うっすら霞んだ春の空、北の空高く大きな「ひしゃく」を見つけましょう。みなさんご存知の北斗七星です。

北斗七星は星座名ではありません。おおぐま座のしっぽの部分にあたります。北極星のある、こぐま座のお母さん熊で、親子ともども星座として天に上げられる時に大神ゼウスがしっぽをつかんで放り上げたので、しっぽの長い熊になってしまったそうです。北斗七星は昔から注目されており、キトラ古墳の壁画にも描かれています。

 さてその北斗七星の柄から2つの1等星に向けて大きな曲線を夜空に描いてみましょう。最初の星がうしかい座のアークツールス、次がおとめ座のスピカです。スピカの近くにとても明るい星がありますね。これは木星です。木星の前では1等星スピカもかすんで見えてしまいます。
さて「春の大曲線」で見つけた2つの1等星と正三角形をつくる少し暗い2等星が見つかりますか? これがしし座のしっぽの星、デネボラです。「デネブ」とは「しっぽ」の意味をもつ言葉ではくちょう座のしっぽの星はズバリ「デネブ」、くじら座のしっぽの星は「デネブカイトス」と言います。
土星の衛星・タイタン  
 土星を望遠鏡でのぞいてみると、すぐ近くに衛星・タイタンが見つかります。小さな望遠鏡でも簡単に見られるタイタンは月の1.5倍の大きさで太陽系で唯一、濃い大気を持つ衛星です(地球より厚い大気)。また生命生存の可能性が最も注目される天体でもあります。そして、何と言っても探査機ホイヘンスが着陸したことで注目されました。
 今年1月14日にタイタンの大気に突入したホイヘンスは3時間40分にわたりたくさんの画像やデーターを送ってきました。その大地は窒素97%(地球の大気は窒素80%)、メタン3%の分厚い大気に覆われ、地表温度は-180度の氷ついた世界でした。
 しかし降下中の探査機が送ってきた地表の写真は白い氷の大地に黒くうねる川のような模様がまるで海に流れ込んでいるかのようで地球にとてもよく似ていて驚かされました。
ESA/NASA/JPL/University of Arizona
高度1万6千kmから撮影されたタイタンの地表
ホイヘンスの着陸地点から撮影
NASA/JPL/Space Science Institute
2004.10.26カッシーニ撮影のタイタン 紫外・赤外線波長表示で本当の色ではない
 ホイヘンスの着陸地点は表面が凍ったメタンの湿地で、地表には氷の塊が点在していました。氷の塊が丸く風化していることなどからもタイタンでは液体メタンが地球の水のように循環(蒸発→雲→雨)していると思われます。
プレセペ散開星団 ( M44 )  
 ふたご座のポルックスとしし座のレグルスを結ぶ線上の中ほどを良く見てください。4つの星に囲まれた何やらボーっとした光の塊が見えませんか?これが、かに座のプレペセ散開星団です。「プレペセ」とは「飼い葉桶」という意味です。肉眼でははっきりしないこの天体を昔のギリシャ人は「人の魂が天から降りてくる出口」と考えたり、中国では「死者からの妖気の溜まり場」と考えたり国によってさまざまでおもしろいですね。

 3等星より明るい星が無いので市街地では見つけにくい星座ですが、双眼鏡でのぞけば可愛らしく、たくさんの星が寄り添っている姿が見られます。あなたには何に見えるでしょうか?地球からの距離は520光年です。(伊勢神にて50mmレンズで撮影)
肉眼彗星  
 前回、お知らせした話題の 彗星「マックホルツ彗星」は 期待通りに肉眼でも見る ことのできる明るい彗星 「肉眼彗星」となりました。 双眼鏡を使えば昨年 12月中旬から安城市内 からも観測ができました。
この彗星は一番明るく なる頃、地球と平行して進 むような軌道であったために長い期間、観測しやすく2月13日の 文化センターの観望会の時でも双眼鏡で見つけることができて来てくれたみなさんにも楽しんでいただけました。
 毎年たくさんの彗星が発見されますが肉眼彗星はめったに現れません。そしてマックホルツ彗星のように安城市内からこれ程の長期に渡って双眼鏡で観測できる彗星は他に記憶がありません。
 3月中は北極星のすぐ近くにあって明るさは6〜7等級です。市内からはちょっと厳しいかもしれませんが、空の良いところでは双眼鏡をとおして、まだまだ観測することができます。
写真:2005.1.2 伊勢神にて120mmレンズで撮影
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