☆雑談〜ある日ある時ある場所で〜
その20“慰安旅行へGo!Go!Go!”
2001年6月、閉店後のNights1号店にて・・・
剣吾;「えーっ、みんな集まったか?」
誠二;「いますよ。・・・それで、わざわざ全員呼び集めて、何をやるつもりですか?」
芽衣;「えへん。それは、あたしが説明するわ」
日奈;「芽衣さん、日本地図、このへんに貼ればいいかな?」
悠美;「はい、ダーツ持ってきたよ」
芽衣;「ありがと。・・・実は、剣吾と相談してね。慰安旅行に行くことにしたの」
来夢;「“いあんりょこう”、ですか?」
剣吾;「日頃がんばって働いてくれてる従業員諸君に感謝を込めて、ってことだな」
翔 ;「あの、質問してもいいですか?」
芽衣;「いいわよ、なぁに?」
翔 ;「僕、Nightsの従業員じゃないんですけど」
ゆう;「わたしもですぅ〜」
剣吾;「ま、せっかくの旅行だからな。みんな一緒のがいいだろ?」
誠二;「・・・それはともかく、それと、その日本地図やダーツにはどんな関係が?」
芽衣;「ふふふ、それを今から説明しちゃうわよ」
剣吾;「実は今回の旅行、日程は決まっているが、行き先はまだ決まっていない」
仁美;「行き先が決まってない?」
芽衣;「ふふ、それを今から決めるのよ」
ゆう;「どうやって決めるんですかぁ?」
誠二;「・・・まさか、ダーツが当たったところに行くって言うのでは・・・?」
剣吾;「おお、よく分かったな」
芽衣;「ちなみに発案はこのあ・た・し、よ☆」
日奈;「(なんか、最近読んだコミックに影響されたらしいわよ)」
来夢;「(ほえ〜、そうなんですか)」
悠美;「どこに当たっても、そこへ行くんだよね?」
翔 ;「ええっと、もし海の真ん中とかに当たったらどうするんですか?」
剣吾;「もちろん、そこへ行く!」
芽衣;「ちなみに投げるのは剣吾くんだから。自分の行きたいところに当たるように祈ってね(笑)」
仁美;「行きたいところ、と言うより、ちゃんとしたところに当たってくれればいいわね」
来夢;「翔君は、どこに行きたいの?」
翔 ;「ぼ、ぼくは、別に、どこでもいいですっ・・・来夢さんが一緒なら」
悠美;「翔、もっとはっきり言わないと聞こえないぞっ」
芽衣;「はいはい、それじゃ、剣吾くんに投げてもらいましょ〜!」
剣吾;「おし、それじゃいくぞっ!」
日奈;「がんばってね、剣吾さん」
ゆう;「がんばってくださいですぅ〜」
誠二;「くれぐれも、変なところに当てないでくださいね」
剣吾;「おし、それじゃいくぞっ!・・・一球入魂!!!とぉりゃ〜っっ(ビシッ!)」
全員;「おおっ!」
悠美;「・・・ええっと、ここは・・・」
日奈;「・・・ちょっと、海の真ん中っぽいんだけど・・・」
悠美;「・・・っぽいって言うか、思いっきり海の真ん中じゃない!」
誠二;「ま、こんなオチではないかと思っていましたが」
来夢;「どうするの?」
仁美;「本気で海の真ん中まで行くつもりかしら」
芽衣;「け〜ん〜ご〜く〜んんっ?!」
剣吾;「ま、待てっ!よ、よく地図を見てみろ!」
翔 ;「どう見ても海の真ん中にしか見えませんけど・・・」
悠美;「島もなさそうだし」
ゆう;「え〜っとぉ、なんか赤い線が引いてありますの」
日奈;「それって、もしかして船の航路?」
剣吾;「ふっふっふ、そうとも!たまには船の旅もいいだろうと思ってなぁ」
芽衣;「・・・絶対、偶然よね」
誠二;「・・・狙ってできるほど、彼もコントロール良くないですからね」
剣吾;「そこっ!何か言ったか?」
芽衣;「ううん、何にも。それより、その船ってどこからどこへ行くの?」
来夢;「ええと・・・東京から小笠原諸島の父島まで」
日奈;「でも、東京って去年の事件で壊滅してから、まだ復旧しきってないでしょ?」
誠二;「ああ、それなら大丈夫です。今は横浜から出ているはずですよ」
剣吾;「よし、それなら、今年の慰安旅行は小笠原諸島豪華クルージングってことで決まりだ!」
全員;「おーっ!」
悠美;「・・・ま、ほんとに“豪華”かどうかは分かんないけどね(苦笑)」
ま、そんなわけで。Nightsメンバー御一行、船の旅に出発するのでした。
その21“一発必中!”
風が涼しくなってきた頃、夜剣神社の弓道場で・・・
誠二;「…ところで、なんで私が弓を持たされているのですか?」
翔 ;「あの、僕もそれは聞きたいです…」
誠一郎;「細かいことを気にしとらんで、さっさと道着に着替えて道場に集合せんか!」
剣吾;「しょうがないから、俺が説明してやろう。着替えながら聞きな…」
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日奈;「つまり、今年の奉納射会は3人一組の団体戦ってこと?」
仁美;「ええ。以前、勝負がすごく長引いたことがあったでしょ?」
来夢:「妖鷹の翼さんが来てたときですね」
仁美;「どうも今年も来てるみたいなのよ。また勝負が長引いたら面倒だから、って」
芽衣;「なるほど、団体戦なら他のメンバーの腕で差がつくから、長期戦にはならないってことね」
仁美;「隣町の神主が『今年は負けんぞ!』って自信ありげに誠一郎さんに言ったそうよ」
日奈;「それで誠一郎さんも気合入ってたのかぁ。でも、なんで誠二くんと翔くんなの?」
仁美;「誠二君はあれでも武家の生まれだから、武芸一般はそれなりにできるのよ」
来夢;「翔くんは?わたし、翔くんが弓を引いているとこ、見たことないですけど」
仁美;「あ、来夢ちゃんは知らなかったの?翔くんの弓の腕前って、かなりすごいらしいのよ」
日奈;「へぇ、そうなんだ。意外だったなぁ」
仁美;「前にも悠美に一緒に練習しようって誘われてたからね」
芽衣;「相手はどうなの?その翼ってのが強いのはなんとなく分かるんだけど」
ゆう;「は〜い、それはもう、ばっちり調べてあるですの〜」
日奈;「ゆ、ゆうちゃん?」
仁美;「剣吾曰く、『相手の情報を入手するのは勝利への第一歩』なんですって」
日奈;「…弓道の試合で、それはあんまり必要無いような気がするんだけど…」
芽衣;「ま、結局相手より多く的に当てればいいんだからね。それで、どんな奴らなの?」
ゆう;「えっとぉ〜、一人目は蘭馬さんと言って、隣町で弓道の道場を開いてる方ですの〜」
仁美;「隣町の道場主のことは知ってるわ。悠美が参加する前まで、連続で優勝していたのよ」
来夢;「豪快だけど気の利く人で、門下生の人にも慕われてるんだよね」
ゆう;「青い色の矢をいつも使ってるので、“青い巨星”って呼ばれてるそうですの〜」
芽衣;「・・・何か、“歴戦の戦士!”って感じがするわねぇ」
日奈;「それで、もう一人は?」
ゆう;「えっとぉ、二人目は賀藤さんと言うんですけど・・・、実は、よく分からなかったんですの」
仁美;「どうして?」
ゆう;「最近引っ越してきたばかりで、よく知ってる人がいなかったんですの〜」
日奈;「なんで隣町の神主さんはその人を選んだのかな?」
ゆう;「神主さんの親戚らしいですの。昔はこのあたりに住んでたみたいですの。」
仁美;「私、その方の名前は聞いたことあるわよ。実力は蘭馬さんにも劣らないわ」
芽衣;「ふ〜ん。“私は帰ってきたー!”ってところかしら?」
来夢;「二組だけじゃないですよね?他にはどんな人が出てるのかなぁ」
仁美;「名簿ならここにあるわよ。・・・このチームは大学の弓道部仲間みたいね」
日奈;「どれどれ・・・チーム名“黒い三年生”・・・」
芽衣;「“じぇっとすとりーむあたっ・・・”とか言ってくれそうね」
仁美;「このチーム“アルビオン”の浦木さんって、1号店によく来てる人じゃないかしら?」
来夢;「そうですよ、きっと。お姉ちゃんと時々、弓の話をしてましたから」
日奈;「ああ、あのニンジンの嫌いな人ね。へぇ、結構いろんな人が出るんだね」
仁美;「ちなみに悠美たちのチーム名は何にしたの?」
ゆう;「もちろん、チーム“Nights”ですの〜」
芽衣;「あら、そろそろ始まるんじゃないかしら?」
来夢;「あ、そうですね。うふふ、がんばって応援しなくちゃ☆」
その22“料理は見た目が大事?”
ある夜の羽織家の台所にて・・・
誠一郎;「ふむ、何やら珍妙な香りがするようじゃが・・・」
芽衣;「ちょっと、ゆうちゃん、そこの香辛料とって!・・・あ、お邪魔してます、お爺様」
誠一郎;「これは芽衣どの。ゆうに聞いたのじゃが、今晩は手料理をご馳走してくださるとか?」
芽衣;「ええ。今日は誠二くんのご両親がご旅行で、食事の支度をする人がいないと聞きましたので」
ゆう;「誠二さんも悠美ちゃんとお出かけしちゃってますの〜」
誠一郎;「誠二のやつは儂のいいつけでな。ちょいと使いにやらせたんじゃよ」
ゆう;「芽衣さんがお料理してくれるって言ってくれて、助かりましたの〜♪」
芽衣;「あたしも一人暮らしだからね。たまにはこうやってみんなで食べるのも楽しいじゃない?」
誠一郎;「うむ。儂もたまには若い娘さんに囲まれて食事するのも・・・ごほん。では、あちらで待っておるからの」
ゆう;「わたしはもっとお手伝いしますの。芽衣さん、次は何したらいいですの?」
芽衣;「あ、じゃあこっちの鍋の火加減をみててくれない?」
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芽衣;「はい、どうぞ召し上がれ」
ゆう;「わ〜、とってもおいしそうですの〜」
誠一郎;「うむ。白粥に焼き魚に吸い物か。オーソドックスではあるが、なかなかうまそうじゃの」
芽衣;「お口にあえばいいのですけど。お代わりもありますので、どんどん召し上がってくださいね」
誠一郎;「それではいただくとしようか」
ゆう;「いただきますですの〜☆」
誠一郎;「・・・む・・・・?!ごほっ!すっぱっ、いや、辛い、というか、すっぱ辛い?!」
芽衣;「どうされました?もしかして、お口にあいませんでした?」
誠一郎;「い、いや、少し予想外の味だったので、驚いただけじゃ。・・・これは何という吸い物なんじゃ?」
芽衣;「トムヤンクンといって、タイのスープなんですけど・・・。初めてでしたか?」
誠一郎;「ま、まあ、の。見た目が日本の吸い物に見えたので驚いたが、・・・これはこれでうまいかもしれんなぁ」
ゆう;「舌がぴりぴりしておいしいですの〜」
芽衣;「唐辛子がけっこう効いてるからね。他の料理と一緒に食べたほうがいいわよ」
誠一郎;「では、この魚をいただくとしようか。・・・ふむ。これはこれは・・・何と言ってよいか・・・」
芽衣;「色々なスパイスを小麦粉と一緒にまぶして焼いたものですわ」
ゆう;「変わった刺激がしますの」
誠一郎;「塩焼きも良いが、こういった珍妙な味付けもなかなかいけるのぉ。では次に粥を・・・ぶぐっ!あ、甘いぃっ?!」
芽衣;「ミルク粥ですから。他の料理は香辛料が多いですから、一緒に食べるとバランスが取れると思いますよ?」
ゆう;「舌触りが気持ちいいですの」
誠一郎;「た、たまにはこういう一風変わった料理というのも良いかもしれんな、わは、はは」
芽衣;「今日はタイ料理で統一してみたんですけど、今度はスペイン料理でも作ってみましょうか?」
ゆう;「わ〜い、楽しみですの〜♪」
誠一郎;「お、お手柔らかにたのみますぞ・・・」
芽衣は世界各国の港町を巡ってきているので、色々な料理を知っています。
ちなみに、ゆうは【味覚消失】で味が全く分からないので、
何を食べてもおいしいと言いますし、そのせいで料理も「超」下手だったりします(汗)
芽衣;「(この間読んだ小説と同じ反応してくれるんだもの〜。くす、大成功☆)」
誠一郎;「(こ、今度からは見た目で味を判断しないようにせんとあかんなぁ・・・)」
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