ヴェルディのオペラ(初演年代順)(兼DVD/LDリスト)

このサイトのあちこちにヴェルディは苦手、と書き散らした覚えがあるのですが、それはそれ、今は一番好きな作曲家になっています。その魅力を少しずつ書いていこうと考えています。 タイトルにリンクがある作品は単独解説頁があります。 

オベルト、サン・
ボニファーチョ
伯爵
(1839)
Callegari 指揮マチェラータ音楽祭(1999)
HouseOfOpera盤(DVDCC981)としてはまずまずの画質音質で伊語字幕つき。
歌手陣が「演技」の代わりに「振付」で歌っていて、この作品が「登場→アリア→退場」の繰り返し(紅白歌合戦方式?)であることを強調しているのですが、この割り切りが気持ちいい。対訳無しでもついていけます。思えば「ナブッコ」も元々同じような作品だったのが、予想外の大当たりとなって、それがオペラ自体を変質させていったのでしょう。作品の出来は、出世作「ナブッコ」につながる一定以上の成功を収めたことが十分に納得できる水準で、ロッシーニにも入れ込んでいる昨今の私には「アッティラ」「ジョヴァンナ・ダルコ」あたりよりずっと馴染みやすい。音楽だけなら「一日だけの王様」「ナブッコ」はともかく、「エルナーニ」より良く出来ているかも(これも私の偏見)。演奏もオベルト役のペルトゥージ以下高水準だと思います。トクな役らしいですが、クニーザのCollecchiaが奇麗です。(05.08.08)
アベル指揮アストゥリアス交響楽団(2007)
英語字幕、リージョンコード0の輸入盤。
字幕の英語がひどく読みにくいものです。原詩の倒置とかを生かした翻訳かもしれませんが、とにかく私がこれまで見た英語字幕では断トツ読みにくいものでした(BS2で日本語字幕放送されたのを録画しようとしたら地震関連ニュースのせいで放送時間がかわっていてアリアフィナーレで切れてしまった、というおまけが付きました)。
声が引っ込む録音で大分損しているとは思いますが、歌はマチェラータより2ランクは下に聞こえます。オベルトを歌うアブドラザコフはなかなかの美声で、録音さえ良ければペルトゥージに迫る出来だったかもしれません。次にいいのはレオノーラを歌ったヘルリツィウスですが、演技でカバーしているとはいえ、この役で欲しいドスの効いた声ではありません。リッカルド役はかなりの悪声ですし、クニーザ役は皇太后様としか見えない貫禄が大減点、イメルダ役と入れ替わればよかったのでは?。
簡素な演出ですが、見比べると「演技」を捨てて「振り付け」に徹したマチェラータの演出の洞察の深さに感じ入ってしまいました。全体に伊語字幕しかないマチェラータ盤の素晴らしさを再認識させた一枚になってしまいました。(08.07.12)
一日だけの
王様
(1840)
Krilovici- D'Intino- Terranova- Trimarchi- Picconi; Queler. 1987 Livorno 盤
(HouseOfOperaより購入、演奏者についてはこれだけの情報しかありません)
ナブッコ
(1842)
Carignani指揮サンカルロ歌劇場、ブルゾン、フラナガン
英語字幕のみ、リージョンコード0の輸入盤。演奏についてはamazon.comのレビューを見ると、3人の超酷評に対して一人だけ擁護という状態ですが、そう悪いとは思えません。「ノルマ」以上に様式に走ったオラトリオのようなオペラですが、そういうものだと思ってみると問答無用の迫力はあり、ヴェルディの出世作となったのも分かるような気がします。超難役のアビガイッレを歌っているフラナガンはアジリタの出来るドラマティックソプラノというにはやや軽い声のような気がしますが、低音もよく響き、立派に歌っています。見せ場のはずの偶像崩壊のシーンが何ともしょぼいのが残念。(03.10.25)
サンティ指揮パリ・オペラ座、ミルンズ、バンブリー、ライモンディ
以前9800円也で見送っていたのが限定発売で2800円に下りてきたので購入。ちなみにCarignani指揮のサンカルロ歌劇場盤は2000円以下で買っています。1979年オペラ座収録で半ば覚悟していた通り「シモン・ボッカネグラ」並に画質は悪いです。音質も良いとは言えませんが「シモン・ボッカネグラ」よりはましです。サンティの指揮がCarignaniに比べると序曲からして貫禄と余裕が見えます。歌手ではバンブリーが圧巻。この人はメゾ、それもドスの効いたメゾだったはずですが、その迫力ある声のまま高音までガンガン来られると、フラナガンでは比べるのが可哀想な位の差がつきます。滑らかな声のミルンズは恋するオジサン役(イル・トロヴァトーレのルーナ伯爵とか)の方が似合っていて、ナブッコには剛直なブルゾンの方が向いているとは思いますが、十分に立派、これまた滑らかな声のライモンディもサンカルロ盤のザッカーリア役には貫禄勝ちです。なんとなく歌舞伎を髣髴とさせるような演出は筋立ての無理をうまく隠しているように思えて、これもサンカルロ盤に優ります。偶像崩壊も少し私のイメージに合わないながら豪快で、ひびが入ってこけるだけのサンカルロ盤よりずっと納得できます。(04.11.06)
イ・ロンバルディ
(1843)
(1847=改作
「イェルサレム」
初演)
プラッソン指揮ジェノヴァ・カルロ・フェニーチェ座(イェルサレム)
1847年パリ初演の改作版「イェルサレム」のフランス語版上演。「ナブッコ」もびっくりの支離滅裂ストーリーだった「イ・ロンバルディ」を改作にあたりパリの聴衆に受け入れられるようまともなストーリーに直したものです。録音状態が良く歌がきれいに取れていて、舞台もきれい、音楽は「ナブッコ」「エルナーニ」より角が取れて滑らか、と確かに思ったのですが、その割にどうも退屈してしまうのです。試しに「ナブッコ」を見てみて、音楽がゴツゴツしていても引き込まれる自分を再発見したのでした。「リゴレット」以降、特に「運命の力」以降のオペラが持っている「何か」が未だ無いまま角だけ取れてしまうと面白みが薄れるようです。ソプラノが(美人ですが)オバサンくさい以外は視覚的な違和感は無く、アラビアの後宮風の衣装のバレーシーンの美しさもオペラ作品中としては最高レベルなのですが。(04.08.29)
ガヴァッツェーニ指揮ミラノ・スカラ座、カレーラス、ディミトローヴァ
amazonで「日本のプレーヤーでは再生できません」と書いてあっても実際は問題ないのが多いのですが、これはリージョンコード1でした。リージョンフリーのプレーヤーで無いと再生できません。字幕も英・独・スペイン語のみです。
1984年スカラ座収録で、自然といえば自然ですが声が引っ込み気味の録音です。それを差し引いてもスカラ座としては低調な公演だったように思います。ディミトローヴァは声量だけが取り柄の悪声で、第2幕のアリア・フィナーレ以降は多少マシになりますが、出だしでは本気で先行きを心配しました。そのまた下を行くのが、要になるべきパガーノを歌うCarroliで、上も下も出ない声量の無いハイバリトンという風情です。ただ一人カレーラスだけが一流の歌を歌っていますが、共演陣の気の抜けた歌唱の中で激情調の歌が浮いてしまっています。指揮も低調のような気がします。スカラ座の観客も拍手するタイミングをはかりかねていたように聞こえます。
ただ、作品を知るには不足無い盤で、荒唐無稽になることなど気にもせずにヒロインの見せ場を作りまくった構成が納得できました。「ナブッコ」以上とは思いませんが、「イェルサレム」より魅力的なような気がします。その肝心のヒロインの歌に魅力が無いのが困ったものですが。 (06.05.06)
エルナーニ
(1844)
レヴァイン指揮メトロポリタンオペラ、パヴァロッティ、ミッチェル、ミルンズ、ライモンディ
パヴァロッティとミルンズがミッチェルを挟んで競り合うと、似た顔合わせの「イル・トロヴァトーレ」を彷彿とさせます。ただし、あちらではアズチェーナという個性的キャラが加わるのに対し、こちらはパヴァロッティ・ライモンディ・ミッチェルの3人で同じような競り合いを再開してしまいます。勘所の抑えがまだ足りないとも言えそうですが、底は浅くとも痛快歌舞伎調のある意味分かり易い作品です。演奏は決して悪い出来ではないですが、痛快な声かというと録音も含めてもう一声欲しい所。タイトルロールを歌うパヴァロッティはマンリーコより向いているでしょう。ミルンズはルーナ伯爵のイメージが強く、敵役になっている間は良いですが、カルロ5世=「女を諦めると同時に反逆者に恩赦を施す名君」のイメージは沸いてきません。ミッチェルのエルヴィーラは物足りないですが、さりとて誰が向くのか良く分かりません。シルヴァはライモンディよりもっとはっきり低い声の方がミルンズとのコントラストがついて良かったのではないでしょうか。(04.04.26)
ムーティ指揮ミラノ・スカラ座、ドミンゴ、フレーニ、ブルゾン、ギャウロフ
リージョンコード0の輸入盤で日本語対訳つき。レヴァイン盤もオールスターキャストですが、こちらの方が一段と優ります。自殺志願ばかりしている主役もドミンゴが演ずる方がピンと来ます−−パヴァロッティはコンサート形式はともかく舞台で演じるのには向かない? フレーニばかり賞賛するのも気が引けますし、ましてやエルヴィーラは本来の守備範囲から大分外れた役だと思うのですが、それでもやはり圧倒的に説得力があります。カルロ5世も本気で恋をしているようには見えない分恩赦のシーンがピタリと決まるブルゾンの方がミルンズより合っています。シルヴァもはっきりと低い声のギャウロフがぴったり。豪華な舞台と衣装なのに殆ど動きが無い演出からは、最小限の総稽古で済ませようとした舞台裏がうかがえますが、一流歌手達はそれでもしっかり演技しています。(05.04.17)
二人の
フォスカリ
(1844)
サンティ指揮サン・カルロ歌劇場、ヌッチ、スコーラ、ペンダチャンスカ
題名を直訳するとこうにしかならないのですが、日本語としては「フォスカリ父子」が自然でしょう。フォスカリ父子、ルクレツィア、十人委員会の4つの指示旋律を採用、転調を重ねた挙句譜面上「重変ロ短調(実はイ短調)」が登場、など、ワーグナーの向こうを張るような新しい音楽を開拓した作品、とされているようですが、最初から嘆いてばかりでドラマが全然ないストーリーではオペラとして楽しめません。同じく中世イタリアでの権力闘争を描いていても「シモン・ボッカネグラ」とは台本だけでも大差がつきます。音楽だけ鑑賞しようとしても、合唱及びヒロイン(ペンダチャンスカ)の歌がオケから遅れるのが頻繁に耳につきます。オケの精度もやや粗いかもしれません。ヌッチとスコーラの父子はちゃんと歌っているのですが、録音のせいか、きつい声に聞こえてしまいます。個人的にはコレクターズアイテムと思います。(04.09.25)
ジョヴァンナ
・ダルコ
(1845)
シャイー指揮ボローニャオペラ(1990)
HouseOfOpera盤(DVDCC618)としてはトップクラスの画質音質で英語字幕つき、ジージーいうノイズだけが減点対象です。永竹さんが「最悪の台本」と言われるのを恐いもの見たさで手出ししましたが、これはちょっと凄いです。「アッティラ」第3幕の水準で全編終わってしまいます。これではヴェルディの作曲も職人仕事になってしまうのもやむをえないでしょう。主役を歌うダンは姿も声も押し出しが良くて今一つ品が無いあたりが妙に役柄に合っています、が、後半バテ気味。父親がブルゾン、カルロ7世がラ・スコラですから、望みうる最高のメンバーでの演奏と思いますが、感動にはほど遠かったことを白状します。(05.08.08)
アルツィーラ
(1845)
Hofman, Hovsepian, Boggasch, Ostermeier -Passau 1998
HouseOfOpera盤(DVD690)ですが、舞台稽古の記録の流出もの?。正面に据えた不動のカメラからの映像も音質も貧弱で、目立ったノイズが無いというだけの素人レベルです。まず口上(ではないが説明しようとするとキリが無いのでこう書きます)に続いて序曲が一旦始まりますが、それが声に遮られて中断、もう一度口上から再開しますが、幕が上がっても下がっても一切拍手は無く、最後にも批評するような声が入ります。それでも白熱の稽古ならいいのですが、合わせる事を第一優先にしたような感じで全く盛り上がりません。となると、こちらも観る/聴く気力が早々に萎えてしまいました。他には無さそうという意味では貴重な映像ですが、これで「アルツィーラ」を見た、という気には全然なれませんでした。(05.12.17)
アッティラ
(1846)
ムーティ指揮ミラノ・スカラ座、レイミー、ステューダ、ザンカナーロ
リージョンコード0の輸入盤で日本語字幕無し。「セミラーミデ」のアッスールと似たキャラのアッティラを、これまたレイミーがノリノリで歌っています。ステューダはここでは烈女役、こちらは王女様をやっているときと同じくらいに似合いませんが、でも技術のあるこの人は好きです。音楽は「ナブッコ」よりずっと滑らかになっていますが、台本作家のソレーラが放り出した後の台本をピアーヴェが仕上げた第3幕でのテンションの下がり方は、予備知識から想像していた以上のものがありました。悲劇とはいいながら時代絵巻の娯楽大作、に成り損なった感じです。(05.06.18)
マクベス
(1847=初演版)
(1865=改訂版)
ヴェルザー=メスト指揮チューリヒ歌劇場
このDVDで初めて聴いた曲ではありますが、ヴェルディ初期の問題作の「この一枚」と断じてもよいのではないでしょうか。奇抜な演出が嫌味にならないのは魔女や幻影がぞろぞろ出てくる原作に合っているからでしょう。衣装はパンク風だったりしますが、演技の入念さでは他のオペラDVDの水準から一線を画し、全体として意外とシンプルで上質のシェイクスピア劇の舞台の趣があります。私には初めての歌手ばかりですが、特にレディー・マクベスを歌うマッロークがいい。発狂後の可愛い系の表情も凄くいいのですが、前半での恐い系美人顔はさらに物凄くいい。悪声に近い声はヴェルディの希望に合致してド迫力です。マクベスを歌うハンプソンはそれに比べると穏やかながら芯の通った声で揺れる心をしっかり歌っています。バンクォーもいいです。ツボを心得ているのでしょう、「コシ」「理髪師」とチューリヒ歌劇場での録音は聴き映えがして好きですが、何故か何れも2枚組なのが不思議でもあり残念でもあり。このDVDでも特典映像を削って1枚に納めて欲しかったところです。(04.03.06)
アバド指揮スカラ座(1978)、ストレーレル演出、カプッチッリ、ヴァーレット、ギャウロフ
HouseOfOpera盤(DVDBB2703)、70年代としてはかなりいい画質音質で、当時の「マクベス」再評価に貢献した面々がスカラ座に会しての上演ですから大いに期待しましたが、期待したところまでは行きませんでした。チューリヒ盤のインパクトが強過ぎたというか、一枚だけ見た時点でチューリヒのを決定盤と断じたわれが凄いというか(?)。カプッチッリは迫力十分ですが、シモン、ドン・カルロ(運命の力)、イヤーゴ等ほどには合っていないかも。勿論ヴァーレット共々悪いわけではないですが、チューリヒのわざとらしいまでに手を入れまくった舞台と比べると工夫が無いように思えます。見ていると工夫の無い演技に退屈してきて、聞くだけにすると今度は歌唱の工夫の無さが気になってきます。シェークスピア原作のこのオペラには手を入れまくった方が合っていると思っています。(05.12.10)
Verrett/Lucchetti/Nucci/Ramey (Film) / 87
群盗
(1847)
Huffstodt- Collins-Allman- Shanks; Kamirski. 1987 Sydney
HouseOfOpera盤(DVD8681)で字幕なし、舞台上演の私家版記録のようです。パルマのリゴレット(詳しくはこちら) と似たような由来でしょうが、一台だけのカメラなど、機材がアマチュア級のもののようで、照明が正常だった以外では収録状態は劣ります。作品は永竹さんに「凡作」と切り捨てられていますが、私にはまあまあ楽しめました。「マクベス」と並び、心理の動きの複雑な原作(=シラーの戯曲)を選んだ点では「ルイーザ・ミラー」以降につながるものがあると思います。これをオペラに仕立てるにあたっての扱いが月並み、という非難になるわけですが、私には安心して聞ける「堂々たる月並み」と思えました。何より出演者が皆「凡作」などとは思わずに熱演しているのが嬉しい。貧弱な音声ですが声の聴き栄えがして響きに臨場感もあり、不動のカメラを通して見るのと合わせて、実際に舞台を見ているような気分が出ます。並行して作曲していた「マクベス」には及ばないとは思いますが、「ルイーザ・ミラー」以前の作品としては「まあまあ」ではないでしょうか。(05.12.17)
海賊
(1848)
Pulumbo指揮パルマ歌劇場
リージョンコード0の輸入盤で日本語字幕付き、思い切り控えめな字幕ですが、あると無いとでは大違いです。「ナブッコ」のことを思えば随分滑らかな音楽になったものだとは思いますが、これだけ裏も表も無く「芝居がかった」芝居に滑らかな音楽が付いてしまうと、何だかこちらが恥ずかしくなってきます。「マクベス」は勿論のこと「群盗」と比べても問題意識の欠けた「海賊」の台本より、当時のヴェルディの作曲技術も意識も先を行ってしまっていたのでしょう。歌手は大体よく、ただ太守役がブルゾンみたいな顔だけど声が無いな〜と思っていて、見直してみると何とご本人でした。もうお年なのでしょうか。1987年の「リゴレット」には割れんばかりの拍手を送ったパルマの聴衆がごく大人しいのは、乗り切れない指揮に対する不満の表れなのかな、などと勝手に想像しています。物理的条件は「群盗」の怪しい盤とは比較になりませんが、あえて比べるとあちらの方がまだ好みだ、ということになってしまいます。(05.12.26)
レニャーノの戦い
(1849)
サンティ指揮ベリーニ大歌劇場
リージョンコード0の輸入盤で日本語字幕付き、まともな日本語です。音質画質も十分優秀です。イタリア愛国運動を強く意識した作品と言われていますが、それを極端に強調するような演出がどうか。愛国運動者に受けるのをあてこんだようなところが思い切り目に付いて微苦笑してしまうのが避けられず、「心ならずも相思相愛の相手とは違う相手と結婚してしまった女をめぐる三角関係」という本筋の方は全然心に響いてきません。この演出のせいか、観客が拍手するタイミングを計りかねているのが、こちらのノリを一段と損ねます。だからといって別の演出で見たとして違う印象になるかどうかも怪しいものです。「リゴレット」等後年の名作の萌芽のような音楽があちこちに聞こえるのですが、そういう音楽にもワクワクできない点では「海賊」と五十歩百歩のような気がします。妙に忙しい木管パートを楽々こなすオケは十分に優秀、歌手陣はしっかり歌っているものの軽量感は否めませんが、その中ではヒロインに存在感があります。この珍品オペラを知るためには不足無い一枚だとは言えそうです。(07.03.18)
ルイーザ・ミラー
(1849)
マゼール指揮コヴェントガーデン(1980)、リチャレッリ、ドミンゴ、ブルゾン
HouseOfOpera盤(DVD124)で、(ES)という英語字幕ありを意味する表記と "No subtitle(字幕なし)"と両方書いてあって、現物には英語字幕つきでした。ここの物としてはかなりいい画質音質、但し時々ですが、いい場面でジージー盛大に入るノイズが残念。しかしこれはもっと早く買っておけばよかった/DVDがあまり出てないのが不思議な位の/名作と思いました。「リゴレット」に準じる音楽の水準で、テーマとこの時期のヴェルディの音楽とが合っている点で「スティッフェーリオ」よりもさらに上でしょう。個人的には「トロヴァトーレ」「トラヴィアータ」よりも遥かに上ということになります。リチャレッリが雰囲気最高でルイーザに成りきっています。最後の幕で自殺を決意したのを父親に止められて思い直した後にロドルフォから毒を盛られた(=二人で心中する)と知らされた時の何とも嬉しそうな表情で、見ているこちらも天国で結ばれる二人を祝福したくなる気にさせられました。彼女はこの作品でロンドンで大成功した後ミラノで大失敗したことがある、とのことですが、その大成功の方の舞台なのでしょうか。ドミンゴはアリアではいつものように頑張りすぎと思いますが、全体にはいつもより軽く歌っていて、こちらも良いです。ブルゾンの父親も、その他の英国人歌手陣も十二分に立派です。これも正規盤が出るなら必ず買いなおそうと思う一枚です。(05.12.10)
レヴァイン指揮メトロポリタンオペラ(1979)、スコット、ドミンゴ、ミルンズ、モリス
リージョンコード0の輸入盤で英語字幕付き。悲しすぎるお話で頻繁に繰り返し見るオペラではないけれど、見るとなると最後まで続けて見てしまう質の高い作品の、これまた優れた演奏で、コヴェントガーデン盤をさらに上回ると思います・・・何と言っても正規盤ですし。少し古いメトの常で、オケが広すぎる劇場に趣に欠ける音をまき散らしている感が強い録音ですが、劇の進行に伴って気にならなくなります。ドミンゴはコヴェントガーデン同様に好調、スコットは出だしの見た目がオバサン臭く少々がっかりでしたが、こちらも劇の進行に伴ってどんどん奇麗に見えてきます。フレーニと近いところに居て、でもちょっと違う、という感じの歌手ですが、上手いし安定しています。ミルンズのミラーもブルゾンに負けず良いですが、この盤のアクセントはモリスのヴルムでしょう。特徴ある声で、「指輪」のヴォータンとイメージがダブるのが、この悪役を演ずるのに一段と良い感じです。(07.03.12)
スティッフェーリオ
(1850)
(1857=改作
 「アロルド」
 初演)
ダウンズ指揮コヴェントガーデンオペラ、カレーラス、マルフィターノ
「リゴレット」と同時期に作曲されたけれど当時は全く受けなかった、牧師の妻の不倫を取り扱った作品。音楽の水準はリゴレットに殆ど劣らないと思いますが、娘の不倫相手に復讐を誓い決闘を申し込む父親は、「運命の力」のドン・カルロに近い役回りで、そちらと比べると聞き劣りがします。原作戯曲の第1、2幕をカットした冒頭も何か唐突です。「リゴレット」に近い水準の音楽だけれど、取り上げたテーマが先進的過ぎて、台本ともども追いついていない、というところでしょうか。勿論これは「リゴレット」「運命の力」という2大傑作と比べて、の評価です。主役の二人はそれぞれ年取ったなという感じ。声の聴きばえのしない傾向の録音が少し足を引っ張ります。(03.11.12)
de Renzi 指揮Sarasota オペラ (アロルド)
DVDAA344 Verdi - Aroldo - Absalom, Brandstetter, Curtis という表記しかないHouseOfOpera盤を取ってみましたが、別途調査の結果、フロリダ州サラソタ市でのヴェルディ全作品公演プロジェクトの一つ(1990)だったようです。
正面から舞台全体が入るアングルの不動のカメラからのぼけた映像で、歌手の顔はのっぺらぼう状態ですが、意外とこういうアングルの映像は臨場感が出てくるものです。音も歪み気味ですが、声が前に出てきて迫力はあります。声が引っ込みがちのコヴェントガーデンの「スティッフィーリオ」とは好対照です。どこまで録音に助けられてるか分かりませんが、歌手が上手く聞こえますし、観客のノリ具合も非常にいいです。
序曲とオペラ本体の真ん中は殆ど原作と同じ音楽で、第1幕前半と第4幕が新しい音楽になっていますが、書き直し部分は「運命の力」に近いところに行っていてかなり良いです。原作のストーリーの衝撃も現代性もない、ただの浮気話に堕してしまっていますが、そこら辺の事情を承知して聞けるなら、原作を上回る部分が多いように思います。(06.11.04)
リゴレット
(1851)

シャイー指揮
ウィーンフィル、
パヴァロッティ、
グルベローヴァ

カンポーリ指揮
エミリア−
ロマーニャ交響楽団
クラウス、
セッラ、 ヌッチ

サンティ指揮
チューリヒ歌劇場、
ヌッチ、モシュク、
ベチョーラ

ロペス=コボス指揮
バルセロナ・
リセウ歌劇場、
C&M アルバレス、
ムーラ、スルグラーゼ

コンロン指揮
パリ国立オペラ
ヴァルガス、
ロシュト
ガヴァネッリ

Milan 1994
Rost Alagna
Bruson
Kavrakos

Verona 1991
Devia Giordani
Nucci

Geneva 1981
Materson
Dvorsky
Cappucilli
イル・
トロヴァトーレ
(1853)
レヴァイン指揮メトロポリタンオペラ、パヴァロッティ、マートン
シャイー盤の「リゴレット」よりは気に入りました。こちらは舞台の録画だからというのが大きいと思います。ここでのパヴァロッティなら期待通りです。マートンが今一つ冴えませんが、役柄が元々冴えないような気がします。(01.07.15)
ジョヴァニネッティ指揮 アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団、プロライト、コッソット、ボニゾッリ、ザンカナーロ
ヴェローナの野外劇場での上演、音も絵も奇麗に取れています。プロライトは不調(と勝手に思っている)のマートンより合っているし奇麗です。コッソットはザージクとは比較にならない迫力ある歌唱、ボニゾッリを見るとパヴァロッティには(コンサートはともかく)舞台で演技して欲しくないという思いを強くします。ザンカナーロもまずまず。以上レヴァイン盤よりずっといいのですが、私としては、この作品があまり好みでない(ラ・トラヴィアータと同ランク、リゴレットとは大差)であることを再確認したような気がします。(05.10.23)
ラ・トラヴィアータ
(椿姫)
(1853)
レヴァイン指揮メトロポリタンオペラ、ストラータス、ドミンゴ、ゼッフィレッリ演出
ここまで行くと映画仕立てのオペラ収録ではなくて映画そのものです。その思い切りが私にはポネル演出のシャイー盤「リゴレット」より遥かに好ましい。と言っても、舞台収録の上質なものの方がもっと好きですが。超豪華で広々とした装置にもかかわらずいかにも狭そうなスタジオの音場が残念。歌がきれいに撮れても、それだけではときめかないのです。視覚的にはストラータスは最高ですが、「道化師」の方がもっと良かった。ドミンゴは妙に年寄りくさく、マクニールは更によくない。(02.09.07)
ショルティ指揮コヴェントガーデン、ゲオルギュー、ロパード、ヌッチ
ゲオルギューは実は食わず嫌いをしていました。美人なのだけれど性格悪に違いない、と。「愛の妙薬」のDVDのカバーとか意地悪そのものに見えません?。さて、その思いが完全に払拭されたわけではないですが、ここでは声も容姿も余りにも見事です。軽い声で若々しいロパード、貫禄あるヌッチもそれぞれドミンゴ、マクニールより遥かにいい。映画仕立てより舞台ライブがオペラには合っているとの思いを改めて深くしましたし、録音もいい。レヴァイン盤より全面的に優ります。(03.04.12)
シチリアの晩鐘
(1855)
ムーティ指揮ミラノ・スカラ座、ステューダー、メリット、ザンカナーロ、フルラネット
最近は違うパッケージでも出てますが、何れにせよ英語字幕の輸入盤です。
全5幕に長いバレエが付く「グランドオペラ」形式によっていて非常に長く、特にバレエシーンは私には退屈ですが、その点だけ何とかなれば(バレエは飛ばしてしまえば)、技術のある歌手陣が迫力満点の競り合いを随所で聞くことができます。個人的には「トロヴァトーレ」「トラヴィアータ」よりも好きです。永竹さんは「シチリアの晩鐘」のエレナ公女を「ドラマチックな声と、軽やかなアジリタの技術を要求されるので非常に難しい役」、アルリーゴを「三点dまである上に、チェンジ・ボイスのあたりの音が多く超難役。多分フランス人テノールの発声法とイタリアの発声法が少し違ったので、こうなったのだろう」と書かれてますが、この両役をステューダとメリットが見事に歌っています。ヴェルディの他の作品の主役にはやや細めということになりそうですが、この難役にはぴったりです。(03.10.13初出、06.06.24変更)
シモン・
ボッカネグラ
(1857=初演版)
(1881=改訂版)
アバド指揮
パリオペラ座
カプッチッリ、
フレーニ、
ギャウロフ

レヴァイン指揮
メトロポリタンオペラ
テ・カナワ、ドミンゴ

アバド指揮
スカラ座
カプッチッリ、
フレーニ、
ギャウロフ
仮面舞踏会
(1859)
レヴァイン指揮
メトロポリタンオペラ、
パヴァロッティ、
ミッロ、ヌッチ
運命の力
(1862=初演版)
(1869=改訂版)

ゲルギエフ指揮
キーロフオペラ
(ペテルスブルク
 初演版)


レヴァイン指揮
メトロポリタン
オペラ
L.プライス、
ジャコミーニ
ヌッチ


M=プラデッリ指揮
サン・カルロ歌劇場
テバルディ、コレッリ
バスティアニーニ


パターネ指揮スカラ座
カバリエ、カレーラス
カプッチッリ
ギャウロフ

ドン・カルロ
(1867
 =パリ初演)
(1884=四幕版)

カラヤン指揮
ベルリンフィル、
カレーラス、
カプッチッリ、
バルツァ、

レヴァイン指揮
メトロポリタンオペラ
ドミンゴ、フレーニ、
ギャウロフ
パッパーノ指揮
パリ・シャトレ座
アラーニャ、
マッティラ
アイーダ
(1871)
レヴァイン指揮メトロポリタンオペラ、ドミンゴ
他のDVDで今一つなのが多いと思っていたドミンゴが絶好調、なるほどこれが超一流の声か、と思いました。作品としてはヴェルディ晩年の5作品では最下位だろうと思いますが。(03.06.15)
オテロ
(1887)


バレンボイム指揮
ベルリン国立
歌劇場 


 エレーデ指揮
 NHK交響楽団、 
 デル=モナコ、 
 トゥッチ、ゴッビ 


 ムーティ指揮
 ミラノ・スカラ座
 ドミンゴ、ヌッチ
 フリットリ


クライバー指揮
ミラノ・スカラ座
ドミンゴ、
フレーニ、
カプッチッリ

ファルスタッフ
(1893)
カラヤン指揮ウィーンフィル、タディ、パネライ、カバイヴァンスカ
録音当時でタディ(ファルスタッフ)、デ・パルマ(カイウス)が65,6才、パネライ(フォード)が57才という老人達が実に達者です。カバイヴァンスカ(アリーチェ)、ペリー(ナンネッタ)はそれぞれ声も姿もきれいですし、アライサ(フェントン)、ルートヴィヒ(クイックリー)、ツェドニク(バルドルフォ)、に至るまで、私のようなド素人ですらあちこちの録音で聴いたことのある歌手がならんでいます。(02.11.10)
ムーティ指揮ミラノ・スカラ座、マエストリ、フリットリ
スカラ座がヴェルディゆかりの地ブーセットの小劇場に出張した公演。一見カラヤン盤の豪華キャストには及ばないのですが、これがいい。ムーティの快調なテンポ、狭い舞台を逆手に取ったような喜劇に徹した演出で、カラヤン盤だともたれてしまう箇所も、すいすい進みます。主役の若々しく軽やかな声は、役柄に合っていないようでも、この演奏には良く合っています。フリットリはデズデモナを演じていた時よりさらにいい。クイックリー役のコントラルト(メゾよりドスの効いた女声)もいいです。(03.10.13)
ジュリーニ指揮コヴェントガーデン、ブルゾン、リチャレッリ、ヌッチ
ジュリーニがオペラを指揮した貴重な記録としてLDの時代より有名だった盤ですが、今ひとつ良さが分かりませんでした・・・。ヌッチのフォードを始め、ブルゾンもリチャレッリも勿論悪いはずは無いのですが、では何が良いかというとピンと来ない、というのが正直なところです。カラヤン盤もムーティ盤も高水準だった、ということなのでしょうか。指揮が普通すぎるような気はしないでもありません・・・全てはこの作品を余り理解していない未熟者のタワゴトのような気も・・・。(08.8.31)

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ロッシーニのオペラ(初演年代順)(兼DVD/LDリスト)
  タイトルにリンクがある作品は単独解説頁があります。 

成り行き泥棒
(L'Occasione
 FA IL
 LADRO)
(1812)
ジェルメッティ指揮シュツットガルト放送交響楽団(シュヴィツィンゲン音楽祭1992年)、
パターソン、コルベッリ、ギャンビル
DVDCC981のヴェルディ「オベルト」のおまけに付いてきた物ですが、DVDCC985と同一内容と思われます。英語字幕付き。ジリジリいうノイズが入る分だけ「ブルスキーノ氏」には負けますが、HouseOfOperaとしてはトップクラスの音質、画質です。ヒロインのパターソンの声が美声には程遠いですが、ドタバタ劇の感興を損ねることはありません。従者がやたらと上手いと思ったらコルベッリでした。ドイツ人観客のノリの悪さは相変わらずですが、「ブルスキーノ氏」よりも無理の無いドタバタで演技が皆上手く、こちらの方が入りやすいです。
ブルスキーノ氏
(1813)
ジェルメッティ指揮シュツットガルト放送交響楽団(シュヴィツィンゲン音楽祭)、
コルベッリ、リナルディ、キューブラー、フェラー
英語字幕付き。これLDからのコピーではないかと思うのですが、HouseOfOperaにもかかわらず、80年代として最高の音質、画質もそこそこです。同じシュヴィツィンゲン音楽祭のライブでも歌手は「アルジェのイタリア女」以上に(私の印象はともかく)名のある人がずらり。リナルディが勿論非常に上手いのですが、「なんて暑いんだ」の連発で笑いが取れなかったのはドイツ人観客のノリの悪さ、でしょうか。高水準の演奏だろうと思うのですが、十分には楽しめなかったのは、同時入手の「エジプトのモゼ」と見比べるような私の見方のせい、が一番かもしれません。
アルジェの
イタリア女(1813)
ヴァイケルト指揮シュツットガルト放送交響楽団
リージョンコード0の輸入盤で日本語対訳つき。現在のレパートリーに残っているオペラに限ると、アルトに主役のしたたかな女を演じさせた史上初の作品のようです。「カルメン」につながる「したたか女」の系譜の先頭に位置する・・のかな?。
筋立て音楽ともドタバタに徹しきった作品は、「セヴィリアの理髪師」にも負けない・・と思ったこともあるのですが、繰り返し見るには陰も無い単純なドタバタでは飽きが来るのは否めません。
程よい規模の劇場で、全員の声に余裕があって気持ちいい。特にイザベラが容姿も含め文句なし、ムスタファもいい。リンドーロはちょっと違うかな、という感じです。録音がオンマイク過ぎるかもしれません。(01.07.15)
イタリアの
トルコ人(1814)
ヴェルザー=メスト指揮チューリヒ歌劇場 、バルトリ、ライモンディ
リージョンコード0の輸入盤で日本語対訳つき。前作とはうって変わった、劇中劇であるような無いような、シニカルな筋立てです。面白いかというと、知的好奇心(?)は十分刺激されますが、腹の底からは笑えません。ここまでしなくても・・・。音楽の質は十分高いのが勿体無いとすら思えます。
チューリヒオペラの最高に聞き映えのする録音がここでも気持ちいい。バルトリを素晴らしいと言って良いのか自信が持てないのは「セヴィリアの理髪師」と同じ感じです。他の歌手については良い録音に載って最高に聞こえる、と言ってしまえるのですが。(05.03.13)
セヴィリア
の理髪師
(1816)

アバド指揮
ミラノ.スカラ座、
ベルガンサ、
プライ、アラヴァ

フェルロ指揮
シュトゥットガルト
放送交響楽団、
バルトリ、キリコ

サンティ指揮
チューリヒオペラ、
カサロヴァ

ロペス=コボス
指揮ローザンヌ
室内管弦楽団
カサロヴァ、ブレイク
新聞
(ガゼッタ)
(1816)
バルバチーニ指揮リセウ・オペラ(バルセロナ)、フォルテ、プラティコ他
BS2から録画したので、この(←)パッケージは持っていません 。
聞き覚えのある序曲と思ったら、チェネレントラのがこちらからの流用でした。かなりの美人揃いの女声陣はスタイルも抜群(バレエ団と比べても心持ちウェストが太いだけ)、それで下着姿とかスリットスカートとか胸ポチ(写真のフォルテにはあらず)とか、大サービスです。音楽の出来も演奏の出来も十分高いと思います。最大の問題は台本でしょう。クエーカー教徒に化けて、偽の決闘を申し込み、トルコ人に化けて、と、「ご都合主義で筋をこじつけている」どころか、単に筋が通っていません。ここまで通らないと観賞の妨げにもなります。BS2だと日本語字幕だから良かったのですが、DVDの英語字幕だと、この滅茶苦茶話(粗筋はこちら)を理解できたか、自信ありません。(06.12.03)
オテロ
(1816)
プリチャード指揮トリノ放送響(ペーザロ歌劇場)、アンダーソン、メリット、ブレイク
チェネレントラ
(1817)

カンパネッラ指揮
ヒューストン
交響楽団、
バルトリ他
ユロフスキ指揮
グラインドボーン
歌劇場、
ドノーセ、ミロノフ他

ベニーニ指揮
パリ・オペラ座
ラーモア、ブレイク
泥棒
かささぎ
(1817)
バルトレッティ指揮ケルン歌劇場、コトルバシュ、リナルディ、キューブラー
amazon ではリージョンコード1でと表示していますが、入手した盤はリージョンコード2専用機でも再生できました。英語字幕がOFFできない状態で画像に直接書き込んであります。
素晴らしい音楽です。序曲の冒頭行進曲風が一段落したところで出てくる活気あふれる音楽と思っていた部分が牢獄で死を覚悟したニネッタが自分の十字架をピッポに託す場面で現れると、同じ音楽なのに最高に悲痛な響きを奏でるのです。名人芸というしかありません。
田舎町の雰囲気を上手く出した演出は無難ながらなかなか良く、それを写した映像もまあまあです。録音はアラだらけだが魅力的という不思議な代物です。序曲冒頭の小太鼓からいきなり録音テープでの転写みたいな音が聞こえるし、ヒスも聞こえるし、残響過多で少し歪っぽくも聞こえますが、音場が広く臨場感は大いに出ます。
ニネッタを歌うコトルバシュの声はその録音のせいか、少しハスキーにも聞こえます。軽い声のソプラノの歌唱とみると、セッラやデッセーと比べて格別魅力的とも思いませんが、安心して聞けますし、何といっても年齢不詳系の容姿がこの役にあっています。
「セヴィリアの理髪師」フェッロ盤で散々の出来だったフェローですが、このファブリッツィオ役では喉の持久力を要求されることが無く、特に問題ありませんでした。ジャネット役は、出だしのレチタティーボがカチカチに硬く、この先どうなることかと思った割に、その後はまずまずだったのですが、実はこの人も同じく「セヴィリアの理髪師」フェッロ盤の伯爵で余り好印象ではなかったキューブラーだったのでした。それよりも、リナルディ(行政官)、エリス(フェルナンド)のバス陣、ツィリオ(読みに自信無し)のピッポがいい。歌手の魅力というより、ロッシーニの音楽の魅力を無難な演出と不思議な録音で存分に発揮した一枚だと思います。(04.10.25初出、06.06.24変更)
ジェルメッティ指揮トリノ放送響、リチャレッリ、マッテウッツィ
エジプトの
モゼ
(1818)
(1827=
仏向け改作
「モイーズと
 ファラオン」
初演)

「エジプトのモゼ」
アッカルド指揮ナポリ・
サン・カルロ歌劇場、
デヴィーア、ブレイク、
スカンディウッティ、
ペルトゥージ

「モイーズと
 ファラオン」
ユロフスキ指揮
ボローニャ歌劇場
管弦楽団、
ノルベリ=シュルツ、
ワークマン、
ペルトゥージ


「モイーズと
 ファラオン」
ムーティ指揮
ミラノ・スカラ座
フリットリ


「モイーズと
 ファラオン」
プレートル指揮
パリ・オペラ座、
ガスディア、
レイミー、
ヴァーレット、
ラフォン
リチャルドと
ゾライーデ
(1818)
(Rossini, Pesaro 1990) Anderson, Matteuzzi, Ford, Furlanetto, Chailly
エルミオーネ
(1819)
A.デイヴィス指揮
ロンドンフィル、
アントナッチ、
モンタギュー、
フォード
BS2から録画したので、
この(←)パッケージは
持っていません 。
ロベルト・アバド指揮
ボローニャ市立劇場管弦楽団
ガナッシ、ピッツォラート、
クンデ、シラグーザ
湖上の美人
(1819)
ムーティ指揮スカラ座、
アンダーソン、デュピュイ、ブレイク、メリット、スルヤン
日本語帯付きですが英語字幕のみ。超高音テノールが二人必要なので上演機会がどうしても少なくなるらしいですが、いい作品です。オペラ・セリアに分類されますが、死人は舞台裏での一人だけで、ぎりぎりで死人ゼロの「泥棒かささぎ」よりも悲劇度合いが薄く、その代わりに、予定調和の穏やかさがあり、その台本の基調を格調高い音楽が支える点で、この作品にも「ウィリアム・テル」を予感させるものがあります。2時間半弱と比較的短いのは有り難い。
スコットランドが舞台だからではないでしょうが、アンダーソンも「セミラーミデ」より無理なく演じています。歌も出だしだけ不安定ですが、それ以降は大丈夫。ズボン役のデュピュイは美人である分ホーンに比べると少し女性らしさが出過ぎですが、それでも許容範囲内で歌もまあまあ。テノール二人のうち特にメリットは何とかぎりぎりハイC連発を当てている感じで衰えを隠せていませんが、脇役なのでよしとしましょう。
ビアンカと
ファリエーロ
(1819)
バルンボ指揮ガリシア交響楽団、バーヨ、バルチェローナ
マオメット
2世
(1820)

シモーネ指揮
ヨーロッパ
祝祭管弦楽団
(ペーザロ歌劇場)、
ガスディア、
V=テラーニ、
メリット、レイミー
シモーネ指揮
フェニーチェ歌劇場
(ヴェネツィア)
1822年ヴェネツィア稿
による上演

Pertusi- Gasdia-
Scalchi- Vargas;
Gelmetti.
1993 Pesaro
マティルデ・
ディ・
シャブラン
(1821)
(Pesaro 1996) Franci, Futral, Spense, Frontali
セミラーミデ
(1823)
コンロン指揮
メトロポリタンオペラ、
アンダーソン、ホーン、
レイミー、オルセン
ロペス=コボス指揮
スコティッシュ室内o.、
カバリエ、ホーン、
レイミー、アライザ
ランスへの旅
(1825)
アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団、ガスディア、クベッリ、リチャレッリ(以上S)、V=テラーニ(MS)、ヒメネス、アライサ(以上T)、ダーラ、ヌッチ、ライモンディ、レイミー(以上B)
HouseOfOpera盤。仏国王の戴冠式を祝って企画された、紅白歌合戦など比較にならない位の豪華な舞台を丸々一人で作曲した、とでもいうべき作品の、1984年蘇演の際のTV中継の録画から起こしたもののようです(箱書きに1985とあるのは多分誤記)。正規版でCDが出ています。画像は時々白黒になったりしますが、幸い音声の乱れは比較的少なく、HouseOfOperaとしては良い部類です。それぞれ一人だけでも十分集客できる歌手を10人並べた超々豪華キャストは作品の成り立ちに相応しく、画像付きでなお一層それを楽しめますから、お勧めと言っても良いでしょう。字幕は付きませんが作品の性格上粗筋だけ把握しておけば十分なように思います。
コボス指揮バルセロナ歌劇場、ダーラ他
リージョンコード0の輸入盤で英語字幕付き。2003年収録で画質音質とも優秀です。英語字幕のお陰で今まで分からなかった細かい所も良く分かります。アバド盤ではコントラストがつかなかったソプラノ3人とテノール2人も声質の違う歌手が歌っていて、作曲者の描き分けが良く分かるような気がします。作品を理解するためにはこちらの方が良いでしょう。しかし、元々がお祭り騒ぎを意図した作品で、理解するよりも「あっ、この人知ってる、その人も知ってる」とワクワクしながら楽しむ作品だとすると、知っている歌手がダーラだけでは十分には楽しめません。
ウィリアム
・ テル
(1829)
ムーティ指揮スカラ座、ステューダ、メリット、ザンカナーロ
日本語の帯がついていますが、英語字幕のみ、と日本語で断っています。この英語字幕がかなり読みにくいもので、こちらの粗筋をしっかり読んでから見直す羽目になりました。オペラの台本としては、愛し合うソプラノとテノールが早い段階で別れたきりで結末が無い、息子の頭の上のりんごを射落とす有名なシーンも全体のストーリーの中では単なる挿話にすぎない、等々締まりを欠くように思うのですが、音楽は素晴らしい。ロッシーニのブッファの諸作品からは、活気はあるけれど同時に無機質な印象も受けるのですが、ここではリストがピアノ曲に編曲した歌曲で聞かれる伸びやかな音楽の完成した姿が聞けます。いささか長いのが玉に瑕で、ストーリー展開上寄り道や停滞の場面が随所に挟まるのですが、しかしそういう場面でも音楽の品位の高さは少しも下がらないように思います。(バレエシーンだけは飛ばしてしまいますが。)
「シチリアの晩鐘」と重なる主役3人では、ステューダとメリットが超難役を歌いきっていて文句なし、ザンカナーロはあちらの悪役の方が似合ってはいますが、これも見事です。以下大量動員されている準主役級も大体いいのですが、敵役のゲスレルが弱いのは残念です。演出は史上最悪級とおもっていますが、この作品を見るには他に選択肢が無いのですから、とやかく言いますまい。(04.08.15初出、06.06.24変更)

 

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