凍てつく冬の星空には、1等星が8個も輝いています。双眼鏡で楽しめる星雲・星団がいくつもあって、長い夜が満喫できます。まずはオリオン座を見つけてください。オリオン座には赤い星・ベテルギウスと、青い星・リゲルの2つの1等星があります。べテルギウスは他の2つの星と、きれいな三角形を作っていますね。こいぬ座の1等星・プロキオンと、全天で一番明るい恒星、おおいぬ座のシリウスです。これを「冬の大三角」と言います。
オリオン座のリゲルからベテルギウスへと結んでのばしていくと、ふたご座が見つかります。 双子の弟の頭には1等星・ポルックス、兄の頭には、ちょっと暗めの1等星・カストルがあります。「三ツ星」を右の方へのばしていくと、おうし座にたどり着きます。おうし座には1等星・アルデバランがあります。
さらに先には、「すばる」の名でおなじみのプレアデス散開星団(M45)があります。おうし座のツノの先にあるぎょしゃ座は五角形をした星座です。1等星・カペラがとても目立つので、簡単に見つけられます。
星の古記録  
 鎌倉時代の歌人、藤原定家の書いた日記「明月記」には「1054年おうし座に木星ほどの明るさの見なれぬ星が現れた。」との記述があります。定家が生まれたのは1162年ですので定家自身の体験ではなく伝聞を書いたものです。
 昭和9年、日本の天文愛好家によって英文でこのことが紹介されると、世界中の天文学者に注目されました。そして中国にも同じような記述があることもわかりました。
 この記述の星の正体は、太陽の8倍以上重い、恒星が死ぬときにおこす、大爆発「超新星爆発」です。
 そしてそこにはM1(かに星雲)とよばれる残骸の天体を今も見ることができます。
 記録によると、星は23日間、昼間でも見ることができたというのですから、その爆発のすさまじさに驚かされます。
M36・M37・M38  
伊勢神にて120mmレンズで撮影
 ぎょしゃ座の五角形の中にきれいに並ぶ、3つの散開星団です。双眼鏡では同じ視野に見ることができます。
 M36は少し小粒で明るく、M37、M38はよく似た感じでM36よりも大きく、ぼんやりとしたガスのかたまりのように見えます。「冬の天の川」を背景にして見ごたえのある天体です。
 天体までの距離はM36が4100光年、M37が2900光年、M38が3200光年です。
水星の太陽面通過  
 11月9日に3年半ぶりに水星の太陽面通過が見られました。日の出の時にはすでに、水星が太陽の前を通過中でした。
 当日は天候も最高で、水星は9時10分頃、太陽面を通過し、見えなくなりました。
 この現象は、次回は2032年に日本からみることができます
安城市赤松町にて5p屈折望遠鏡で撮影
8時10分から10分間隔で撮影
(太陽の色はフィルターによる着色です。)
プラネタリウム制作室より
 
 おかげさまで、当プラネタリウムは昭和56年にオープンして以来、皆さまに支えられて25年を迎えることができました。番組も今回の冬番組「すべてはここからはじまった」でちょうど100作品目となります。この番組はリーフレットを制作していただいているM44さんの原案に基づき、人類の起源を探るという壮大なテーマを取り上げました。新たなはじまりにふさわしい番組に仕上がったと思っています。
 当館はこれからも皆さまに「親しみやすいプラネタリウム」を目指してより良い番組を投映していきたいと考えています。今後とも末永くよろしくお願いします。
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