さわっちゃ、だめ・・・」
日奈;「くす、かわいいっ☆こんなのどお?」
来夢;「あっ、や、だめ、そこだめっ、あんっ・・・」
信之;「こらこらこらこらあっ!!何やってんだ、日奈!」
剣吾;「・・・声だけ聞いてると、妖しさ大爆発だぞ」
星香;「ふ〜ん。酔っ払うと危ない性格になるところは相変わらずのようだな、日奈ってば」
月乃;「あ、あの。どうして、来夢ちゃんのおでこをなでてるだけで、その、あんなふうになるんですか?」
悠美;「ああ。来夢って、もともと額のルビーのあるあたりが弱いんだけどね・・・」
仁美;「そこだけは人間の姿をしてても、とても敏感になってるみたいなのよ」
舞夜;「たいへん!翔くんが鼻血出して倒れてるわ!」
誠二;「う〜ん、どうやら翔くんには刺激が強すぎたようですねぇ・・・」
駆狼;「感心してないで、介抱するの手伝ってください〜っ」

淡い桃色の桜の木の下で、年に一度の宴会の夜は続く・・・

芽衣;「・・・ちょっと、収拾がつかなくなっちゃったわね(苦笑)」


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