特例有限会社の商号変更による通常の株式会社への移行手続
手続の概要
平成18年5月1日新会社法の施行に伴い、それ以前の有限会社は「特例有限会社」に変更され、幾つかの特例があるものの会社法の規定による株式会社として扱われます。現在のままでも有限会社の入った商号を継続して使用することは可能ですが、株式会社という文字の入った商号に変更して、通常の株式会社へ移行することも認められることになりました(整備法45条)。
移行のメリット・デメリット
通常の株式会社への移行は、一長一短があります。自社の現状と将来を踏まえ、検討する必要があります。一旦移行した後は、元の特例有限会社に戻ることはできません。一般的には、次のようなメリット・デメリットがあるといわれていますので、参考にしてください。
- メリット
- ①株式の譲渡制限を廃止し、公開会社になることが可能となります(会社107条、整備9条)。
- ②取締役会、会計参与の設置など、機関設計を柔軟に対応することが可能となります。
- ③株式交換・株式移転などが可能となり、親子会社を創設し易くなります(整備38)。
- ④株式会社としてのブランドイメージを挙げる方もいます。
- デメリット
- ①取締役の任期が法定される(最大10年まで)ので、定期的に役員変更の手続が必要となります(会社332条、整備18条)。
- ②計算書類の公告(会社440条、整備28条)や、附属明細書の作成(会社435条、整備26条)が必要となります。
移行のための手続の流れ
- 定款変更のための株主総会の決議
- 「株式会社」を用いる商号に変更します。それ以外は自由に決めてもかまいません。
取締役の任期を決めてください。それによっては、取締役の選任が必要となるケースが出てきます。
監査役の設置や取締役会の設置をするかどうかを決めてください。
その他、目的の変更など商号以外の定款事項も変更できます。

- 移行のための登記の申請
- 「特例有限会社の商号変更による株式会社の設立登記」と「特例有限会社の商号変更による解散登記」を同時に申請する必要があります。
移行のためのサポート
通常の株式会社に移行するには、上記のとおり定款変更手続が必要となります。当事務所では、定款作成、株主総会議事録の作成等をサポートしています。まずはご相談ください。
会社設立手続
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最新情報
平成18年5月1日、会社法が施行されました。主な特徴は次の通りです。
- ①有限会社の廃止、合同会社の新設(有限社員のみ)
- ②類似商号規制の緩和=同一の住所における同一の商号のみ禁止
- ③最低資本金制度の廃止=資本金1円から株式会社を設立できる
- ④株券は原則発行しない
- ⑤株主への配当回数の制限撤廃=剰余金の配当は年何回でも(純資産額300万円未満は不可)
- ⑥取締役の任期は原則2年、但し、非公開は選任後10年間に伸長することが可能
- ⑦取締役・監査役の解任は、原則、株主総会の普通決議で可能
- ⑧必須機関は株主総会、取締役、取締役会・監査役の設置は任意
- ⑨会計参与の新設(公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人のみ)
会社設立の手順
項目 | 内容 | 所要日数 | |
1 | 類似商号調査調査 | 基本的に不要となりました。 | ― |
2 | 定款作成 | 定款記載事項を確認し、定款(電子定款)を作成する | 2日程度 |
3 | 定款認証 | 公証人役場で定款の認証を受ける | 1日 |
4 | 出資金の払込 | 出資金を指定金融機関に払込み証明書を発行してもらう | 1日 |
5 | 調査と設立登記 | 役員は出資状況を調査し、設立登記を申請する | 1日 |
6 | 官公署への届出 | 税務署、県税事務所、社会保険事務所等へ必要事項を届出る | 1日 |
会社設立の費用
定款認証費用 | 収入印紙代 | 40,000円(電子定款の場合は不要) |
認証手数料 | 50,000万円 | |
その他 | 2000円程度 | |
出資金の払込費用 | 金融機関の証明手数料 | 株式会社(25,000円) |
登記費用 | 登録免許税 | 株式会社(150,000円) |
報酬 | 行政書士・司法書士 | 株式会社(80,000円~) |
※報酬金額には、定款の作成から登記申請までの手数料と消費税が含まれています。
